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〈名古屋 ・3億円結婚詐欺〉シングルマザーに「子ども作ろう」と避妊ナシ、車も売らせて詐取した金は実家の「エノキ工場の借金返済」に

集英社オンライン / 2024年11月18日 19時30分

〈名古屋・3億円結婚詐欺〉「結婚するから避妊しないでいいでしょ?」15人の女を手玉にとった刺青男のゲスすぎる色恋ノウハウ「キレイじゃなければパーツを褒める」〉から続く

15人以上の女性に対し恋愛感情をもたせて結婚を約束し、被害総額約3億円もの金を詐取して詐欺容疑などで逮捕された、名古屋の“頂きオヤジ”こと江尻舟一容疑者(51)と、その部下の武田佑氣容疑者(33)。今回の取材で、詐欺で得た金の一部が江尻容疑者の実家に渡り、被害者が容疑者を問いつめていたことが判明した。

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「貸した2000万円を“倍にして返す”と言って借用書まで書いたのに…」

江尻容疑者と2022年夏にマッチングアプリで知り合い、結婚の約束をしたという40代シングルマザーのGさん。

江尻容疑者はGさんに対して「君の子どもも大事にしたい」「僕との子どもも作ろう」と避妊をすることなく結婚の意思を強く見せたうえで、さまざまな理由をつけて現金2000万円を“借りる”という名目で詐取した。Gさんは言う。

「江尻は私が貸した2000万円を“倍にして返す”と言って借用書まで書きました。私に手持ちの金がないとわかると今度は車を売れと言われ、当時の私は江尻を信じ切っていたので、車を売って得た300万円も渡してしまいました。

子どももまだ小さくて、進学にもお金がかかります。事件が明るみになったことで家族にもバレてしまい、家族との関係も壊れてしまいました」

渡した金の多くは飲み代やブランド品などに消えたようだが、その一部は江尻容疑者の実家に渡っていたという。

「江尻は毎月、実家に15万円の仕送りをしていると言ってました。今思えば仕送りするくらいなら少しずつでも私に返してほしいと思いますが、当時はそれに思い至らなかった。

今年に入り江尻とまったく連絡がつかなくなったので、借用書に書かれた江尻の実家に行こうかとも考えましたが、さすがに気が引けました。でも、何かあったときのためにと探偵を雇い、江尻の父親の携帯番号を入手したのです」

そんな中、今年10月11日に江尻容疑者と武田容疑者が逮捕され、Gさんは混乱とともに「もう自分が貸した金が戻ることはない」と絶望した。

そうして探偵から得た番号に10月28日に思い切って電話をしたという。集英社オンライン編集部は、13分にわたるGさんと江尻容疑者の父親との電話の音声を入手。以下はそのやりとりである。

「お金ってもうないですよね」「ないね」

Gさん 何か言葉でいいので伝えてもらえませんかね。

父親 本当にすみませんとしか言いようがない。ほんと申し訳ないと思っています。

Gさん どうやって生きていったらいいかわからないです。長野のほうに一度行ってもいいですか。

父親 来られたってどうしようもないんだけど。

Gさん 舟一から仕送りなどはもらってたんじゃないですか?

父親 それは俺の「エノキ工場」の会社の借金(返済)に回してた。俺も会社を辞めちゃったから、どうすればいいか俺も悩んでんだ。工場の解体の借金もあるし。

Gさん お金ってもうないですよね。

父親 ないね。

「みんな詐欺のことは知らなかった」

Gさん これからどうしていくつもりなんですか。

父親 どうしていくったって……じっと我慢していくしかねえんだ。

Gさん 本人は会社で働いてると言ってたんですか。

父親 そうそう。たまにしか顔出さなかったけど。みんな(江尻容疑者が詐欺をやってるとは)知らなかった。名古屋の中警察の刑事が家に来て、それで知って驚いてんだ。

Gさん 一度伺わせてもらうときがありましたら、また連絡して行きますので。正式に謝罪とかは考えてないですかね。

父親 ただ謝るだけだね。ほんと申し訳ないと思うだけ。

Gさん 舟一からは親戚に借りたお金があるということも聞いていました。その借金はまだ残ってるんですかね。

父親 もうしっちゃかめっちゃかで、どうしようもない。俺も死にてえほうだ。

Gさん いやいや、私が死にたいです。子どもがいるから死ねないだけです…。

Gさんは他の被害者女性5名とグループLINEで繋がっており、被害者たちの思いを背負って連絡をしていた。この電話のやり取りの印象についてこう話す。

「私自身、ご高齢の江尻の父親を追い詰めたかったわけではありません。だけど、おそらく私たちが渡したお金であろう江尻からの仕送りの総額や、その使い道はどうだったか、もっとしっかり説明してほしかったです。

江尻の代わりに返せとも言えませんが、どこにもぶつけられない思いを父親としてどう考えているかを聞きたかった。でもその反応は決して誠意あるものと思えませんでした。私たちが実家に伺いたい旨を、せめて受け入れてほしかったです……」

音声には「すみません」「申し訳ない」とは口にするものの、どこかのらりくらりとした応答を繰り返す江尻容疑者の父親の声が入っていた。あくまで詐欺を行なったのは江尻容疑者本人で、親に責任を問うのは酷ではあるが、被害女性たちの怒りは収まりそうにない。

取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班

〈名古屋・3億円結婚詐欺〉51歳のバツ2子持ちだった“頂きオヤジ”…親戚の元市議は「人騙す努力したんだから褒めてやってくれ」〉へ続く

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