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「森山幹事長続投」に自民党内は大反発…瀕死の石破政権、後任に浮上した「まさかの名前」

集英社オンライン / 2024年10月28日 19時55分

10月27日に投開票された衆院選は、裏金議員を中心に落選が相次ぎ、自民党は大幅に議席を減らす惨敗となった。公明党と合わせた与党でも過半数割れとなり、自民党内からは石破執行部に対する責任論が噴出している。そんな中、体制の立て直しのために、「アノ人」に期待する声もあがっているが……。

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選挙戦最終盤に報じられた2000万円問題の影響

「もはや焼け野原だ」

衆院選の結果を見て、自民党関係者は天を仰いだ。

裏金問題による逆風が全国各地を襲い、これまで自民党が勝ち続けてきた「常勝選挙区」でも落選が続出。

東京11区で9選を重ねてきた元文科大臣の下村博文氏は、投票を締め切った20時の開票率0%の時点で、出口調査の結果ですでに大差がついて落選が確実となる「ゼロ打ち」となり、裏金問題で非公認となった逆風の強さが浮き彫りになった。

同じく、五輪担当大臣や内閣府特命担当大臣(男女共同参画)などを歴任した丸川珠代氏も、参院議員から満を持して衆院選の東京7区に鞍替え出馬したが、「ゼロ打ち」で落選確実となり、裏金問題で比例復活が禁じられるなか、議員バッジを外すことを余儀なくされた。

衆院選では裏金問題が問われた議員46人のうち、半数以上にあたる28人が落選する事態となり、全国各地の「自民王国」を野党に明け渡す形となっている。

ただ、実は下村氏も丸川氏も選挙戦の中盤では立憲候補を相手に追い上げているという情報もあった。

自民党が10月16日から20日にかけて独自に実施した情勢調査によると、丸川氏は立憲の松尾明弘氏に対して、支持の差が1%未満にまで迫り、下村氏は立憲の阿久津幸彦氏に対してわずかに競り勝っているとされていた。

一時は接戦になるかもしれないとみられていたわけだが、そこから、なぜ「ゼロ打ち」落選という完敗にまで追いやられてしまったのか。

大手マスコミ記者は「最終盤に報じられた2000万円問題がかなり影響したようだ」と内幕を明かす。

10月23日に共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が、裏金問題で非公認となった議員が代表を務める政党支部にも自民党本部が2000万円を支給していたことをスクープし、ほかのテレビ・新聞メディアも追いかけて大問題となったが、この報道が情勢に大きな変化を与えたというのだ。

「期日前投票の出口調査の数字が報道翌日の24日から大きく変わっていった。それまでは与党が強かったような選挙区でも、野党の得票が急激に伸びていって、与党優勢の選挙区は次々と接戦に、接戦の選挙区は次々と与党劣勢にどんどんずれ込んでいった。

そんななか、投開票日前日には与党で過半数維持は絶望的という見方がマスコミの間で強くなっていた」(大手マスコミ記者)

注目される自民党ナンバー2、森山幹事長の交代

影響が出たのは裏金の議員がいる選挙区だけではない。

大阪府では情勢調査で自民や公明が維新の候補にリードしている選挙区が複数あったにもかかわらず、蓋を開けてみれば19ある選挙区がすべて維新に取られてしまっていた。

また、埼玉14区では公明の石井啓一代表が国民民主党の鈴木義弘氏に敗れて落選するという事態も発生したが、公明党関係者からは「自民の失態が影響した」という恨み節も漏れる。

それゆえに、自民党内では石破執行部の責任を問う声が強くなっている。

自民党関係者は「2000万円問題によるさらなる逆風がなかったら自民の議席数はもっと維持できていたはずだった。裏金非公認の議員にも、公認議員と同じ金額を渡すなんて国民からの理解が得られるはずがないのに、そんなことにも思いが至らず支給を決めた執行部の責任は重い」とつぶやく。

今回の選挙結果に対する怒りの矛先は石破首相に向いているが、新しく選出したばかりの総理総裁を替えるとなると自民党も体力を大きく消耗することになるため、執行部の責任を取らせるために、少なくとも自民党ナンバー2で党務を仕切る森山裕幹事長の辞任は免れないという声が党内からあがり始めている。

森山幹事長は選挙の大勢が判明した10月28日未明に「国政が混乱することなく補正予算、来年度の予算編成に向けて微力を尽くしていきたい」と辞任を否定したが、大敗の責任を幹事長が取らないことに対する自民党議員の反発は根強い。

衆院選では現職大臣である牧原秀樹法務大臣と小里泰弘農水大臣も落選したため、小幅な内閣改造や党役員も含めた人事が近く行なわれるとみられるが、そこで幹事長交代があるのかが注目される。 

瀕死の石破政権を誰が支えるのか

ただ、幹事長を交代する場合、後任を誰にするかという問題が持ち上がる。

選挙期間中から名前が挙がっていたのは、総裁選で石破首相と決選投票を争った高市早苗氏だ。

永田町関係者は「幹事長に高市氏を起用すれば、石破政権になって離れていった保守層を繋ぎ止めることができるほか、高市氏を中心に『石破おろし』の動きが広がるのを防ぐことができる」と狙いを語る。

ただ、石破首相と高市氏では政策の方向性に大きな違いがあるため、二人三脚で仕事をしていくのは上手くいかないとみられるほか、自民党内や党と政府の調整役を担う幹事長職は高市氏にとって不向きなのではないかという声もある。

そして何より、今のタイミングで石破首相を支える幹事長になるというのはリスクが大きいため、「そもそも高市氏は打診されても受けないのではないか」(自民党関係者)という見方も強い。

瀕死の石破政権をいったい誰が支えるのか。幹事長交代となった場合、その人事は難航する恐れもある。

自公が過半数割れとなるなか、これからは衆議院で法案を通すにも、予算案を通すにも、一部の野党からの協力が必要となる。

安定的な過半数を得るために、連立の枠組み拡大も視野に入るが、泥船の石破政権に完全に乗っかろうとする野党は今のところ皆無だ。

そのため、国会運営も政権運営も多難を極めるとみられるが、その前にそもそも自民党内に渦巻く不平不満を解消し、石破首相は挙党体制を築き上げることができるのか。

惨敗の結果を受けて、石破政権は早くも岐路に立たされている。

取材・文/宮原健太  集英社オンライン編集部ニュース班 

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