〈たつの市・小4児刺傷〉「みんな犯人はアイツしかいないって…」勝田容疑者の幼馴染が見たイジメと“優しい家庭”
集英社オンライン / 2024年11月11日 7時0分
〈〈18年前の女児刺傷容疑で逮捕〉「少女が腹部から血を流してると興奮する」男は過去、70件以上余罪も「死刑が怖かった」〉から続く
兵庫県たつの市の路上で2006年9月、小学4年の女児(当時9歳)の胸や腹などを刺したとして殺人未遂容疑で逮捕された勝田州彦容疑者(45)。県警の調べに「凶器は捨てた。塾帰りの女の子を狙った」と供述していることがわかった。
優しい母親、警察官の父、優しい雰囲気の家庭…
岡山県津山市の女児殺害事件で無期懲役囚として受刑中に逮捕された勝田容疑者は、兵庫県加古川市で2007年10月に起きた小2女児刺殺事件の関与もほのめかしている。
女児を標的に無慈悲な犯行を繰り返していた勝田容疑者と保育園から中学校まで同級生だったという幼馴染の男性が、集英社オンラインの取材に知られざる一面を語った。
「彼は本当にいたって普通だったと思うんです。目立った悪さをするとか、騒ぎ立てるとか、物を壊すとか、誰かをイジメるとかは僕の記憶の限りではありませんでした」
兵庫県警に勤務する警察官の両親のもとで加古川市に育った勝田容疑者は、暴力とは無縁の物静かな少年だったという。
「保育園でも小学校でも暴力的な子はたまにいますが、彼にはそういう側面は感じられなかった。小さい頃は彼の家にも何度か遊びに行きました。ごく普通の一軒家で、当時からご両親とも警察官と知っていましたが、厳しい家柄という印象はまったくありません。むしろとても優しい雰囲気の家庭で、特にお母さんはとても優しい方でした。
お姉さんには一度も会ったことはありませんでしたが、家族で海外旅行した際に撮った写真を『これお姉ちゃんや』と見せてくれたことがあり、『お姉ちゃんがいるなんてええなあ』みたいな会話をした覚えがあります」
男性が遊びに行くと、勝田容疑者の母親がいつもおやつを出してくれた。家の中には色々な飾りや置物があふれていたという。
「家族旅行のお土産だったのでしょうが、外国の郷土品みたいなのがズラッと並んでいた記憶があります。家族仲もとてもよかったと思います。僕と2人でファミコンとかゲームをすることが多く、遊んでいる時は彼はニコニコいつも笑っていました。少なくとも僕に対して怒ったり、暴力を振るったりという事は一度もありませんでした。
小学校高学年とか中学生くらいになってからは遊ぶこともなくなりましたが、会えば話す関係は続いていました。その頃は特に物静かな雰囲気になっていました。中学時代は、みんなでワイワイするタイプではありませんでしたが、いつもひとりでいるわけでもなく、友達が全くいないということでもありませんでした」
「X JAPANの曲を遠足のバスのなかで熱唱」
当時は、その後に起こす事件の萌芽のようなものが見てとれたことは一度もなかったという。しかし。
「イジメほどではありませんが学校の目立っているグループにからかわれたり、イジられたりしても決して何も言い返さずずっと押し黙っていたことがありました。普通なら抵抗するか、泣いて落ち込むとか、もしくはケンカになりとか何か反応をするじゃないですか。でも無反応なんです。
女子生徒に対しては奥手で話しかけることはありませんでしたが、極端に女子から嫌われていたわけでもなかったと思います。彼女もいなかったと思います。といっても彼が特別変だとか、不登校だったり、問題行動とかはなかったんですよね。でも、親友と呼べる存在はいなかったかもしれません。彼は家の近所の野池でよく釣りをしていましたが、いつもひとりでした」
男性は当時していた習い事に通うために、頻繁にその野池のそばを通っており、その度に勝田容疑者に声をかけた。
「だいたい僕の方から『何しとん? 釣れるん?』とか話しかける感じで、彼の方からはあまり話しかけてこない感じになっていましたね。だからそれ以上に話が広がるということもなくて。
