東大首席卒業の元官僚弁護士・山口真由が教える得意分野の見つけ方「たった4つの能力評価をすればいい」
集英社オンライン / 2024年11月27日 7時0分
東大首席→財務省官僚→弁護士→ハーバード留学。輝かしい経歴を持ちながらも、「自分を天才とは思わない」と言う山口真由氏が、努力の具体的な実践方法を伝授する『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』(扶桑社新社)より一部抜粋・再構成してお届けする。自分自身の得意分野や適性を簡単に知る方法とは。
たった4分野の評価をすればいい
得意分野でプロフェッショナルになる、そう思ったときに、では、自分の得意分野はどこなのかがわからない、と思われる方のほうが多いのではないかと思います。
これはしごく当然のことです。誰でも、自分を基準に考えているので、自分がその分野で秀でた能力があると気付かずに、部下や後輩に対して「どうしてこんな簡単なことができないんだろう」と不満に思うものだからです。
私も、高校生のときには、自分が「特に読むのが速い」と思ったことはありませんでした。自覚したのは、何回かまわりの人に「もうこんなに読んだの?」と驚かれたから。周囲の反応を見ながら、能力について気付いて、それに自信を持つようになっていったのです。自分が得意なことを探すのは、案外難しいのではないかと思います。今いる環境が自分に合っていなければ、見つけることすらできないかもしれません。得意なものと出合うこと自体、運の要素も大きいと思います。
だから、ここでは自分の「得意分野」を測るための指標を使いたいと思います。ビジネスにおいて求められるのは、「アウトプットする力」です。そして、精度の高いアウトプットをするためには、必ず「インプットする力」を組み合わせる必要があります。「インプットする力」としては「読む」ことと「聞く」ことが、「アウトプットする力」としては、「書く」ことと「話す」ことが挙げられます。
つまり、自分の得意分野を見極めるために、誰もが小さい頃から日常生活のなかで行っているこれらの4つの行動について、自分の能力を評価すればいいだけなのです。もし、自分での評価が難しければ、自分のまわりの人と比べるのがよいでしょう。
また、「読む」と「聞く」は内向的タイプで、「書く」と「話す」は外交的タイプと、ここでは便宜的に分けることとします。
ひとつの分野を5段階で評価
私を例にとると、私の場合は圧倒的に「読む」ことに特化した人間であるといえます。ここは5段階でいえば「5」です。その次に得意なことは「聞く」ことで、「4」だと思います。次は「書く」ことで「3」くらいとしておきましょう。もっとも苦手なのは「話す」ことで、これは「1」です。
すると、私はやや内向的な方向に寄った、インプット型人間であることがわかります。ですから、私が努力すべきことは、やはりインプット作業を主としたものとなります。
ほかの例を出しましょう。
たとえば、小学校時代の親友の話をすると、彼女は「話す」ことは文句なく「5」でした。誰もが彼女の話に魅了され、彼女がいるだけで、その場に笑いが起こり、ぱっと明るい雰囲気になりました。次に、話を「聞く」のは「4」でした。相づちの打ち方もうまく、彼女に話しただけで悩みが解決した、と思ってしまうくらい聞き上手だったのです。
一方、「書く」ことについては苦手で「2」です。実際に、彼女と交換日記をしたことがありました。話しているときは気にならなかったものの、彼女の文章は飛躍が多くて、主語や述語もはっきりしなくて、なかなか読みにくいなと思いました。
そして、もっとも苦手なのは「読む」こと。大人になってからの彼女は、教科書以外の本を読むことはなかったと公言していました。評価でいえば「1」になるでしょう。
すると、彼女が努力すべきところは、「聞く」と「話す」に特化した外交的なこととなります。ちなみに彼女は、いま美容師をしています。彼女によると、美容師というのは技術はもちろんですが、お客様とのコミュニケーションがとても大事だそうです。話すことも、お客様の話に相づちを打つことも、とても得意な彼女には、まさに天職といえると思います。
ほかの例でいえば、たとえば私の経験してきた分野だと、官僚は、政治家に対して口頭で報告する場合が多く、「話す」能力は、一流の官僚であるための大事な要件でした。これに対して、弁護士、少なくとも企業法務に従事する弁護士は、依頼者に対して文章で答えることが多く、「書く」能力にかけてはプロフェッショナルであることが求められます。
4分野の評価ができないときは
なお、どうしても自分が「読む」「聞く」「書く」「話す」のどれが得意か評価できないとしたら、とりあえず、今の自分の職業や役割について考えてみましょう。きっと自然に自分が得意なものを選んでいると思います。
たとえば接客業をしており、仕事を楽しめているなら、「聞く」「話す」といったことが得意であるのかもしれません。もしくはデスクワークをしていて、適性を感じているのであれば、「読む」と「書く」に優位性があるのではないでしょうか。学生時代の部活動での役割や、あるグループでの〝キャラ〟でもいいでしょう。そういうところから、ひょっとすると、得意な能力が見つかるかもしれません。
もちろん、運悪く不得意なことばかりに囲まれている人もいらっしゃるかもしれません。そういう状況であるならば、「なんとか努力をして克服しよう」と思うよりは、別の得意なものを見つけに、今の場所から移動することを考えてみたほうが賢明なのではないかと思います。
図/書籍『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』より
写真/Shutterstock
〈〈東大首席卒の女性弁護士〉「学生時代はガリ勉男子と、財務省時代は同僚と」なぜ努力の継続にライバルは必要不可欠なのか〉へ続く
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