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〈ツッコミどころ満載会見〉「斎藤さんをここに呼んで!」知事に釈明を丸投げされた代理人は、改変前の“折田note”を読んでおらず…「♯がんばれ」は陣営考案と認める

集英社オンライン / 2024年11月28日 11時47分

〈斎藤知事・公選法違反疑惑〉“広報”女性社長は「一度もやったことない」のに兵庫県eスポーツ検討会委員に選ばれていた…社長を選挙カーに上げた理由を聞かれた知事は仰天回答〉から続く

失職後の出直し知事選で返り咲きながら、公職選挙法違反疑惑の火消しに追われる兵庫県の斎藤元彦知事。買収に当たる、インターネットを使った有償の選挙運動を展開したと読めるnoteを公開した同県内のPR会社社長が沈黙を続ける中、斎藤氏は11月27日、代理人の弁護士に記者会見をさせ疑惑の払拭に乗り出した。しかし説明には首をかしげるところが多いうえ、斎藤陣営が支持者の声を装った宣伝を行なっていたことも確認された。

〈画像多数〉180万の“バーキン”を手に微笑む折田社長と、merchu社から斎藤元彦氏の後援会へ送られた請求書

「代理人の弁護士にお願いしている」を繰り返した斎藤氏

問題のnoteは県行政に関する複数の検討委員も務める同県西宮市のPR会社「merchu」の代表取締役、折田楓氏(33)が11月20日に公開した。

折田氏はそこで、斎藤陣営のXやインスタグラム、YouTubeなど計4つの公式アカウントの管理・監修を自分が担い、SNSを含む広報の「運用戦略立案」などの運用全般を「信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら」行なった、と主張。

「特定の団体・個人やものを支援する意図もない」とボランティアではないと強調し、「東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」とも書いてビジネスの一環だったことを明確にしている。

公選法ではネットによる選挙運動を行なった者に報酬を支払うことは買収となり、候補者本人や陣営幹部が買収者だった場合は当選が無効になる。

「折田氏はこの規則を全く認識せず、会社の“業務”を自慢するため書いたとしか思えない」と県議会関係者は話す。実際、noteは会社の宣伝パンフレットにも見える。「noteの記述が事実なら、これほどすっきりと違反を“自白”した文書は見たことがない」と都内の政界関係者も驚きを隠さない。

失職の背景になった公金不正支出やパワハラの疑惑も清算できていないうえに、新たな重大問題を抱えた斎藤氏。

noteの内容の真偽を質されるたびに「公職選挙法等法令に抵触するような行為はしてないというのが私の認識です」と言い続けてきた。だがその根拠を問われると今度は「事実関係、法令への対応に問題は代理人の弁護士にお願いしている」と繰り返し、説明をしようとしない。

11月27日、再選後初の定例記者会見でも斎藤氏はこの二つのフレーズを連発。さらに、失職前には長い時で3時間以上記者続いた記者会見を、この日は1時間10分で終えると開始前に決め、その通りに質疑を打ち切った。

SNSやYouTubeを使った活動は契約ではなくボランティア

ただこの日、斎藤氏の代理人を務める奥見司弁護士が問題発覚後、初めて記者会見を開き、斎藤陣営の言い分を整理して主張した。ところが折田氏の主張を否定する説明には次々と疑問の声が飛び出した。

説明によると斎藤氏は、失職前の9月末ごろ、選挙ボランティアを探す中で折田氏夫妻が協力してくれると支援者から紹介を受けた。そして9月29日に選挙参謀の男性と共にmerchuを訪問。

その場で折田氏から「チラシのデザイン制作やSNSの利用」を含む、「選挙で協力しうることの説明」を受けている。

翌日以降merchuからはポスターデザイン制作やYouTube用動画撮影を含む「いくつかのプランと見積もり」が斎藤氏側に届くようになり、10月9日までに口頭契約が結ばれた。結局、斎藤氏の後援会はmerchuに、ポスターデザイン制作など5項目の代金として計71万5000円を11月4日に支払っている。