日が暮れて暗くなるまでひとりで釣りをしているのをよく見かけました。中学卒業間近に彼と進路の話もして、彼は地元の私学のあまり賢くない高校を志望していました。僕も彼も不良というわけではなく、単なる勉強嫌いでどうやってサボるかばかり考えていたタイプだったので」
目立つことを避けていたような中学時代の勝田容疑者。しかし、一度だけみんなの前で「特技」を披露したことがあった。
「X JAPANの曲を突然歌い出したんです。遠足に行くバスの中で、カラオケをしようってことになって。だいたいそういうのって目立っている子が歌うじゃないですか。そんな中で彼が突然『ENDLESS RAIN』を歌いだして。この曲は英語の歌詞も多くて、それを彼が上手に歌ったので、意外性もあってバスの中はワーって大盛り上がりでした。
X JAPANは僕らの世代では周りで聴いている子はいなかったので、お姉ちゃんの影響を受けているのかなと勝手に思っていました。彼はそれが嬉しかったのか、帰りのバスの中でも同じ曲を歌っていました」
事件後「犯人はアイツしかいないだろ」と言われていた
中学卒業後に会うことはなくなったが、母親同士が仲良かったため、時おり勝田容疑者の話をする機会はあったという。
「彼が高校卒業後に事件を起こしたと母親から聞いて『は? 嘘だろ。あいつが』としか思えませんでした。彼が最初に逮捕されたのは小学生の腹を殴ったという事件でしたが、以前の彼からはそういう暴力性は全く感じることはありませんでしたから。
ただ、町内会長や自治会の役員を務めていた彼のお父さんがこの事件の直前、地区の集会で『わしもう辞めるんや。今日で辞めるねん』と言い出したことがありました。責任感も強く人望もある人だったので、『何で突然?』と近所が騒然とした直後に彼が逮捕されたんです」
刑事でもあった父親は、息子に捜査の手が及んでいるのを知っていたのだろうか。初犯ということもあってか、勝田容疑者は保護観察付きの執行猶予判決を受けた。今から24年前のことだ。
「彼のお母さんはその後もウチの母親に会うと『州彦は今海外に語学留学してる』『就職して働きだしたの』と以前と変わりなく、気さくに話をしてくれたそうです。お母さんは彼が更生して、もう二度とそういうことはやらないと信じていたんじゃないでしょうか。
そうこうしているうちに、他にもたくさん余罪があるみたいな話になり、驚きました。最後に彼の話を母から聞いたのは、5、6年前の事だったと思います」
男性が勝田容疑者の姿を最後に見たのは、高校時代の通学時だったという。中学時代と特段、見た目や印象が変わっていたこともなかった。
「僕自身は彼が自傷行為をしていたのも知りませんでしたし、昔に楽しく遊んだ記憶しかありません。中学生の同級生とも結婚式などで会う機会がありますが、やはり彼の話になると『ああ……。おとなしいやつだったよな』とか『なんであんなふうになったんだろうな』と話題になりました。
ただ、今回の逮捕された事件に関してはもうずっと前から同級生の間でも『犯人はあいつしかいないだろ』と言われていました。小さい女の子にあんなひどいことをできるやつが世の中にいっぱいいるのは怖いし、いてほしくないという思いがあったんです。
いつか彼に会えるなら話をしてみたいという気持ちがあった僕ですら、今はもう関わりたくないという気持ちの方が強いです。僕にも被害に遭われた方と同年代の子どもがいるので、その子たちのことや残されたご家族のことを思うと苦しくてたまらないのです」
家族ぐるみで付き合いの深かった幼なじみをも苦しめる、勝田容疑者の常軌を逸した犯行の数々。その詳細に明らかになるのはこれからだ。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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