目隠し黒幕で話題になった「富士山ローソン」が“無法地帯”になっていた! 外国人観光客からは「バカ! 死ネ!」の罵声が飛び交い…
集英社オンライン / 2024年11月23日 11時0分
山梨県富士河口湖町のローソン河口湖駅前店の、道路を挟んで向かいの歩道。今年5月に絶景を遮るように黒幕が張られて物議を醸したが、あれから半年、現場を訪れると、そこには骨組みだけ残された変わり果てた姿があった。
黒幕がなくなった 富士山ローソンの今
2022年秋頃、ローソンの上から富士山が見える様子が絶景だと海外のインフルエンサーが投稿すると、このローソンから見える景色を撮ろうと、外国人観光客が殺到する事態になった。
道路を渡った反対車線の歩道から撮ると全体が上手く撮影できるため、観光客たちは横断歩道のない場所を平気で横切っていく。中にはカメラに夢中になって後ずさりして、知らず知らず車道に飛び出してしまう人も。
こうした問題が相次ぎ、近隣住民から苦情が続出したことから、町は “苦渋の選択”として歩道に黒幕を張ることになった。
当時張られていた黒幕は、長さ20メートル、高さ2・5メートル。非常に圧迫感があり、人を寄せ付けない異様な雰囲気を放っていた。このころ取材に行くと、黒幕や一連の報道による効果もあってか、道路を横切るなどの迷惑行為はみられず、写真を撮っている人も非常に少なかった。
しかしそれから約半年経った11月、この場所は“無法状態”に再び戻ってしまっていた。
11月下旬、黒幕があった場所を訪れると、黒幕はなくなり、大きな骨組みだけが残されていた。代わりに、ローソンの敷地内や歩道には「Do not run out into the roadway!」などと、いたるところに注意書きの看板が設置されていた。
いつから黒幕がなくなってしまったのか、近くを通りかかった住民の人に話を聞くと、「9月に台風が来たとき、危ないからという理由で外していたかと思います。それからはずっとないままですね」とのことだ。
黒幕があった付近には、5月に来たときには見かけなかった警備員の姿もあった。いつ頃からいるのだろうか。
「私たちは黒幕が設置された辺りからここの警備をしています。町役場からの依頼を受けて、朝の9時から17時まで、毎日ここに立っています」
「バカ!」外国人観光客から発せられる罵声
聞くと、黒幕は設置されて早々に穴があけられ、そこから撮影をする外国人観光客が相次いだという。おそらく穴があけられたのは、警備員がいない時間帯。
穴を開けている現場を見たら注意をすることができるが、すでに開いている穴から撮影する分には何も言うことはできない。
以後、今度は穴が開けづらい頑丈な茶色い幕を張った時期もあったが、9月の台風の時期になくなって以来、そのままで、今後再び幕を張るかは検討中だという。
5月に幕を張った際は、テレビなどでも大々的に報じられ、「感じの悪い対策だ」「もっと警備員を増やせばどうにかなるだろう」「せっかく来てくれた観光客が気の毒だ」などと、幕を張った自治体を批判する声も多く見られた。
しかし、幕がなくなった現在はどうか。取材していたわずかな時間だけでも、外国人観光客が車道を横切る場面に何度も遭遇した。その都度、警備員が「No No!」などと声をあげ、信号のある交差点から渡るようによびかけていた。
注意されると素直に従う人もいる一方で、不服そうににらんでくる人など、不穏な空気が流れる瞬間もあった。案の定、注意がきっかけでトラブルになったこともあるそうだ。
「『バカ』とか『死ネ』とか『あっちいけ』とか、片言の日本語で罵声を浴びせられたこともありますね。外国人の方かと思って、英語で日本人の方に注意した際は、『俺は日本人だわ!』なんて言われたこともあります。
『日本人ならちゃんと横断歩道を渡って』と注意すると、今度は『敬語を使えよ。お前の友達じゃねえんだから。“渡ってください”だろ!』なんて言われましたね」
外国人観光客の問題だけのように思われているが、ここでは日本人観光客も同じく、マナーが酷いのだ。「日本人のマナーがこんだけ悪いんだから、外国の人のマナーが悪くてもしょうがないと思っちゃいますね」と警備員は嘆いていた。
歩道を埋め尽くすほど群がる観光客
この日は昼頃、分厚い雲に富士山が覆われ、ローソンからは富士山が見えていなかったが、それでもこの場所から写真を撮ろうと、観光客がコンビニ周辺でたむろしていた。
そして夕方、雲が消えて富士山があらわになると、観光客の数は倍増し、歩道や駐車場など、そこらじゅうでみんなが写真を撮っていた。特に、黒幕があった場所は人気が高く、通行人が通れないほど人が群がり、必死になってシャッターを押している。
当のローソンはどう思っているのか。中にいた店員に取材を試みると、「ローソンの広報部の方に話を通してほしいと言われていますので……」と、心境を聞くことはできなかった。
この惨状を見る限り、再び黒幕を張るのもやむを得ないだろう。大きな事故が起こる前に、なんとか問題が解決してほしい。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部
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