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「ビタミンCは風邪の予防になる」は俗説だった? それでもビタミンCをしっかり摂るべき、人間にとって欠かせない作用とは

集英社オンライン / 2024年11月30日 12時0分

野菜と果物ががんを防ぐ? 日本人のがんで最も死亡率の高い「肺がん」の発症リスクを下げるおなじみの野菜とは〉から続く

記録的な猛暑の夏が終わり、秋をほとんど感じないまま、冬が到来した。寒暖差の激しいこの時期、は風邪をひく人も多い。「ビタミンCをたっぷり摂ると風邪予防になる」という通説があるが、実際はどうなのだろうか。

【画像】ビタミンCを豊富に含む代表格の野菜

ビタミンCの持つ効果や摂り方いついて、『間違いだらけの「野菜」の食べ方』(青春出版社)より一部抜粋・再構成してお届けする。

冷凍はスピード勝負と心得る

冷凍に時間がかかると、野菜の栄養や風味が損なわれます。食材はできるだけ薄く、平らになるように並べ、冷凍にかかる時間を短縮しましょう。熱伝導のよい金属製のバットの上に置くと、冷凍スピードがアップします。



なお、自分で冷凍した野菜は3週間を目安に使い切りましょう。調理の際は、市販の冷凍野菜と同様に凍ったまま使ってください。

「ビタミンCをたっぷりとって風邪予防」は俗説

「ビタミンCをたっぷりとると風邪の予防になる」といわれますが、この話には元ネタがあります。

アメリカの化学者ライナス・ポーリング博士は、1970年に『ビタミンCと風邪』という本を出版し、「ビタミンCを大量に飲めば風邪を予防できる」「ビタミンCを大量に飲んでいれば、風邪を引いても回復が早い」と主張しました。これが、「ビタミンCをたっぷりとると風邪の予防になる」という説の元ネタです。

ノーベル賞を2度も受賞したポーリング博士の著作とあって同書は世界じゅうの注目を集め、多くの研究者がポーリング博士の主張を検証しました。すると、ポーリング博士の主張を裏づける結果が得られる一方で、ビタミンCに風邪を予防する効果はないという発表も数多くなされ、事態は長らく混迷を極めました。

ビタミンCは風邪を予防するのかしないのか。この論争に終止符が打たれたのはわりと最近で、2013年に過去70年におよぶ研究を再検討した論文が発表されたのです。

その論文によると、ビタミンCが風邪を予防する効果は、プラセボ(偽薬)を服用して風邪を引く確率を1とした場合、0・97でした。つまり、ビタミンCを摂取したほうが、なにもしないより3%だけ風邪を引く可能性が低くなるというわけです。これにより、ビタミンCには風邪を防ぐ効果はほとんどないと結論づけられました。

ただ、ビタミンCが風邪に対してまったく効果がないかというと、そうともいえないようです。前述の3%という数字は一般市民の場合です。マラソン選手やスキー選手など、強い運動負荷がかかった状態で行われた研究では、ビタミンCを摂取するとプラセボ(偽薬)を服用した場合より風邪を引く確率は0・48、つまり半減するというものでした。

野菜や果物はビタミンCの宝庫

ビタミンCは、皮膚や細胞の材料であるコラーゲンの合成に不可欠な栄養素です。毛細血管や骨、歯などを正常に保つ、日焼けを防ぐ、免疫力を高めるなどの作用もあります。また、その強い抗酸化作用から、がんや動脈硬化の予防効果が期待されています。

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で1日あたりのビタミンC推奨量を15歳以上で100mgと定めていますが、「国民健康・栄養調査(令和4年)」によると、20歳以上男女が1日に摂取しているビタミンCは98・0mgとわずかに足りません。

野菜・果物はビタミンCの宝庫です。野菜をあと一皿、あるいは果物をあと1個食べて、1日あたり100mgのビタミンCを摂取するよう心がけましょう。

なお、喫煙者は非喫煙者に比べてビタミンCの消耗が大きいので、さらに多くとる必要があります。他人の吸うたばこの煙をあびる受動喫煙者も同様です。健康のためには禁煙に取り組んだり、受動喫煙を避けたりすることが重要ですが、すぐに実践できない場合はビタミンCを多めにとるようにしましょう。

さらに肥満で糖尿病の方、またその予備軍の方は、糖尿病がない方に比べて代謝異常が亢進し、血中のビタミンC濃度が低下していたという報告があります。ビタミンCは体内で合成されないため、こうした方は適量の野菜・果物を積極的に食べて、食物繊維だけでなくビタミンCをとるようにしましょう。

『間違いだらけの「野菜」の食べ方』(青春出版社)

林芙美(監修)
『間違いだらけの「野菜」の食べ方』(青春出版社)
2024年11月19日
1177円(税込)
192ページ
ISBN: 978-4413212199
毎日たくさん食べていても、実は栄養になってない!? 厚生労働省が1日350グラム摂ることを推奨しているように、私たちの健康に野菜は欠かせません。でも、実際はぜんぜん量が足りなかったり、間違った食べ方のせいで栄養が十分摂取できていなかったりして、野菜の栄養をからだに生かすことは意外に難しいのです。たくさん食べるためのアイデア、栄養素を生かす調理法、野菜ギライな人もいつの間にか食べられるちょっとした工夫も紹介。この一冊で、あなたの家庭の“ベジライフ”はもっと豊かになります。

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