「ベッドにおしっこ」「従業員を部屋に引きずり込んで…」外国人観光客の横暴にホテル清掃員の女性が怒りの告発
集英社オンライン / 2024年11月1日 11時0分
インバウンドによる外国人観光客の増加にともない、地元住民の生活や景観などに悪影響をもたらすオーバーツーリズムが問題視されている昨今。こうした状況の変化の中で宿泊ホテルが、外国人観光客のマナーの悪さに頭を悩ませている。
清掃員の本音「現場は常に疲弊してる」
「日本政府観光局」(JNTO)によると、2024年9月までの累計訪日外客数は2688万200 人。9月の時点で、すでに前年の年間累計を上回る数値を記録している。前年同月比は 31.5%増、8 カ月連続で同月過去最高を更新し、青天井のごとく増え続けている。
そんななか、外国人観光客がよく滞在するホテルでは、文化の違いやマナーの悪さでトラブルが続出しているという。今回取材した、都内のビジネスホテルで客室清掃員として勤務する、ちくわぶの見る夢さん(@tkwbiD)もその被害に困っている一人だ。
〈都内ホテル高騰が話題なのでホテルで働いてる人間の意見を言わせて。外国人観光客にはほんとうんざり。部屋は汚すし備品壊したりリネン盗んだりするし横暴だしこちらが提供できる以上のサービスを要求してくるから現場は常に疲弊してる。こっちだって日本の人に泊まってほしいよ〉
2024年10月15日にちくわぶさんが投稿したこのポストは、1.4万以上のリポスト、10万以上の「いいね」を獲得。引用リポストでは、
〈元ホテルマンとして分かりすぎる。外国人観光客はほんとに汚すし盗む。あの仕事をして性善説では駄目だと悟ったよね〉
〈外国人がアウトするとタオルは無いは枕は無いわ備付の充電器は無いは、とりあえず備品は何も無い。そのくせ部屋はゴミだらけ。食べ物はベッドの上で食うな。魚を部屋で捌くな、半分残して帰るな。色んなところの血が取れんのよ〉
〈どこぞの旅館で働いたとき隣接する4部屋の爪切りが盗られたな パントリーの予備が尽きちゃって在庫管理のおばあちゃんと頭抱えた思い出〉
などと、全国の宿泊施設関係者から同様の被害を報告する声が相次いでいる。
こうした反響を受けて、ちくわぶさんはこれまで印象的だった出来事として、「ベッド脇におしっこ」「ベッドシーツにサイン」「窓叩き割る」「テレビ叩き割る」「バスタオル10枚盗む」「客室内で呪いの儀式」「客室内で乱交・清掃のおばちゃん(私)を部屋に引きずりこんでレイプしようとする」と具体的にあげていった。
カメラに映っていた窃盗の様子
器物破損に窃盗、性犯罪未遂まで、そのどれもが信じがたい行為である。それぞれのエピソードについて当時の状況を詳しく聞いた。まずは、“ベッド脇におしっこ”事件だ。
「よくあるのが香水の残り香や体臭、使った後のトイレを流す風習のない方だとトイレ臭さも残ります。その部屋は部屋中に強烈なおしっこのにおいが充満していました。
トイレを流す習慣がない人だと思っていたのですが、いざベッドシーツを取り換えるためにベッド脇に立つと、靴の裏にべチョリと湿った感触が……。慌てて床の絨毯を見ると、壁沿いに積み上げられたゴミの山に液体をかけた跡がありました。顔を近づけると強烈なアンモニア臭が鼻を突き刺してきまして…」(ちくわぶさん、以下同)
生活習慣の違いから、トイレの形状や使用方法が異なるのは理解できるが、ゴミの山に排尿するというのは一体どのような事情があるのだろうか。ちくわぶさんら清掃員にとっては、ベッドマットレスに排尿されるよりはまだマシだったかもしれないと思いつつ、あまりのヒドさに呆然としながら処理をしたという。
問題になっているのは部屋の汚染だけではない。宿泊施設の設備を破損されたり、備品を窃盗されたりといったことは日常茶飯事なのだ。
「とあるお客さまが酒に酔ってテレビのリモコンをモニターに叩きつけたらしく、テレビの液晶画面とリモコンが完全に壊れていました。新しいテレビが来るまで、その部屋は使い物になりませんでした」
テレビを壊されるとはとんでもない被害だが、こちらは故意ではなく事故なので、まだ気持ち的には許せるかもしれない。中には、堂々と窃盗をする者もいる。それが“バスタオル10枚盗む”事件だ。
「ホテルで客室清掃員が大きなカートを押しているのを見かけたことをありますよね。あの中にはリネンやタオルやアメニティがぎっしり入っております。ある日のこと、カートから目を離していた隙にバスタオルが10枚盗まれておりました。
他のお客さまが勝手にカートに触ってアメニティを取ることは多々あるのですが、この量を取ることは普通ありえません。監視カメラを確認すると、滞在中のお客様がカートの上のバスタオルをご自身のキャリーバッグに詰め込む様子がバッチリ写っていました」
腕をつかまれて部屋に引きずり込まれそうに
また、ちくわぶさんが「個人的に一番思い出したくない部屋」と話す事件が、“客室内で呪いの儀式”事件。ホテルの一室が一夜にして、不気味に変わり果ててしまっていたという。
「窓には血で書かれた外国語の文字、客室の東西南北に焚かれたお香と清酒、バスタブは濁った生臭い水で満たされており、水面には束状に纏められた大量の髪の毛が浮かんでいました。チェックアウト済のお部屋なので頑張って掃除して全てきれいにしましたが、未だに『あれは何の呪いだったんだろう』と背筋が凍ります」
そして、被害は客室だけでなく、ちくわぶさん自身にも…。
「清掃のためにお客さまが滞在中のドアをノックしたところ、中から全裸で股間が"臨戦態勢"の外国人観光客の男性が現れ、腕をつかまれて部屋に引きずり込まれそうになりました。偶然同僚が同じフロアにいたためすぐ助けてもらえましたが、とても怖かったです」
同僚がいなかったらどうなっていたことか。何事もなくてよかった、という結果論では済まされないことが起きてしまったのだ。
もちろん、外国人観光客の全員がこうした問題行動をしているわけではない。大半はマナーを守ってくれており、問題行動をするのはあくまでその一部だろう。
だがその一部の行為が、大損害を生んでいるのも事実。文化や風習の違いを理由にここまでの暴挙が許されては、宿泊施設側もたまったものではない。被害に遭った場合、賠償請求をしたり、悪質な客を出入り禁止にしたりと個々に対処しているようだが、一度きりの利用が多い観光客という性質上、フォローしきるのは難しい現状にある。
最近では、中国人観光客に「客室内の家具の配置が気に入らないから部屋の模様替えをしてくれ」と無理なお願いをされ、「ここはIKEAではなくホテルです。無理です」とちくわぶさんはキッパリ断ったという。
清掃員にとって嬉しいお客さんは?
対応が難しい客も多いが、それでも「ゴミが1か所にまとめられて、リネンがずたずたにされておらず、タオルが盗まれてなく、忘れ物も無いお部屋に当たったときは日本の方だろうと外国の方だろうと『またお越しください!』と嬉しく思っております」と話している。
せっかく日本に旅行しに来てくれたからには、外国人観光客には快適なひとときを過ごしてほしい。迎える側である私たちのおもてなしの精神は、一方的ではなく、双方の思いやりやその国を理解しようとする姿勢があって初めて成り立つものである。
取材・文/集英社オンライン編集部
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