1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

〈“カオス”東京24区〉「国会議員はみな脱税してる」松井一郎氏、安倍元首相の生前映像も萩生田氏を“応援” さらに「左翼は出ていけ」の応酬も…

集英社オンライン / 2024年10月25日 7時0分

裏金問題で自民党の公認を得られなかった萩生田光一・元政調会長と、旧統一教会問題でも萩生田氏を追及する立憲民主党公認のジャーナリスト有田芳生氏が激突する衆院東京24区。維新元幹部に加え、故・安倍晋三元首相の「生前の録画映像」も動員して支持固めに走る萩生田陣営に対し、有田陣営には自民党の元衆議院議員が加勢。なんでもありの攻防戦は最終盤へ――。

〈画像〉安倍晋三元首相の遺影や安倍昭恵さんと共に写る萩生田氏

「この選挙区に維新の会の候補、出てると知らなかったんです」

「みんなパーティー券の不記載ばっかり言って脱税行為だって言っているけど、そんなこと言えばね、国会議員、全員脱税しているんです、今」

JR八王子駅前で萩生田氏と並んだのは日本維新の会の前代表で前大阪市長、松井一郎氏だ。パーティー券収入を還流した裏金問題で、萩生田氏は2728万円と議員の中で3番目に額が大きかったため、石破茂執行部は党の公認を出さなかった。

萩生田氏がこの問題の払拭に追われる中、助っ人の松井氏は、「国会議員に支給される月100万円の調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途の公開義務がないことこそが問題」だと持論を展開した。

じつは維新はこの東京24区で候補者を立てている。だが、松井氏は維新創設前の自民党所属時代から20年来の付き合いだという萩生田氏が生き残ることが維新の議席獲得よりも大事だとの意思を鮮明にした。「この選挙区にね、維新の会の候補、出てると知らなかったんです」と弁解しながら笑いも取った。

街宣車の上に立つ萩生田、松井両氏の背後には「生き恥晒すな 裏金 はぎうだ 2728」と非難する文字や旧統一教会を象徴する壺の絵が描かれた大型のプラカードが出現。

「恥知らず」「落選、落選、落選」とヤジが連呼されたのに対し、萩生田氏の支持者は「左翼は日本から出ていけ」と応戦し、演説会は荒れた。

「前任幹事長が応援に入ったことは現執行部への当てつけ」

萩生田氏には茂木敏充・前幹事長や小林鷹之・元経済安保相ら知名度の高い要職経験者が次々と応援に入っている。

「現幹事長の森山裕氏は小泉進次郎・選挙対策委員長とともに萩生田さんを公認から外せと石破首相に働きかけた中心人物と言われています。そんな中、前任の幹事長が応援に入ったことは現執行部への当てつけに近い」と自民党関係者は話す。

さらに萩生田氏の事務所は10月23日、萩生田氏が腹心として仕えた安倍氏が過去の選挙で萩生田氏を応援した映像をXで公開した。画面の安倍氏は「いまこそ確固たる国家観を持った、そして政策に通じた、いざというときに闘う覚悟を持った萩生田光一を日本は必要としています」と支援を訴えている。

萩生田陣営は安倍昭恵夫人を集会に招いたり、安倍氏の遺影をSNSに上げたりしてきたが、この“安倍頼み”をさらに強めた形だ。

ある社会部記者は「陣営の危機感の表れですね。10月2~6日の自民党の世論調査では有田氏が萩生田氏に4ポイント程度先行していましたが、これが11~13日の調査では萩生田氏が逆転し9ポイント程度上回りました。

しかしまた情勢が変わり、有田氏が完全に並んだとみられています。各メディアの調査ではともに支持率37%程度で横一線。勝負は24日からの最後の3日間にかかっています」とみる。

