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『夫が寝たあとに』異例の拡大はなぜ?藤本美貴&横澤夏子に聞いた番組ヒットの「3つの要因」

集英社オンライン / 2024年10月31日 6時0分

“育児”や“家事”をテーマに掲げる深夜のバラエティ番組『夫が寝たあとに』(テレビ朝日系/毎週火曜深夜0時15分 ※一部地域除く)の人気が高まっている。2023年10月の開始時は放送時間が17分だったが、今年4月から30分、そしてこの10月からは1時間と、異例のスピードで拡大している。育児に関する番組といえば日中の放送を想像するが、なぜこの深夜番組は人気を集めるのか。収録現場に潜入し、MCの藤本美貴と横澤夏子の2人に話を聞いた。

【写真】撮影後とは思えない(笑)取材中でも楽しそうな藤本美貴と横澤夏子

 

『夫が寝たあとに』異例の時間拡大、ヒットの要因

「小学校の入学準備はいつから?」「離乳食はいつまで手作り?」「反抗期の子どもとどう向き合う?」――。

『夫が寝たあとに』は、どちらも3児の子どもを持つタレントの藤本美貴と横澤夏子が、育児をはじめとする様々な悩みや苦労、そして喜びをゲストとともに語りあうバラエティ番組だ。

放送時間拡大の感想を藤本と横澤に聞くと、2人は「もっと話せるのがただただうれしくて」と口をそろえる。

藤本「私たちにとって、この番組の収録は“ご褒美”なんですよ(笑)。その時間が長くなったのが本当にうれしいんです!」

横澤「この収録が終わって家に帰ると、子どもたちにルンルンで夕飯を作ってあげられるんですよね。でも1時間に長くなっても時間が足りない、足りない(笑)。

ミキティさんが“もう撮らなくていいから、しゃべらせてください”っていうんですけど、スタッフさんに“仕事なんで”と断られます(笑)」

『夫が寝たあとに』は、配信サービスやSNSでも人気だ。無料配信動画サービス・TVerのバラエティ番組視聴ランキングでは常に上位にランクイン。

YouTubeやTikTok、Instagramなどの公式アカウントにて番組内のワンシーンを切り出したショート動画も配信しており、再生数が500万回を超えるものもある。

その人気ぶりをどのように捉えているのか。話を聞くと、3つのポイントが見えてきた。

約束をしていなくても開かれる“ママ会”

1つ目は、出演者のみならず視聴者も参加する“ママ会”になっている点だ。

番組では、ゲストの経験を深し、さらに視聴者からも悩みや疑問などの声を募集。また、SNSの投稿に対するコメントを見ると「面白い」「共感する」といった内容に加えて、自身の体験を書き込む人も多い。

藤本「この番組では俳優、歌手、スポーツ選手などバラエティ番組ではあまり会う機会のない方もゲストでいらっしゃるんですけど、子育てをしているということで、同じ立場でお話ができるんです。そして、一緒に共感できる」

横澤「例えば、(元サッカー女子日本代表の)澤穂希さんのお話を聞いたら、“世界を相手に戦ってきたアスリートの方も苦しんでいるんだ”“悩んでいるのは、私だけじゃなかったんだ”と勇気づけられたり。そして“それ、やってみよう!”といった子育てアイデアももらえる。放送時間については、なんなら夜の方がっているかもしれないですよね!」

藤本「子育てをしていると、まず朝は戦いだし、子どもが小さいうちは昼も休めないからね」

横澤「あと、TVerが定着した時代でよかったです。お迎えに行く道中、仕事が終わったあと、寝かしつけたあとなど本当に自分のタイミングで、そしてスマホで見られるので。あとは夜の放送だとコソコソ話というか、公にしゃべっている感がないのもいいのかも(笑)」

藤本「“ここだけの話ぃ〜”、という感じ(笑)。SNSのコメントも見るんですけど、みなさん、意見だけじゃなくて自分の話も書いてくださるのが嬉しい!コミュニティみたいな感じになってますよね」

横澤「約束をしていなくても、ママ会が開かれてるみたいな感じ。そんな気楽なママ会に参加している気持ちになってくれてたらうれしいですね」

「パパの共感も得る番組作り」

『夫が寝たあとに』が支持される理由の2つ目は、「夫を敵としない」作りになっている点だ。

番組では子育てに関する様々なエピソードが語られるが、夫への不満で盛り上がるということは少ない。また、お笑いコンビの霜降り明星のせいやなど男性芸能人をスタジオゲストに招いて、パパ目線での育児にフォーカスする回もある。

横澤「(この番組は)夫婦で見たら、夫婦の間での話の種になりますよね」

藤本「内容によっては男性が敵になるときもあるんですけどね(笑)“なんで、子どもにちゃんと怒ってくれないの~!”って(笑)。でもそこも、共感できるポイントだったりするのかなって思います」

横澤「夫婦生活を続けていく上で、不満だけを言って終わることはできないですよね。“これ以上は言わないでおこう”みたいなこともあったり(笑)。そういうリアルもすごく詰まってる気がします」

藤本「夏にイベント(『夫が寝たあとにママ会ライブ~夏休みもお疲れさまスペシャル~』2024年8月7日開催)をやったんですけど、ママだけではなくて、パパもたくさん来てくださったんです。ベビーカーがいっぱい並んでいて、世界一幸せなイベントだなぁって感じました」

実はターゲットは全世代?“子育て”は最強の共感テーマ

今回、取材を行うため収録現場に足を運んだところ、3つ目のポイントともいえる大きな気づきがあった。

一見、ターゲットを限定しているように思われる「子育て」というテーマが、実は多くの人の共感を得られるものであるという点だ。

まず、ひとくちに「子育て」といってもそのは長い。赤ちゃんや小さな子どもはもちろん、高校生、大学生、そして就職しても、親にとって子どもは子どもである。どんな時期になっても、子どもの接し方に関する悩みは尽きない。

今回、見学した収録のトークテーマは「反抗期」。

番組では街頭インタビューも行っているが、そのなかに反抗期を過ぎた子どもを持つ方が「懐かしい。今となっては良い思い出」と語るシーンがあった。そう、子育てにまつわるエピソードに共感するのは、真っ中にいる当事者だけではないのだ。

さらには言えば、子育てをしたことがない人であっても、自分が育ってきたなかでの経験はある。

若い世代の利用が多いといわれるTikTokで動画の再生数が500万回を超えるのは、子育て経験のない人の共感を得ている証明ともいえるだろう。

反抗期にまつわる様々なエピソードを聞いていると、「自分が反抗期だったとき、どんな態度をとっていただろうか」「そのとき、親はどんな思いをしていたのだろうか」と思いをはせてしまった。

子育てというテーマの奥深さを、藤本も次のように語る。

藤本「芸能人とか芸能人じゃないとか、いろんな家庭の事情も関係なく、子育てをしている人には共通の話題で、同じ悩みや達成感などがあったりする。そして、子育てをしてない人もどこかしらで共感できる部分が、男女問わずあると思いますね」

ヘアメイク:氏家恵子(藤本美貴)、豊田小百合(横澤夏子)
スタイリスト:大瀧彩乃(横澤夏子)

取材・文/羽田健治

横澤夏子「ママも開き直っていいんだ」藤本美貴から教わった育児で、軽くなった肩の荷。2人が噛みしめる子育ての喜び〉へ続く

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