エハラマサヒロが「芸人に一番嫌われている芸人」と言われるワケを本人が解説…吉本退所後の野望と、先にやめた尊敬する2人の芸人
集英社オンライン / 2024年12月3日 11時2分
〈エハラマサヒロが明かす吉本退所の真相「5年前くらいから考えていた」幻のグリーン車と700万円を2日で補填してくれた吉本社員の存在〉から続く
吉本興業とのマネジメント契約を終了して個人事務所として活動していくエハラマサヒロ。12月1日から新たな道を歩み始めたエハラに退所の真相と今後の展望を直撃した。(前後編の後編)
「だから僕は嫌われているんですよ(笑)」
––––退所する前に、芸人仲間には相談したのでしょうか?
エハラマサヒロ(以下、同) 相談という形ではなかったですが、やめた人には話を聞きに行きましたね。まずは、シンガポールにいるあっちゃん(オリエンタルラジオ・中田敦彦)に連絡して、「(退所して)どうやった?」って聞いて。
僕、先輩で一番尊敬しているのがキングコング西野(亮廣)さんで、後輩で一番お世話になったのがあっちゃんなんですよ。あの2人も、自分のやりたいことがあるけど、会社とはマッチしない部分があって、退所したわけですよね。結局、僕も同じような感覚で仕事したかったんだと思います。
この2人と同じラインにいるから、僕も芸人仲間から嫌われているんだと思いますって書いといてください(笑)。
––––鬼越トマホークの2人は、エハラさんのことを「芸人に一番嫌われている芸人」としてイジっていますよね(笑)。エハラさんが嫌われる理由って、どこにあるんですかね?
言いましょうか? ドヤ顔ですよ。
––––(一同笑)。
“余裕でやってますよ”感が、上から目線で鼻につくんでしょうね。
––––できる人ができる顔をしても、腹立たしく感じない気もするんですが……。
そう思うのは、すごくいい人だからですよ。大半の人が、ムカついていると思います(笑)。
あと、今回吉本をやめるってなったとき、いろんな人にLINEで「今までありがとうございました」ってメッセージを送ったんですよ。そうしたら、品川庄司の品川(祐)さんが「まだいたの?」って返してきました(笑)。
……あ、ちょうど今、ぐっさん(山口智充)からLINEがきましたね。
––––なんと?
「インスタ見た。ひとまずお疲れ様でした。体が健康で、家族がいて、やる気があったらどこでもできる。やりたいことがあるって、どれだけ幸せなことか。俺、一生かかってもやりたいこと終わらへん……」だそうです。最後は「独立、乾杯」で締められていますね(笑)。めちゃくちゃありがたいです。本当にいい先輩ですわ。
「26歳の時点で、NGKで師匠やっている絵が浮かばなかったんですよ」
––––お話を聞いていると、エハラさんは、もとから将来的な自身のキャリアを描きながら、計画的に活動されていた印象を受けます。
こんなこと言っていいのかわからないですが、僕は26歳のときに「R-1グランプリ」で準優勝して、仕事が一気に増えたんですよ。「爆笑レッドカーペット」や「エンタの神様」にも出演して、ブワーッとお客さんも増えて、劇場でも月に100ステージとかネタをやっていて。
その途中で、言い方は悪いかもしれないですが「小銭稼ぎを、俺は何歳まで続けなくちゃいけないんだ?」と思って。でも、50歳〜60歳の自分を想像したとき、後々の人生、NGK(なんばグランド花月)で師匠になっている絵が浮かばなかったんですよ。
よくよく考えてみると、僕が小学生のときから、師匠の方々は全然変わっていなくて。たとえば、オール巨人師匠や西川きよし師匠は、僕が小さいころからずっと師匠として活躍されています。一方で、「師匠」と呼ばれる人が増えているかと言われると、全然増えていないわけですよね。
ということは、26歳の芸人がやめるタイミングっていつなのかと言ったら、仕事がなくなった時点でゆっくりフェードアウトしていくしかないんですよ。
––––なるほど……。
華々しい経歴を持つ先輩方が、すごく苦労されてアルバイトを始めた、みたいな話を当時からよく聞いていて。「10年後、俺にもその未来が待っているな」と思ったんです。そこからマインドが変わって、セカンドキャリアを絶対に決めておいたほうがいい、と考えるようになりました。
30歳のときにミュージカルをやり始めたのも、僕にとってはすごく大きくて。というのも、ミュージカルだと、60〜70歳の方々も現役で出演されているんですよ。それで「今後、活動の主軸はここかもしれない」と思い、力を入れ始めたんです。
