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赤ちゃんには床暖房も危険⁉︎ 冬こそ危ない、子どものやけど最前線…スマホ・タブレットにも要注意!〈家庭での正しい対処法を解説〉

集英社オンライン / 2024年11月30日 11時0分

長い長い夏から一転、急激にやってきた今年の冬。全国各地で一気に冷え込みが強まり、暖房器具や防寒アイテムを使い始めたという人も多いのではないだろうか。そこで気を付けたいのが、子どもの思わぬやけどについて。冬に潜む子どものやけどの危険や、その対策について、の皮膚科専門医・玉城有紀氏に聞いた。

【画像】子どものこんな体勢も"低音やけど"要注意

重症化しやすい、子どものやけど&低温やけど

ヒーターやこたつ、ホットカーペットなどの暖房器具にお世話になるこの季節。それらによる子どものやけどには注意が必要だという。

「暖房器具やカイロなどの防寒アイテムも、使い方によってはやけどや低温やけどの原因となります。

子どもは皮膚が薄く面積も狭いため、やけどが重症化しやすいので、親は気を付けてあげてください」(玉城有紀氏、以下同)

特に冬場に気を付けたいのが、低温やけどだそう。そもそも低温やけどとは、どういう状態を指すのか。

「それほど高温ではない44度~50度くらいのものに長時間触れていることで起こるやけどが、低温やけどです。

44度なら約5時間、50度なら約2分、皮膚の同じ場所に接触していると起こるとされています。

皮膚の奥までじわじわとダメージを加えられているので、想像以上に深いやけどになることもあります」

しかも低温やけどが厄介なのは、「自分では気付きにくい」点にある。

「低温やけどは、熱さや痛みを感じにくいので、すぐに気付きづらいのが特徴。痒みや皮膚の感覚が鈍くなることで気付くか、翌日、水ぶくれができてようやく気付くことも。

水ぶくれは皮膚の奥にまでやけどが及んだ状態。このように、低温やけどは知らぬ間に症状が進行していることが多いのです」

幼い子どもほど、自分からSOSが出せないもの。親による子ども目線での対策が必須だということをまずは意識しておこう。

NICUでの低温やけど事例も。危険が潜む場面をチェック

では、冬のどんな場面でやけどや低温やけどの危険があるのか。

「子どもでありがちなのが、加湿器の蒸気やお湯ポットの湯気に顔や手を近づけたり、ウォーターサーバーのお湯を出してしまったりという行動。これらは非常に高温なものを直接肌に当てることになるので、やけどの原因になります」

続いて、低温やけどの原因となる家の中の危険も。

「湯たんぽ、電気毛布、使い捨てカイロなどの肌に直接触れる防寒アイテムには要注意。

特に私が勤務しているクリニックでも、毎年使い捨てカイロによる低温やけどの受診は多いですね。

また、かつて某病院のNICU(新生児集中治療室)で新生児に電気毛布を使用して低温やけどを起こした事例もありました。

赤ちゃんは月齢が低いほど皮膚が薄く、やけどや低温やけどになりやすいので、細心の注意を払ってください」

赤ちゃんがいる家庭では、こんな暖房器具にも注意が必要。

「床暖房やこたつです。寝返りがうてない低月齢の赤ちゃんに使用すると、長時間背中に熱があたることになります。また、赤ちゃんでなくとも、うっかり使用中に寝てしまうと低温やけどの原因となるので、気を抜かないでくださいね」

寝落ちによる低温やけどの危険は、屋外にも。

「電車やバスの座席にヒーターがついていることもありますよね? 設定温度にもよりますが、こちらも座りながらつい寝てしまった場合、長時間同じ姿勢になってしまいがち。低温やけどになることもあります」

また、こんな意外なものにも低温やけどの危険が潜む。

「ノートパソコン、スマホ、タブレットです。例えば、動画視聴などで長時間稼働していると、端末自体が熱くなります。

それらを子どもが膝の上などに置いて使用することで、低温やけどになることも。特に子どもは動画視聴やゲームに集中していると、ずっと同じ姿勢になりがち。気を付けてください」

思わぬやけどを防ぐための、自宅ですべき対策

やけどは怖いが、これらの家電や防寒アイテムに一切お世話にならないことも、非現実的。安全に使用するための対策は?

「低温やけど対策は、とにかく肌の同じ場所に熱が当たらないようにすることがポイントです。

湯たんぽならばタオルにくるんで使用する、カイロは服の上から使うなど、直接肌に熱が当たらないようにしてしようしてください。

また、床暖房やこたつなどの暖房器具の使用時には、万が一寝てしまうことを想定して、タイマー設定を推奨します。

加湿器やお湯ポットは、そもそも子どもの手が届かない場所に置く、ウォーターサーバーはロック機能を使うなどの基本的な対策も忘れずに」

子どものやけど、正しい一次対応とは

とはいえ、親がどれだけ対策をしても、全ての事故を防ぎきれないのが子どもとの生活。

もしも、子どもがやけどしてしまった際の対処法も聞いた。

「やけどや低温やけどになってしまったら、まず流水で10分~20分冷やしてください。細菌が入ってしまうこともあるので、水ぶくれは破かないように。冷やしても赤みが引かないようだったら、早めに皮膚科を受診をしてください」

やけどの家庭での応急処置として、やりがちな失敗も。

「ガーゼで患部を保護してしまうと、はがす時に強い痛みを伴います。

もしもガーゼを使った場合は、クリニックではお水やお湯で濡らしてからゆっくりはがすことになります。それでも泣いてしまうお子さんが多いですね。

大人に比べて子どもは治癒力が高いので、やけど自体は治りやすいです。慌てずに対応してくださいね」

安全性と防寒性を両立しながら、親子で厳しい冬を乗り越えよう。

取材・文/菱山恵巳子 写真/Shutterstock

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