「今さらカネが原因とは考えにくい」楽天・マー君“電撃退団”のなぜ…移籍で「神の子」復活はあるのか?
集英社オンライン / 2024年11月25日 17時20分
球界に激震だ。東北楽天ゴールデンイーグルスは24日、田中将大投手(36)を30日に提出予定の契約保留者名簿に掲載しないことを発表した。プロ200勝を目前にした、まさかの退団劇の背景とは?
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自身のYouTubeでは大きなため息も
楽天球団から発表があった24日、田中も自身の公式YouTubeで「楽天と来季の契約を結ばずに新たなチームを探すことに決めた」と語った。来季 、どこでプレーするかは「まだ何も分からない状態」だという。
田中といえば、2013年に開幕から24連勝し、球団初のリーグ優勝、日本一に貢献。東日本大震災からの復興をめざす東北の象徴的な存在にもなった。
その後はヤンキースに移籍し、メジャー通算78勝。21年に日本球界に復帰するにあたり、「再び楽天を日本一に」と語っていただけに、今回の“電撃対談”には驚きの声があがっている。
「今季は春先から調子が上がらず、本人にとってはプロ入り後、最も苦しいシーズンになった。もはや全盛期のピッチングを望むのは酷な年齢でもある。それでも、マー君といえば楽天を象徴する選手で、球団初の日本一の立役者。そんな功労者だけに、あと3勝に迫っていた通算200勝を達成した後は、将来の監督候補として球団に残るのは既定路線と思っていたんだけど…」(球界関係者)
楽天球団の石井一久SDによると、来季の契約にむけ、減額制限(年俸1億円超えは40%)を超える大幅な減俸を提示したが、折り合いがつかず、本人が自由契約扱いを望んだというのが、本当にカネが原因だったのか?
「田中の今季年俸は2億6千万円プラス出来高払いだから、球団からの1億円以上のダウン提示を田中側がのめなかったということになる。とはいえ田中はメジャーでは20億円以上の年俸を何年ももらい、2021年に楽天に復帰した際も推定年俸は9億円。つまりもう一生分の給料はもらっているわけで、今さら“カネが原因”の退団とは考えにくい。
田中はプライドも人一倍高い選手だから、待遇や自身の扱いについて、腹にすえかねたことがあったのではないか。退団を発表したYouTubeでは大きくため息をついたりしていて、本人としては苦渋の決断だったことが見て取れる。
昨年、安楽の“パワハラ退団騒動”の際に、『安楽を増長させたのは、彼をかわいがっていた田中にも責任の一端があるのでは』との声が内外からもあがっていたが、そのころからもう球団との信頼関係にほころびがあったのではないか」(前同)
今季1軍初登板で見せた「衝撃の光景」
そんな田中を巡っては、今後は複数球団による争奪戦が予想されている。
「日米で培った経験、投球術は大きな武器。さらに彼のこれまでの経験を若手選手に伝授してもらえたら球団としてメリットも大きい。あれだけの人気選手だから、加入すればグッズ収入だって見込めるだろう」(前同)
その一方で日本復帰後、4シーズンの成績は登板73試合で、20勝33敗。昨年はリーグ最多の11敗を喫し、防御率は自己ワーストの4.91。今季はわずか1試合の登板で自身初のシーズン未勝利に終わっていた。この“右肩下がり”の状況に不安がないわけではない。
「昨年10月に右ヒジのクリーニング手術を受け、今季は春季キャンプこそ1軍スタートだったが、なかなか調子が上がらず、二軍暮らしが続いた。今季初先発となった9月28日のオリックス戦(楽天モバイルパーク)では、変化球主体にモデルチェンジした姿を見せたが、“神の子”の代名詞だったスライダーのキレはなく、ストレートも最速147キロどまり。
腕の振りがにぶく、球は上ずり、決め球となるボールもなかったため、終始、投球の組み立てに苦労していた」(パリーグ・スコアラー)
結局、この今季、唯一となった1軍登板は、5回、93球で6安打4失点、最速は147キロを記録したが、奪三振はわずか1つだった。この結果に田中は、
「球場全体ああいう声援をいただけてすごく嬉しかったですね。こういう試合にしてしまってるので、結果が全てかなと。マウンド上がったら、自分の事情なんか関係ないんで、今日はこういう投球になってしまってゲームを落としてしまって悔しいです」とのコメントを残した。
「399日ぶりの本拠地1軍マウンドながら、田中は本来の投球ができないことに、マウンド上でイラだっているようにも見えたし、対戦したオリックス打線も、『これが本当にあのマー君なのか』と驚いていたのではないか。
もちろん、あれが本来の投球だとは思わないが、今後、どこまで復活を望めるかは未知数。純粋に“戦力”として考えるのならば、年俸次第ではあるが、慎重になる球団も多いのではないか」(前同)
現時点では先発投手のコマ不足に泣くヤクルト、菅野智之のメジャー移籍の際にはその穴埋めをしたい巨人、さらには井上新監督を迎えて新風を呼び込みたい中日などの争奪戦参戦が噂されるが、はたして。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 写真/共同通信社
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