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健康に良い食べ物は野菜、魚、そして〇〇! ただし、NGな食べ方も。エビデンスに基づいた“積極的に食べたいもの”はコレだ

集英社オンライン / 2024年11月6日 17時0分

「睡眠は1.5時間周期」はウソだった!なぜ私たちはスッキリと起きられないのか…エビデンスをもとに医師が解説〉から続く

「××を食べると健康に良い」というニュースが世の中にはあふれている。しかし、実は「科学的に本当に健康に良い」といえる食べ物はそこまで多くない。

【画像】食べると心筋梗塞やがんのリスクを下げる食べ物といえば

UCLA准教授で医師の津川友介氏の著書『正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール』より一部抜粋・再構成し、エビデンスに基づいた「本当に健康に良い食べ物」と、陥りがちな食べ方のワナについて解説する。

魚を食べている人ほど死亡リスクが低い

ずばり、健康に良い食べ物の筆頭は魚である。

魚を食べている人ほど死亡率が低い。2016年に、欧州の権威ある栄養学の雑誌に12の研究(合計67万人)のデータを統合した研究の結果が掲載された。それによると、魚の摂取量が多い人ほど死亡するリスクが低いことが明らかとなった。

では魚はどれくらい食べればよいのだろうか。

1日60gの魚を食べていた人は、魚を全く食べない人と比べて12%死亡率が低かった。しかし、食べれば食べるほど健康上のメリットがあるわけではなく、図からも分かるように、1日60g以上の魚を食べてもプラスアルファの効果はなさそうである。

ちなみにこの複数の研究を統合した論文に含まれたものとして、日本人を対象とした研究も2つあり、両方とも魚の摂取量が多いほど死亡率が低いという結果が得られた。

また、魚を食べると、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化のために起こる病気を予防する可能性もある。複数の研究を統合した研究によると、1日あたり85〜170gの魚(特に脂の多い魚)を摂取すると、ほとんど魚を食べない人と比べて心筋梗塞によって死亡するリスクが36%も低いことが明らかになった。

さらに魚を食べるとがんのリスクも下がる可能性が示唆されている。21の研究を統合した研究によると、オメガ‐3脂肪酸換算で1日0.1gの魚を食べると、乳がんのリスクが5%下がる可能性があると報告されている。

こちらに関しても食べれば食べるだけリスクが下がるわけではなく、ゼロから少しだけ(オメガ‐3脂肪酸で0.1g/日)食べた時に一番リスクが下がるので、少量の魚をコツコツと食べるのが良いだろう。

この他にも、魚の摂取は、大腸がんや肺がんのリスクも下げる可能性があることが報告されている。

一方で、魚を食べても胃がんのリスクは下がらないと考えられている。また、前立腺がんに関しては、がんになるリスクを下げることはないものの、がんになった時にがんに関連して死亡するリスクを下げる可能性があることが分かっている。

野菜は身体に良いが、野菜ジュースはNG

野菜や果物が健康に良い食べ物であることは、多くの人がすでに知っている常識である。しかし、野菜や果物なら何でもいいというわけではない。

未加工の野菜や果物が健康に良いという研究結果はたくさんあるものの、野菜や果物をジュースやピューレなどに加工したものでは健康上のメリットがなくなってしまう可能性が示唆されている。

「未加工の野菜や果物」とは、生である必要はなく、茹で野菜でも野菜のスープでも良い。一回冷凍した野菜や果物を解凍してもそれほど大きな変化はないだろう。しかし、加工品になると話は変わってくる。

ここで言う「未加工の野菜や果物」とはスーパーや八百屋で売っている本物の野菜や果物のことであり、フルーツジュースやピューレなどの加工されたものは含まない。これらは加工の過程で、不溶性の食物繊維(水溶性の食物繊維は加工品にも含まれる)などの重要な栄養素が失われてしまうため、健康上のメリットが失われていると考えられている。

そう考えると、大部分の不溶性の食物繊維が失われていると思われるコールドプレスジュースよりも、未加工の野菜や果物をそのまま破砕するスムージーの方が健康に良いと思われる(この2つを実際に比較した研究はないため、これは筆者個人の見解である)。

では、野菜や果物にはどのような健康効果があるのだろうか。16の研究をまとめた研究によると、1日の果物の摂取量が1単位(バナナなら1/2本、りんごなら小玉1つ)増えるごとに、全死亡率は6%減り、野菜の摂取量が1単位(小皿1杯)増えると全死亡率は5%減ると報告されている。

野菜や果物は食べれば食べるほど死亡率は減るものの、1日の摂取量が5単位(380~400g)を超えると、それ以上摂取量が増えても死亡率は変わらなくなると考えられている。つまり、1日400g位食べれば健康上のメリットは十分であると言って良いだろう。

心筋梗塞や脳卒中などの疾患によって死亡する確率は、野菜や果物の摂取量が1単位増えると4%下がり、糖尿病の発症率も果物をほどほどに食べている人の方が低いと考えられている。

ちなみにじゃがいもを野菜だとイメージする人もいるかもしれないが、じゃがいもは「白い炭水化物」となるので注意してほしい。じゃがいもはフライドポテトやポテトチップスといった悪しき食品の代表格でもあり、糖尿病や肥満のリスクを高めることが研究で示されている。

“茶色い炭水化物”は、心筋梗塞や脳卒中のリスクを21%も減らす

そして3つめは「茶色い炭水化物」だ。

「茶色い炭水化物」とは、玄米、蕎麦、全粒粉を使った茶色いパンなど、精製されていない炭水化物のことを指す。

数々の研究において、精製されていない「茶色い炭水化物」は健康に良いと報告されている。アメリカ、英国、北欧の国々で行われた研究を統合した78万6000人のデータを用いた研究によると、1日70gの茶色い炭水化物を摂取したグループは、それらをほとんど食べないグループと比べて死亡率が22%低かった。

7つの研究を統合した別の研究によると、茶色い炭水化物を多く食べるグループ(1日2.5単位以上)は、少ないグループ(1日0・2単位未満)と比べて心筋梗塞や脳卒中といった動脈硬化によって起こる病気になるリスクが21%低かった。

糖尿病のリスクが下がることも複数の研究結果によって明らかとなっている。

玄米を多く食べるグループ(週に200g以上)は、玄米をほとんど食べないグループ(月に1 00g未満)と比べて糖尿病になるリスクが11%低かった。この研究によると、1日50gの白米を玄米に置き換えることで糖尿病のリスクを36%下げることができると推定された。

このように健康メリットの大きい茶色い炭水化物であるが、注意しなくてはいけない点もある。

スーパーやコンビニのパンの中には、「全粒粉」と書いてあっても実は全粒粉が少ししか含まれておらず、ほとんどが精製された小麦粉という商品もあるので気をつけてほしい。また、蕎麦についても十割蕎麦や二八蕎麦のように、できるだけ蕎麦粉の割合が高いものを選ぶのが良いだろう。

「最新の研究で健康にいいことが明らかに!」をすぐ信じてはいけない

ところで、皆さんがテレビやネットなどのメディアで毎日のように目にする「健康に良いということが最新の研究で明らかになった」とうたわれる食品のほとんどは、「ひょっとしたら健康に良いかもしれない」というグループに属する。

つまり、健康に良いという研究結果が1つ2つあるかもしれないが、本当に健康に良いのかはまだ確定ではない。

数か月後には同じ食品について「最新の研究で健康に悪いことが分かりました」というニュースを目にすることになるかもしれないし、実際にそういったことはしばしば起こる。そのような「賞味期限の短い健康情報」に一喜一憂することにあまり意味はない。

本記事で紹介した「健康に良い食べ物」は複数の信頼できる研究で報告された食品である。

目新しさや話題性はないかもしれないが、やはりすでに健康に良いことが長年の研究から証明されている食品を日々の食事に取り入れることこそが健康を確約すると言える。

図/書籍 津川友介著『正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール』より
写真/shutterstock

