カラテカ入江「人の名前や顔を勝手に使っていいわけない」“闇営業”パロディポスターで訴訟に踏み切ったワケ
集英社オンライン / 2024年11月12日 10時30分
〈居酒屋チェーン「酔っ手羽」の闇営業パロポスターをカラテカ入江が提訴「自分の会社を守るため闘いました」店側は和解金90万円を支払い〉から続く
吉本興業からの契約解除で“闇営業騒動”で責任を取り、清掃会社経営者としての再起を図っていた入江慎也さんを悩ませたパロディポスター問題。勝訴的和解に至るまでの心境を聞いた。
〈画像〉店舗に堂々と4年間も貼られていたポスターと自身の清掃会社ピカピカで働く入江さん
「弱ってるときにくるのが一番キツイ」
――ポスターのことはどうして知ったのですか?
入江慎也(以下、同) 吉本の後輩と友達3人ぐらいから「こんなひどいの貼ってますよ」ってLINEが来たんです。2019年の8月とか9月、(吉本を)契約解除になってすぐくらいですかね。
「訴えたほうがいいっすよ。やりたい放題じゃないですか」って言われたんですけど、僕も騒動の真っ只中で迷惑かけたばっかりで、怖くてちょっと動けないなと思ったんです。「納得いかないでしょ」って言われたんですけど「辛いけど、無理だわ。ありがとう」って返したんですよね。
コロナになって、1年間アルバイトして清掃会社「ピカピカ」を起業しました。その間も複数の友達から、別々の店で「まだ貼ってある」と聞きました。最後に去年、友達からLINEがきて「まだ貼ってるよ。これひどいよね。入江さんも今違う仕事してんだし風評被害もひどいんじゃない? 剥がしてもらったほうがいいんじゃない?」って知らせてくれたんですよ。
コトが大きくなるのも嫌だったけど、さすがに我慢の限界でした。そこで内容証明を送りました。謝ってほしい、ぐらいの気持ちで「やめてください」っていうくらいの内容でしたが、無視されたんです。
――それで裁判に?
悔しかったですね。「闇営業」って(みられる)のを僕は払拭したくて清掃をがんばってたとこもあるんで。
会社も今は社員が14名いるから、社員のお母さんとかに「闇営業の社長のとこで働いてんの?」と言われるのも申し訳ないと思って。それでさすがに「裁判起こさせてください」って加藤博太郎弁護士にお願いしたんです。
――こうした裁判では比較的高額の90万円の和解金支払いという決着になりました。
裁判所は僕の主張を理解してくれたのだと思います。
僕は今では芸能の仕事をしてないですが、講演会に呼んでいただいたりYouTubeに出させていただいたりはしているので、写真を撮られたり名前が出たりするのは覚悟してるんです。でもこんないじられ方すんのは……。
やっぱ吉本辞めてから、人間的に弱ってるときにくるって、キツいなと思いましたね。現役のときならまだいいですけど。吉本を契約解除になって1人だっていうことを向こうもわかってんじゃないかなと思います。おもしろがってやってるだけだってのはわかるんですけど。でも当の本人には辛かったり、いろんなことは思いますよね。
「自分を守れるのは自分しかいない」
――顔写真や名前を勝手に宣伝に使われた芸能人の被害はよく聞きますか?
例えば、その芸能人が来店したことがないのに「この店に来ました」というポスターを許可なく貼れば、ファンが来るじゃないですか。芸能人の名前が書かれたお花が、あたかもそのお店に届きましたという風に置いてあったりとか、明らかにおかしいのもありますね。
あとは、最近も報じられたりしていますが、まったく縁もゆかりもない詐欺グループが芸能人の名前や顔写真を勝手に使って金銭を集めたりするケースは多いと聞きます。
――今回の入江さんのように裁判になったケースをご存じですか?
いいえ、向こう(店側)も僕がこの状況でまさか裁判してくるなんてまったく思ってなかったでしょうね。
でもさすがに、今は新しい仕事をしていて、あのポスターが確実に会社の足を引っ張るんで、言えるところは言ってかないと、と思いました。自分を守れるのは自分しかいないので。今回が初めてです。裁判起こしたのは。
――今回の結果は、今後同種の問題がいい方向に進むきっかけになりそうですか?
わからないんですけど、自分が納得いかないことは動いたほうがいいんじゃないかなと思うんですよね。
僕も週刊誌にいろいろ書かれて、でも事実と全然違うことも書かれて、そのときは問題が大きくなるのが怖くて言わなかったですけど、今となってはちょっと後悔してる部分もあります。
――今回は裁判に踏み切ってよかったと思いますか?
そうですね。会社を守る上ではよかったと思います。あと、もっとも精神的に弱ってるときにやられてたんで、それが悔しかったです。「いや、一番勢いあるときにきてくれよ」っていう……。ここぞとばかりにくるじゃないですか。
なんかこう、日本の悪い風潮かなと思ったりします。Xを見ていると(誰かが問題を起こすと)「やっぱ俺もそう思ってた」「私もそう思ってた」って(いうポストが)どんどん出てくるじゃないですか。そういうのは気の毒だなと思いますね。
――被告の店側は「クスっと笑ってくれたらいいなと思って作って」と言っています。
少なくとも僕は当時これを見て、笑えませんでした。店で飲んでる人たちが「こいつは闇営業やってクビになったやつだろ」ってネタにしますよね。それがイヤでした。
今回もSNSじゃなくてこのように取材で話しているのは、ちゃんと取材を受けて自分の気持ちを伝えたいと思ったからです。SNSでパッて上げたら、いろんな風に取る人もいるかなと思ったので。この店を攻撃したいとか、そういうわけではないんです。
――改めて、裁判に踏み切った理由は。
会社を守るということ。自分の会社を自分で守るためです。夢があって、目標があって、それに対して(ポスターが)悪影響だなと思ったんです。だから裁判で争おうと決めました。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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