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「裏金議員の追加公認」「参政・保守との連立」「引きはがし工作」…瀕死の石破政権、過半数維持のためなら”なんでも”あり?

集英社オンライン / 2024年10月29日 19時2分

政権与党の自民・公明両党が15年ぶりに過半数を割り込むという歴史的な敗戦を喫した衆院選。大物や閣僚経験者の落選が相次ぎ、永田町では政局に大変動が起きようとしている。自民内では、政権与党の座を維持するために“一本釣り”議員候補のリストアップが急ピッチで進む。さらに、大敗を招いた石破茂首相をすげ替えようとする「石破おろし」の動きも水面下で起きている。

【画像】「ポスト石破」の有力候補と噂される意外な議員

 

裏金問題を報じた“赤旗砲”が招いた「与党過半数割れ」

「わが党の支部政党交付金に関する報道について」。投開票を3日後に控えた10月24日、自民党候補者の選対やマスコミ各社にこう題された文書が一斉に出回った。

自民党の「総裁・幹事長室」名義で発出されたこの文書が問題視しているのは、その前日に日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が報じたあるスクープである。

「森山裕幹事長ら自民党執行部が、非公認候補の選挙区支部に政党助成金から2000万円ずつ支出していたことを報じたのです。『裏金問題』が逆風になっている中での報道は自民党候補に深刻なダメージとなりました。

与党過半数割れという歴史的な大敗を招いた一番の要因はこの報道にあったと言えるでしょう」(大手紙政治部記者)

いわば文書はこの「赤旗砲」の「火消し」のためのものだったわけだが、その文面からは自民党執行部の狼狽ぶりが顕著に伝わってくる。

文書は、「一部ネットでは『#偽装非公認』というハッシュタグまで散見され、各候補にもこのことを指摘される可能性があるかと考えます」と警戒し、「記事は、事実を曲解して極めて精緻に誤解を誘導するものであります。しかし、これまで指摘されている『政治とカネ』の問題とはまったく異なり、なんら法律的、倫理的にも後ろ指をさされるものではありません」と強調している

さらに文書には、「党の組織として、しっかり党勢拡大のための活動をしていただきたいという趣旨で、党勢拡大のための活動費として支給したもの」とする森山裕幹事長のコメントや、政党助成金に関する党規約も添えられている。報道によるダメージをなんとか最小限にとどめようとする意図がアリアリだ。

しかし、そうした“工作”も虚しく、選挙の勝敗を左右する重要局面で飛び出した報道による痛手はやはり相当深かったようだ。

「赤旗にリークしたのは誰だ!」

その影響は、「裏金問題」の震源となった「旧安倍派」の議員以外にも広く及んだとみられる。ある議員秘書はこう打ち明ける。

「記事は候補者が最後のスパートをかける『三日攻防』に入る直前に出た。そこからの自民党候補への風当たりはすさまじかった。街頭では有権者にビラさえ受け取ってもらえず、演説に足を止める人もほとんどいなくなった。

うちは投開票日までの期日前で、企業や団体の組織票を積み上げるのがセオリーだが、その動きも例の報道以降はピタリと止まった。あの報道でかなりの数の票が逃げたのは間違いない」

まさに選挙戦の趨勢を決定づけた特報だったわけだが、気になるのは、なぜこの局面で乾坤一擲のスクープを放てたのかということだ。

赤旗が報じた党支部に2000万円を支出するとする内部文書は、情報公開などの手段で得たものではなく、なんらかの手段で独自入手したものであることが明白である。

となれば、誰が何のために、という疑問も湧いてくるが、自民内部にもいま、こうした疑念が渦巻いているのだという。

「党内では、石破総裁をはじめとする現執行部に不満を抱いた自民関係者が流出させたものではないか、という『リーク説』も持ち上がっています。

主流派から外された旧安倍派の議員はじめ執行部に不満を持つ者は少なくない。石破政権の転覆を狙って自爆テロを仕掛ける者がいてもおかしくはありません」(前出の政治部記者)

自民党内に、こうした「反石破」の動きが醸成されつつあるのは間違いないようだ。選挙戦の期間中にも、「石破おろし」とも言えそうな不穏な動きはあったのだという。

さきの衆院選であるベテラン議員の選対に入った自民関係者はこう打ち明ける。

「陣営に自民関係者を名乗る人物から『総裁選では誰に入れたのか』と尋ねる電話が複数かかってきました。彼らは一様にこう言うのです。『高市(早苗)さんに入れたか。入れていたら応援する』と。

決選投票で石破さんと総裁の座をギリギリまで争った高市さんには熱烈な支持者がいます。そうした私的応援団の可能性もありますが、電話が立て続けにあったのがどうも気になります」

 過半数維持のために立てたプランの中身は

安倍晋三元首相の後継者を自任する高市早苗氏が「反石破」の急先鋒と目されているのは間違いない。ただ、さきの総裁選で高市氏を担いだ議員の多くが今回の衆院選で国政からの退場を強いられており、すぐに「反石破」の動きが党内で大きなうねりになっていくとも考えにくい。

とはいえ、衆院選での惨敗によって政局が一気に不安定化したのもまた事実。就任直後から正念場を迎えた石破首相に突きつけられた最初の課題は、選挙で崩壊した、政権運営のための態勢を再構築することにある。

自民内では、その青写真となりそうなプランが急浮上している。ある自民党議員の秘書が打ち明けたプランの中身はこうだ。

「過半数を維持するためには233議席が必要で、自公政権では現有の215議席から18議席の積み増しが必要になる。まずは『裏金問題』で非公認となったなかでなんとか議席を守った平沢勝栄、萩生田光一、西村康稔の各氏を追加公認する。

それ以外に与党に協力する可能性のある無所属議員を7人引き込むことを画策しています。具体的には、大分1区の吉良州司氏、茨城1区の福島伸亨氏、京都4区の北神圭朗氏、福岡9区の緒方林太郎氏、東京26区の松原仁氏、茨城7区の中村勇太氏、鹿児島2区の三反園訓氏の7人です。

そこからさらに、保守系の新党である参政党、保守党を連立に組み入れる。さらに国民民主から議員を1人、引きはがそうとも目論んでいます。

白羽の矢を立てたのが、埼玉13区から初当選した橋本幹彦氏。防衛大学校を経て航空自衛官になり、経営コンサルタントに転じた経歴の持ち主で、28歳という若さも魅力。計画通りにいけばこれで233議席を確保することになりますが、果たしてうまくいくかどうか」

 一部報道では国民民主党に政策ごとに連携する「部分連合」を呼びかける方針も模索しているともされる石破首相。大嵐が吹き荒れる政局に呑み込まれないためにも、難しい舵取りを迫られるのは必至だ。

取材・文/集英社オンラインニュース班

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