ちなみに、2028年のミュージカルの仕事も決まってます(笑)。
––––多くの若手芸人にとっても、セカンドキャリアは他人事ではない話ですよね。
もちろん、若手時代にとんでもないレジェンドになってしまえばいいんですよ。でも、僕には夢破れる未来しか見えなかった。飛び抜けてすごい人になれる自信がなかったから、目的地を変更したんです。
そこからは、自分にとって「“面白”は7割でよくなった」というか。全力で“面白”に振り切っていないから、やっぱり周りからは「最近全然おもんないやんか」とか言われるんですよ。でも、僕としては「別ジャンルでちゃんと魅了できている」と思っているから、あまり傷つかない。で、傷ついていないのが、やっぱり鼻につくらしいです。
–––––(笑)。その時々で、自身の状況を分析されてきたんですね。
そうですね。昔から、結構リサーチやマーケティングをしながら生きている人間だとは思います。
たとえば、オーディションに持っていくネタも、「面白いかどうか」ではなく、「この横並びで、この時間帯で、このディレクターは何を求めているか」ということを考えて、合格率を1%でも上げる突破口を探してネタを作っていましたね。
テレビ出演に関して「闇雲には出ない」
––––今後、テレビの出演も考えていますか?
テレビは最小限というか、自分が活きるものだったり、誰かの助けになるようなものだったりすれば出ますけど、闇雲には出ないつもりです。
あと、基本的に得意なもの以外は引き受けないようにしていて。みなさん見たことないと思うんですけど、僕、ドッキリにかかっても面白くないんですよ(笑)。あと、大喜利も面白くない。
–––––(笑)。ちなみに、「誰かの助けになる」というのは?
だって仕事でも、プライベートでも、熱量を持ってくれる人と一緒にいたいですもん。熱意を持って僕のところに来てくれた人たちには、最大限応えたいなぁと。
お金も時間も、足りないときは、とにかくそれを求めて追いかけますよね。生活ができないときは、とりあえずお金が必要だから、嫌な立ち回りをしてでもとにかく稼ぐ。でも、お金も時間も余るようになったら、僕は誰かのための使いたいと思っています。
–––––今後、どういったことにチャレンジしていきたいですか?
僕、自分が経験したことないこと、全部やりたいんですよ。たとえば、ホリエモン(堀江貴文)さんが、「エハラくんがネタ書いてくれるならR-1出る」って言ってR-1ぐらんぷりの予選に出て爆笑を受けたことがあるんですけど、後日「なんで出てくれたんですか?」って聞いたら、「え、やったことないから」って答えて、めちゃくちゃかっこいいなと思ったんです。
だから、新しいプラットフォームが出てきたらすぐに触るし、「これやってみませんか?」と言われたら、とにかく手をつけてみる。やっぱり新しいことをやらないと、成長しないと思うんです。今までの繰り返しでは、何も伸びていかないですよね。
自分が何に喜びを感じるかと言われると、「成長できたな」と思えた瞬間なんですよ。いろいろな人に「お前は器用に何でもできて、ええな」と言われますけど、最初からできる人なんていませんよ(笑)。人より時間を使ってやってきたと自分では思ってるので、すべての表現に対してとにかく自信があるのかもしれません。だから鼻につくんですけど(笑)。
–––––そうしたマインドのエハラさんなら、事務所という後ろ盾がなくなっても、不安はまったくないですね。
そうですね。トラブルが起きたら、また考える要素ができていいなと思っています(笑)。
「吉本退所の真相」はこちら
取材・文/毛内達大 撮影/集英社オンライン編集部
エハラマサヒロ●1982年5月29日、大阪府生まれ。2009年、「R-1ぐらんぷり」決勝初進出にして準優勝。歌、モノマネ、ダンスなどマルチな才能を武器に、2017年には「ものまね王座決定戦」で優勝。「パフォーマンスZ」(TBS)、「バカソウル」(テレビ東京)などバラエティ番組で活躍する。
2012年以降、「ウィズ~オズの魔法使い~」「ファントム」など人気ミュージカルに多数出演。2018年からはピン芸人10周年を記念した自主イベント「ザ・ミュージカルマン」で歌、ダンス、ヒューマンビートボックス、モノマネ、コントなど独自のステージを展開。2024年12月からは吉本興業を退所して個人で活動をスタートした。
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