 また、地元の自民党関係者は「萩生田さんは22日に小林元経済安保相が訪れた会合を最後に、SNSによる街頭演説の事前告知をしなくなりました。

応援弁士なしで開いた街頭演説会の集まりが悪いので、小規模演説会を重ねるドブ板選挙に徹しています。

一方、公明党の地元選出の地方議員らは大阪へ飛んでます。公明党にとっては大阪で最大の敵の維新に勝つことが最優先。松井さんが八王子で応援したことは萩生田陣営には逆効果になるかもしれない」と話す。

萩生田氏を猛批判する元自民議員

有田陣営にも目を引く光景がある。

「かつて八王子から選出された自民党の元衆議院議員の小林多門氏が、有田氏を強力に応援しているのです」(前出の社会部記者)

マイクを持つ小林氏は、「体調を崩したので萩生田光一君にバトンタッチしました。これが私の政治活動の、人生の大失敗でした。萩生田君は安倍派に入って悪くなった。裏金を作るようになったんです」と萩生田氏を猛批判。

21日には有田氏を支援する共産党の穀田恵二前衆議院議員や社民党の服部良一幹事長と一緒に演説会で並び、「私は知人500人に電話をかけて有田さんの応援を頼んだ。日本をよくするには萩生田君を落とさなければならないんです」とぶち上げた。

今回衆院選で他の野党との共闘を拒否したれいわ新選組からも、八王子では「勝手連」が生まれ、有田氏の選挙運動に合流している。

「自公」対「立共社」のガチンコ勝負の行方を左右しそうなのが他の野党票だが、これも東京24区は複雑な様相だ。

維新からは、もともと国民民主党がこの選挙区で立てる準備をしていた元都議の佐藤由美氏が出馬した。

佐藤氏は今年4月、国民民主党を昨秋飛び出した前原誠司氏らが結成した「教育無償化を実現する会」から立候補すると表明し、国民民主党から除名されている。

佐藤氏はその後、前原氏らとともに維新に合流し、そのまま24区から立候補した。

「佐藤氏は同じ京大出身の前原氏に一本釣りされたようです。ところが松井氏が萩生田氏を応援したことで維新がここを取る気がないことがはっきりした。

松井氏は『僕は今、一般人』と主張していますが、誰もそうは見ない。維新が候補を立てたのは萩生田氏の批判票を分散させる狙いだとの憶測まで飛んでいます。佐藤氏には気の毒な面もある」(地元政界関係者)

佐藤氏は「肌実感のほうがずっといいです」

佐藤氏は「私は4年間地域を回って生活者の声を聞いてきました。世論調査で出ている私の数字(支持率)よりは、(街頭での)肌実感のほうがずっといいですよ」と手ごたえを強調する。

松井氏の萩生田氏応援には「表向きは友人としてじゃないですか。維新と安倍派とか菅(義偉)さんとかの関係性の中で、私が維新から出ることに関して何かしら話し合いをしたんじゃないですか。そのあたりは、私は事情は分からないですね」と話す。

一方、佐藤氏を取られた国民民主は「玉木代表がカチンときて」(政界筋)、弁護士の浦川祐輔氏を公認に立てた。「野党は反萩生田で一本化すべきだとの声もありましたが、最初からできもしない話だった」と野党関係者は話す。

浦川氏は「生活費を党が出したのにそれを持ち逃げした。党としては許しがたい」と佐藤氏を非難。

「裏金や統一教会問題は大事ですが、それを追及して誰かを落として、ということでは八王子や国が前に進むわけではない。この選挙では(有権者には)自分の手取りがどれだけ増えるかという方が重要」と主張し、裏金追及を前に出す有田氏も候補者として「許しがたい」と攻撃した。

地元の自民党党員は、「裏金で自民党の非公認となった候補者の党支部に2000万円が配られていたことを23日に共産党機関紙『しんぶん赤旗』が暴露し、また情勢が変わるかもしれません。非公認の代表格は萩生田さんなので、印象が悪くなって離れた票が維新や国民にいくかも。野党乱立もどちらに有利になるのか分かりません」と話す。

東京24区では他に参政党と無所属の立候補者がいる。今の政界のさまざまな様相を集めて煮詰めたような選挙の行方は最後まで分からない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください