〈ホス狂の母親の告白〉「娘が海外の売春組織に5回目の出稼ぎに…」帰省はわずか2時間、再びホストのために旅立ち…
集英社オンライン / 2024年11月8日 17時0分
昨年11月11日に集英社オンラインで報じた「ホス狂」の実態。名古屋のホストクラブにハマって海外に出稼ぎに出た娘を持つ母親も、「娘は現在、売掛金返済のため6度目の海外出稼ぎに出ている。残金がいくらかもわからない」と嘆く。娘の安否を憂う母親に再び話を聞いた。
〈画像〉「そんな娘に育てたのではない」と言いながらホス狂の娘を抱きしめた両親
浮き彫りになる地方の悪質ホストクラブの違法性
ホストクラブがひしめく東京・歌舞伎町では今年4月から売掛金(ツケ払い)の自主規制が行われている。10月24日には坂井学・国家公安委員長が歌舞伎町を視察し、対策強化を進めている。まだ完全に浄化されたとは言いがたいが、現在は東京より地方のホストクラブの悪質さが目立っている。
今年10月には、強引な営業方法で女性を監禁・恐喝などした、大阪のホストクラブの店長らが逮捕された。女性客に自らを彼氏だと思わせることで高額なお金を支払わせたりする、「一撃マニュアル」と称した犯行を計画的に行うためのマニュアルなども押収され、その悪質性が浮き彫りになっている。
関西地方在住の大山チカコさん(仮名・57歳)は娘のマナミさん(仮名・28歳)が4年前からホスト狂いとなり海外の風俗へ出稼ぎに出ていることを集英社オンラインに語った。
チカコさんと夫は娘の無事を祈りながら「いつか正気に戻ってほしい」と涙ながらに語っていた。取材から1年、娘はどうなったのか再び話を聞いた。
「実は前回の記事が出た直後に、マナミから『この記事はなんですか?』と怒った口調でメールがきました。私は『これが正直な気持ちです。あなたはホストに洗脳されていると思っているし、そのホストに娘が関わったばかりに我が家から笑いが消え、苦しみのどん底に落とされた』と返しました。そのメールに返信はきませんでした」
もともとは保育士だったマナミさん。コロナ禍にマッチングアプリで名古屋のホストクラブの当時従業員だったRと出会い、誘われるままホストクラブに通いはじめた。
そこでお金を遣いはじめ、まずはガールズバー勤務、次にメンズエステ店、そしてデリバリーヘルス、さらには海外への出稼ぎ売春と、より“稼げる”職に仕事を変えていったようだ。
「当時、主人がマナミに貸していたiPadやiPhoneの履歴から勤務先が判明しましたし、3000万円に膨れ上がった売掛金がRの個人口座に振り込まれていることもわかりました。娘は2022年から今年9月に至るまで、オーストラリアの売春組織に5回出稼ぎに出ています。
メールの内容から、それらの指示はRや同業の別の指示役から受けているようで、売掛金の残金が現在いくらかはわかりません」
「年越しを海外の売春宿でするなんて」
マナミさんが保育士を辞めて家を飛び出し、Rと同棲のような暮らしをするまで、何度も衝突してきたマナミさんとご両親。
チカコさんは「もう、私たちが娘に何を言ってもその言葉が届くことはない。縛りつけでもしない限り彼女を止めることはできない」と力なく笑う。
「こうなった以上は、娘が自らの意志で目覚めるまで待つしかない」と心に決めた。そして今年9月29日、チカコさんらが待つ自宅に1年半ぶりに一時帰宅したマナミさんを受け入れたという。
「今年9月上旬、オーストラリアから5度目の帰国後、2週間ほど日本に滞在し、Rとディズニーランドに行ったようです。私は『ああ、またエサを与えているんだな』と思いました。
娘はRにハマりながらも家にも帰りたいようで、『今から行ってもいい?』とLINEしてきました。
1年半ぶりに帰宅した娘を一目見るなり私は抱きしめました」
「娘は出稼ぎ先でどんな生活をしてるのか、詳しくは語りません。でも決して恵まれた環境ではないと想像します。
たまに同じ出稼ぎの女性たちとピザを一緒に食べたりしている様子をInstagramに投稿しています。
でも『一度だけ危ない目に遭った』と言っていました。娘を見送りながら『あなたの身に何か危険なことが起きそうになったら、迷わず逃げてね』とだけ伝えました。彼女は『わかった』と言って家を出て行きました」
こうしてマナミさんは9月30日に、今度は北米の都市部の売春宿に向かっていったという。次の帰国はいつになるのだろうか?
「次の帰国は来年1月だと言ってました。あの子が3年前に海外出稼ぎに出るようになってから、1年の大半を海外で過ごしている状態です。年越しを海外の売春宿でするなんて、想像がつきません。胸が苦しくなります。今はただ無事の帰りを祈るばかりです」
「些細なことをきっかけにホストへの熱が冷めた」
今年5月の段階で、警視庁は買春目的で女性を渡航させる“あっせんグループ”を2件摘発した。海外売春に出かける娘たちの帰りを、親はただ待つしかできないのか。
かつて自らもホストに数百万円もの金額を貢いだことがあるという元ホス狂の高田さん(30歳)に、自身がホス狂の状態からどのように抜けて目覚めていったかを聞いた。
「かつて私はホストにハマっていたことが親や婚約者にバレて、ホストの連絡先などをスマホから消され、無理やり引きはがされました。
そのとき、ホストとシャンパンタワーの約束をしてたので、それが果たせないなら自殺するしかないと思いました。
遺書を書き、市販の頭痛薬100錠をオーバードーズして自殺を図ったのです。その一件があり、親はホスト通いを許し、私は再びホストに会いに行き無事にタワーも済ませました」
しかしその後、ほんの些細なことをきっかけに、高田さんはホストへの熱が一気に冷めることになる。
「そのホストが、タワー後に『今年は2人の姫にタワーしてもらいました』とツイートしたのを見てサーっと冷めました。タワーは私だけって言ってたのに、騙されたと。それまで『君に一番支えてもらってる』と言ってた言葉も嘘だったんだと。自殺未遂までしたのにバカみたい! と一気に冷めたんです」
「自分が一番じゃなかった」ということを思い知ったことで熱が冷めたという高田さん。
「きっと海外に出稼ぎに出ているマナミさんも、今は恋人同士だと思い込んでいるはず。それに若さゆえにハードな海外生活も乗り越えられると思いますが、ふと疲れたときにホストがぞんざいな態度などを取ってきたら、モヤっとするのではないでしょうか。
そのモヤモヤが積み重なり、爆発したときに目覚めると思います。
でも心配なのは、目覚めたあとのこと。日常生活に戻るまでどのくらいの時間がかかるだろうか……」
いくら体を犠牲にして稼いだお金も、いずれRの個人口座に振り込まれてしまうだろう。「一刻も早く目が覚めてほしい」、チカコさんの願いがマナミさんに届く日は来るのか。
※「集英社オンライン」では、ホストクラブをめぐるトラブル、事件について情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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