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〈斎藤知事・公選法違反疑惑〉“広報”女性社長は「一度もやったことない」のに兵庫県eスポーツ検討会委員に選ばれていた…社長を選挙カーに上げた理由を聞かれた知事は仰天回答

集英社オンライン / 2024年11月26日 11時13分

〈斎藤知事に公選法違反疑惑〉票を「収穫」、広報の「お仕事」と女性社長がウッカリ暴露。社長は過去に兵庫県の知事直轄事業「空飛ぶクルマ」にも関与か〉から続く

失職後の出直し知事選で当選してから一週間も経たずに買収疑惑が噴き出した、兵庫県の斎藤元彦知事。11月25日には失職の背景となった公金不正支出疑惑などを調べる県議会特別調査委員会(百条委)の証人尋問を欠席して東京での全国知事会へ向かったが、メディアの質問攻めに遭い、一層の窮地に追い込まれた。斎藤氏を取り巻く状況は厳しくなったとの見方が強まっている。

〈画像〉選挙カーの上で斎藤氏をスマホで撮影するカメラ目線の折田氏

「特定の団体・個人やものを支援する意図もない」と書かれているが…

今回の問題は、選挙戦で斎藤氏から「広報全般を任された」と主張する兵庫県西宮市のコンサルティング会社「merchu」の代表取締役・折田楓氏が、選挙3日後の11月20日、自らのnoteに斎藤陣営のSNS戦略の内幕をつづったことで火が付いた。

折田氏は自身が斎藤陣営のXやインスタグラムやYouTubeなど4つのSNS公式アカウントを「管理・監修」したと誇示。

「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」とも言い切っている。

さらにこうした作業を「東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」「特定の団体・個人やものを支援する意図もなく」と書き、これらの作業はボランティアではなく会社の業務だったと明言したのだ。

大手紙政治部デスクはこう指摘する。

「SNSによる広報戦略を業務で行なったことが事実なら、インターネットによる選挙運動を行なった者への報酬支払いを買収と規定する公職選挙法違反にあたるとみられます。

今の時代にネット制限するのは違和感があるかもしれませんが、選挙は無報酬が原則です。事前に選管に届け出たウグイス嬢と手話通訳者、要約筆記者、事務員だけが例外になると明確に決められていて、それ以外の人にお金が渡ればアウトです。陣営の責任ある者が買収したとなれば、候補者本人の当選が無効になります。

折田氏のnoteは記述が具体的で、それを裏付けるビジュアル資料も豊富です。永田町界隈では『斎藤氏は当選無効を免れるのはかなり難しいのではないか』という声でもちきりです」(政治部デスク)

ポスター制作をする人がなぜ選挙カーの上に乗ってSNS配信を?

週明けの25日にはついにNHKや東京キー局もこの疑惑を大々的に扱うようになり、全国知事会に“再デビュー”したばかりの斎藤氏は記者団に囲まれる羽目になった。

斎藤氏は、merchu社に「ポスターの制作など」の対価として70万円あまりを支払ったと説明。

SNS戦略は「あくまで斎藤、そして斎藤事務所が主体的にやっていた」「(折田氏はSNSによる発信を)個人として、ボランティアで対応していただいたと認識しています」と主張した。

「折田氏はnoteなどで、10月1日から11月17日の選挙当日までネットによる選挙戦略を四六時中展開したと主張しており、merchu社の社員が動員されていた気配もあります。

70万円あまりというポスター制作関連費用だけを払い、残るネット関連の作業は全部無償だとの斎藤氏の主張は簡単には信じられないですね。また、そうだった場合は、折田氏やmerchu社員によるSNS絡みの膨大な労務の提供が公選法や政治資金規正法が禁じる寄付にあたる可能性も出てきます」(政治部デスク)

当然、記者団からはこの点について質問が相次いだ。だが斎藤氏は「公職選挙法に抵触するような事実はないと私は認識してますし、この件については今、代理人の弁護士に対応をお願いしています」と繰り返すだけで、説明を拒み続けた。

「SNS戦略の主体が折田氏なのか、斎藤氏が主張するような陣営なのかは斎藤氏のSNSの公式アカウントのコンテンツを見れば分かりそうです。象徴的なのが選挙戦最終日の11月16日夜、神戸の繁華街で数千人の支持者が集まったとみられる斎藤氏の演説の場面です。この時、選挙カーには折田氏も自ら上がり、演説する斎藤氏のライブ動画の撮影をしていました」(現場にいた記者)

宣伝カーの上で斎藤氏を撮影する折田氏の姿は、斎藤陣営の公式YouTube動画にも、折田氏のnoteに掲載された写真でも確認できる。

それ以前の演説の際にも折田氏はたびたび選挙カーの上で目撃されている。記者団の質問がこれに及んだ時、斎藤氏はついに説明がつかなくなった。

記者「ポスターの制作をする人がなぜ斎藤さんの横で選挙カーの上に乗ってSNS配信をしていたんでしょうか?」

斎藤氏「そこは弁護士、代理人の方が対応を今考えていますので」

折田氏が選挙カーの上にいた理由を、弁護士が「考えている」とは何を意味するのか。なぜ折田氏はここまで斎藤氏に近く、そしてその関係を隠されなければいけないのか。

「eスポーツをしたことがない」けど「eスポーツ検討委員会メンバーに」

折田氏はnoteに「2021年より兵庫県地方創生戦略委員」「2023年より兵庫県空飛ぶクルマ会議検討委員」の地位にいると書き、斎藤知事の1期の県政と関係を強めてきたことが分かっている。

このうち空飛ぶクルマに絡んでは、2023年1月に県の関連新規事業が報じられた際、内容を了承していたはずの斎藤知事が「空クルは知事直轄。勝手にやるな」と担当者を叱りつけたとの証言があり、同事業の背景に何かあるのではと関心が向いている。

さらに折田氏はもう一つ、県に絡む役職を担っている。noteには「2022年より兵庫県eスポーツ検討会委員」とも書かれているのだ。
これに関し、折田氏が驚くような“告白”をしていることが分かった。

「折田氏はeスポーツ検討会委員に就任した後の2023年1月、インスタグラムに、ある企業からeスポーツの機会を提供してもらったことを喜ぶ投稿をしているのですが、なんとそこに『私兵庫県のeスポーツ検討委員会メンバーなのに実は…eスポーツをしたことがない』と書いているんです。一度もやったことがない人が検討会でどんな意見を出せるんでしょうか」(在阪記者)

自分が書いていることが何を意味するのか分かっていないという点では、今回のnoteに近いものがありそうだ。今起きている“大事故”は、2年近く前に予兆が出ていたともいえる。

「いずれにしても、折田氏が第1期の斎藤県政でなぜ複数の審議会のメンバーに選ばれたのか、検証が必要でしょう」と県政界関係者は話す。

斎藤氏の代理人は近く記者会見を開く予定で、ポスター制作を発注しただけだとする折田氏が選挙カーに上がれた理由の“回答”もその時までには準備されるのかもしれない。

一方のmerchu社はホームページから業務実績だけでなく電話番号や会社所在地も消し、折田氏のnoteの内容を説明する気配がない。25日月曜日、記者はmerchu社を訪れたがドアの鍵は閉められ人の気配はなかった。

折田氏のnoteにより、今回、日本の選挙でおそらく初めてSNS広報戦略の内幕が明らかになった。斎藤陣営には、「やったのは自分たちだ」主張する前に、折田氏との間に本当は何があったのか詳しく説明してほしいとの声も出ている。

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メールアドレス:
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X(旧Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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