これらの項目の中には折田氏が提案した「SNSの利用」や「YouTube用動画撮影」にからむ項目は含まれていない。これらが支払い対象になっていれば問答無用で買収に問われたはずだ。この時から公選法違反に抵触するとの認識が折田氏側にはなく、陣営側にはあったことがうかがえる。

奥見氏は、選挙で折田氏が夫とともに斎藤氏公式応援アカウントの取得や街頭演説の動画の撮影・アップロードも行なったと説明しながら、これらはボランティアで、公選法の買収には当たらないと主張。

「社長(折田氏)がnoteで記載されているようなSNS戦略を依頼したということや、広報全般を任せたということは事実ではありません」と強調した。

だが、ここまでの説明を振り返ると、当初ボランティアに手を挙げていたはずの折田氏が、斎藤氏の会社訪問の翌日から「プランと見積り」の送付による営業をかけ、その中のいくつかが実際に契約されていたことが分かる。

同時に、斎藤氏へのプレゼンやプラン送付で売り込みが図られたSNSやYouTubeを使った活動は契約ではなくボランティアで折田氏が手掛けることになった、とされている。

だが、SNSを駆使したPRが本業のmerchuが、主力商品をタダで提供するだろうか。折田氏は自身のYouTubeチャンネルで、選挙で「広報全般を任せていただいており」「人生過去一忙しい」と話し、全精力を選挙に注いでいることを隠していない。

「出直してきてください」「斎藤さんをここに呼んできてくださいよ」

他候補を圧倒した斎藤陣営のSNS戦略を象徴するのが、たびたびトレンド入りしたハッシュタグ「♯さいとう元知事がんばれ」だ。

折田氏はこのハッシュタグについてnoteで、斎藤氏の「元彦」と元知事を掛け合わせて創ったと説明しており、「ご本人(斎藤氏)も気に入っていました!」と自身のアイデアであることを誇示している。

このハッシュタグの考案を奥見氏は「10月の早い段階で(陣営内の)数人で決められた。その中に社長(折田氏)も含まれているということです」と説明し、折田氏の貢献度は特別高くないと印象づけようとした。

だが、9月29日に斎藤氏がmerchuを訪問した際の写真では、折田氏が行ったプレゼンの資料に、このハッシュタグの原型とみられる「♯斎藤元知事●●(判読できず)」の文字が見える。noteで主張する通り、折田氏は陣営のSNS戦略の司令塔だった可能性がありそうだ。

もっとも、一般の人が自発的に応援するイメージを持たせた「がんばれ」という言葉が、折田氏であれ他の人物であれ、斎藤氏の広報を担った一角から打ち出されていたことに変わりはない。

この事実を斎藤氏の代理人が認めたことに、ある記者は「大変な驚きを受けた」と述べた。

疑惑の解明に近づかない会見で出た本筋とは別の驚きは他にもある。ハッシュタグの考案過程をフリージャーナリスト・横田一氏が質す中で、奥見氏が問題のnoteの“原文”を見ていないことが発覚したのだ。

「11月20日に公開された直後から、noteは公選法違反行為が書いてあるとSNSで話題になりました。そのためか、遅くとも翌21日昼ごろまでに違法性を示す表現や資料が次々と削除、改変され、内容は大きく変わっています」(地元記者)

そのnote問題の火消しを斎藤氏が奥見氏に依頼したのはさらに翌日の22日だ。

「私がこの話を聞いたのが先週金曜日(22日)ですので、その時に直ちに、(noteを)プリントアウトしてますので…。例えば改変ないし削除があったとして、それがいつ行なわれたのか全く把握しておりません」(奥見氏)

この言葉を聞いた横田氏は「そこの改変が1番重要なんですよ。公正法違反の疑いが強いから削除してるわけですよ。そこをチェックしないでこの会見に臨むなんて。出直してきてください。斎藤さんをここに呼んできてくださいよ」と詰め寄り、会見は大荒れになった。

「客観的な事実として公職選挙法等の違反があったかどうか」を確認することが重要だと反論した奥見氏は、今後も必要があれば会見し説明を続ける用意があると表明した。

だが、最も必要なのは、斎藤氏自身が9月29日に折田氏からどのようなプレゼンを受けたのかを含め、すべてを自らの口で語ることだろう。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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