正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール

津川 友介
正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール
2024年10月18日発売
682円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4-08-744707-1

為末大さん(元陸上選手)
健康の〈型〉がここにある。
健康知識を手に入れることは、最も効率が良い投資なのだ。

宋美玄さん(産婦人科医)
この一冊には、健康に関するあらゆることが高いエビデンスレベルのもと網羅されています。
高価なサプリやダイエット法に「なんとなく良さそうだから」と飛びつく前に読んでほしい。
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市原真(病理医ヤンデル)さん(医師)
「行動選択の拠り所」になる医学に気軽にアクセスできる。
私はもう一冊買って親に送る。

少し意識を変えるだけで、重い病気になるリスクを劇的に下げられる――!
最新研究から明らかになった、健康に生きるための黄金のルール。

医師で世界的な研究者である著者が、質の高い論文175本を選び抜き、
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病気になってしまうその前に知っておきたい、今日から実行できる「最強」の健康習慣。

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●1日1杯のお酒は脳卒中のリスクを下げる
●太る野菜・果物もある
●糖質制限ダイエットは死亡率を高める上、リバウンドしやすい
●サプリメントはほとんど気休め
●睡眠時間を1.5時間単位にすると良いというのは都市伝説
●サウナは心臓疾患による突然死のリスクを下げる
●ストレスとがんは関係ない
●加熱式タバコにも多くの有害物質が含まれている
●受動喫煙で毎年赤ちゃんも含めた1万5000人が亡くなっている
●子どものアトピーは保湿によって予防できる
●花粉症を根治できる治療法がある
●かぜに抗生物質は無意味
●がんを予防するワクチンがある
etc.…

人生100年時代、病気にならずに健康に生きたい人必読の一冊。
(装画・ヤギワタル)

参考論文

・Zhao LG et al. Fish consumption and all-cause mortality: a meta-analysis of cohort studies. Eur J Clin Nutr. 2016;70(2):155-161.
・Yamagishi K et al. Fish, ω-3 Polyunsaturated Fatty Acids, and Mortality From Cardiovascular Diseases in a Nationwide Community-Based Cohort of Japanese Men and Women The JACC(Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk) Study. J Am Coll Cardiol. 2008;52(12):988-996.
・Mozaffarian D & Rimm EB. Fish Intake, Contaminants, and Human Health: Evaluating the Risks and the Benefits. JAMA. 2006;296(15):1885-1899.
・Zheng JS et al. Intake of fish and marine n-3 polyunsaturated fatty acids and risk of breast cancer: meta-analysis of data from 21 independent prospective cohort studies. BMJ. 2013;346:f3706.
・Wu S et al. Fish Consumption and Colorectal Cancer Risk in Humans: A Systematic Review and Meta-analysis. Am J Med. 2012;125(6):551-559.e5.
ただし、日本人におけるエビデンスは不十分である。
・Song J et al. Fish Consumption and Lung Cancer Risk: Systematic Review and Meta-Analysis. Nutr Cancer. 2014;66(4):539-549.
・Wu S et al. Fish consumption and the risk of gastric cancer: systematic review and meta-analysis. BMC Cancer. 2011;11:26.
・Szymanski KM et al. Fish consumption and prostate cancer risk: a review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2010;92(5): 1223-1233.
・Wang X et al. Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ. 2014;349:g4490.
・Li M et al. Fruit and vegetable intake and risk of type 2 diabetes mellitus: meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ Open. 2014;4(11):e005497.
・Zong G et al. Whole Grain Intake and Mortality From All Causes, Cardiovascular Disease, and Cancer: A Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. Circulation. 2016;133(24):2370-2380.
・Mellen PB et al. Whole grain intake and cardiovascular disease: a meta-analysis. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2008;18(4):283-290.
・de Munter JSL et al. Whole Grain, Bran, and Germ Intake and Risk of Type 2 Diabetes: A Prospective Cohort Study and Systematic Review. PLoS Med. 2007;4(8):e261.

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