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バカリズムが語るテレビ愛「テレビを悪く言う人は、テレビに関わらないでほしい」「必死に流行を取り入れようとすることの方がセンスない」

集英社オンライン / 2024年12月1日 17時0分

バカリズムの“狂気”で成り立つ、コスパ度外視な『私のバカせまい史』。その全過程を公開「スタッフさんは、どんな番組よりもつらい仕事だと思うけど…」〉から続く

2023年よりレギュラー放送中の『私のバカせまい史』。そのMCで研究長、バカリズムのフジテレビ原体験は、『オレたちひょうきん族』だった。後編では、普段はクールな印象のある彼のテレビ愛が炸裂した。〈前後編の後編〉

【画像】フジテレビのお笑いに憧れて上京した、バカリズム

「やっぱり今でも一番出たいのはテレビ」

――フジテレビの深夜でバラエティ×教養をテーマにした番組というと、90年代には『カノッサの屈辱』や、2000年代には『お厚いのがお好き?』などがありますが、フジテレビという局に対しては、どんなイメージを持たれていますか?

バカリズム(以下同) 『カノッサの屈辱』は僕も視聴者として好きでしたし、この番組を立ち上げるときにも、そういう系譜だろうなとは思っていました。くだらないことを本気で調べて掘り下げる。フジテレビのよさですよね。

個人的にフジテレビの原体験は圧倒的に『オレたちひょうきん族』です。あとは『27時間テレビ』のお祭り感とか、フジテレビのお笑いは好きでしたね。そういうのを素人のときに見て、東京には楽しそうな世界があるんだと思って憧れて上京しましたから。

でも、いざ自分が芸人になってテレビに出るようになったら、あの頃のような豪快なお金の使い方は、バラエティではできなくなっていましたね。

僕が番組収録の前説をやったり、テレビにはまだ出られないくらい若手の頃に、大御所の番組にはまだお金があったみたいですけど、ちゃんとテレビに出られるようになった頃にはもうバブルは終わっていましたね。

――かつては唯一無二だったテレビも、いまやライバルとなるメディアが乱立しています。

予算が減ったり、全体の視聴率が下がったことで、テレビが衰退しているとかよく言われますけど、僕はそんなふうには思っていないです。やっぱり今でもテレビは好きでよく観ますし、一番出たいのはテレビです。

なので、テレビのことを悪く言う人は、テレビに関わらないでほしいです。今でもテレビが好きな人たちだけで楽しくやっていければいいと思います。僕はテレビのことも、フジテレビのことも、ほかのテレビ局のことも、悪く言いたくない。

もちろん予算がこの先も減っていく可能性はあるでしょうけど、だからといって、ネットの方がいいとも思わないですし。僕はテレビが好きで、テレビに出たくてやっているので。

自分の感性を信用したものづくり

――テレビドラマの脚本も書かれていますが、それもテレビが好きだから?

そうですね。個人的にドラマはもともと見なかったのですが、脚本を書く分にはテレビドラマは楽しいです。

毎週同じ時間に楽しみに待ってくれている視聴者がいて、翌日その話題で盛り上がったりとか、現場で一緒になったメイクさんから考察なんかを聞いたりして、それを受けて脚本をちょっと変えてみたり、そういうのが楽しい。

映画とか配信ドラマだと、反応を受けて書き換えたりできないじゃないですか。なので、これからは配信ドラマの時代だとか言われても、必ずしもそうとは思いません。観ている人の数がどうということではなく、僕にとっての作る醍醐味は、連続ドラマのほうに多いと思っているので。

もっと言うと、テレビが時代遅れとか古いとかって言われることがありますけど、それってあくまでメディアの種類の問題で、内容の問題ではないですから。

テレビだから古いとか、配信ドラマだから新しいとかって、内容は関係ないじゃないですか。テレビにも新しい感性の番組はあるし、配信ドラマにだって古い感性の作品はある。むしろ、前のめりで必死に流行を取り入れようとすることの方がセンスないと個人的には思っています。

僕は自分の感性を信用してものづくりをしているので、いまだにテレビでやってるなんて古いと言われてもなんとも思わないです。

続ける番組、続けなくていい番組

――バラエティ番組をはじめ、表現などの規制については、どう感じていますか?

過激なことをやっているから攻めてる、尖ってるという見方は、僕の中ではっきり間違いだと思っています。お笑いの感覚的に攻めてるかどうかの方が大事だと思います。

僕の中には割と明確な基準がちゃんとあるので、そこはブレずにこの先もやっていきたいと思ってます。

――より数字を求められる状況になり、志はあったとしても、それだけではなかなか番組を長く続けることが難しくなってきていると思うのですが、そのあたりについては?

番組によって、とにかく続けることが最大の目的の場合と、なにかを妥協しておもしろくなくなるくらいなら続けなくていいやっていう場合と、いろいろあると思います。

もし続けることがなによりの優先事項だとしたら、スタッフや出演者があんまりおもしろいと思えない改編だとしても、続けるために仕方なく受け入れる、というパターンはあります。

そういう意味で『私のバカせまい史』は、もちろん続いてくれたらうれしいですが、僕の中では形を変えておもしろさを損なってまで続けることが最優先の番組ではないと思うので、最悪、いつ終わっても後悔がないように、全力を出し尽くそうと思っています。

これはもう番組を立ち上げたときに、この番組の趣旨は守り抜きたいと思えたいい番組なので、最後まで自分がやれてよかったなと思えるように、振り返ったときに誇れる番組にしていきたいと思ってますね。

〈前編〉 バカリズムの“狂気”で成り立つ、コスパ度外視な『私のバカせまい史』。その全過程を公開「スタッフさんは、どんな番組よりもつらい仕事だと思うけど…」はこちら

取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/野﨑慧嗣

〈番組詳細〉

『私のバカせまい史』

毎週木曜日 24時25分~24時55分に絶賛放送中!

バカリズムがMCを務める、誰も調べたことがないような“せま~い歴史”=「バカせまい史」を紹介する、バカバカしくも知的好奇心をそそる新趣向のバラエティー番組。

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