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〈秋田スーパー・クマ立てこもり〉「処分しないで」「野生に返して」市担当者も困惑、殺到する“クマ助けて”の電話「住民の安全を守るためにも殺処分はやむを得ない」

集英社オンライン / 2024年12月3日 17時41分

12月2日、秋田市のスーパーに“立てこもっていた”クマが店舗内に仕掛けられた箱わなにかかって捕獲され、運び出された。11月30日早朝に男性従業員(47)が襲われてから約55時間が過ぎていた。市は今回の件で動物愛護団体から多くの問い合わせを受けているとのことだ。秋田市の担当者にくわしく話を聞いた。

【画像】捕獲されたクマはトラックに乗せられ…

1メートルくらいの距離から吹き矢で麻酔をかけた

12月2日、秋田市のスーパー「いとく土崎みなと店」に11月30日早朝から居座り続けたクマが捕獲された。

11月30日早朝、開店準備をしていた男性従業員(47)が店内の総菜売り場付近でクマに襲われ、「痛い。痛い」と声をあげていた。うずくまっている男性従業員を別の従業員が発見。そのすぐ先には体長1メートルほどのクマがいたという。男性従業員は、頭や顔にけがをし、ほかの従業員は、店の扉を閉めて隣接する警察署に避難した。

その後、クマは店内にとどまっていたが、県警は発生の日から業者の協力を得て店内にドローンを飛ばし、1日には店舗の敷地にクマがいないことを確認。店内の4つのドアを封鎖し、クマをバックヤードに閉じ込めた。

このうち二つのドア付近に蜂蜜やパン、リンゴを入れた箱わなを設置し、クマが入るのを待った。2日朝になって、クマは肉売り場近くのドアに設置した箱わなにかかったことが確認されたという。

店内は肉売り場が荒らされていたほか、生花売り場でも花瓶が割れ、近くにクマのものとみられる血痕が付いていたという。

被害に遭ったスーパー「いとく土崎みなと店」は現在臨時休業中で、12月7日午前9時から再開の予定だ。店舗に電話をしたところ「すみません。何もお答えできないので失礼いたします」と話すのみだった。

通報されてからクマが店外に搬出されるまで約55時間もかかったのはどうしてだろうか?秋田市の農地森林整備課の担当者に話を聞いた。

「店内での発砲は難しく、またスーパー周辺には住宅が密集しており、店の外にクマを逃がすわけにはいかなかった。そのため、ドローンでクマの様子を見ながら警察の方が慎重に判断しました。また、クマは警戒心があるため、箱わなにかかるまでにも時間がかかりました」

また、今回の現場には大勢の警察が駆けつけ、猟友会も対応に当たっていたようだが、
猟銃を使用しなかった理由についてこう続けた。

「現在の鳥獣保護管理法では、住宅密集地では麻酔を含め銃器の使用が禁止されているため、その場ですぐに処分するというのが出来ないのです。また、発砲には警察の方の許可が必要なのです」

その後、警察が売り場とバックヤードの間に設置した箱わなにクマがかかったのを確認してから近づいて、1メートルくらいの距離から吹き矢で麻酔をかけたという。

「その後、クマが眠ったのを確認してから、わなの真ん中で電気をあて、運び出されたとのことです。捕獲されたクマはメスの成獣で、大きさは1.1m、体重は69㎏。太っても痩せてもいない、標準的な大きさでした」(前同)

「動物愛護団体の方や一般の方から37件電話がありました」

秋田市のクマ被害について前出の担当者はこう話した。

「今年のクマの目撃件数や農作物等の被害は昨年に比べると多くないです。また、スーパーの近くに山はなく、一番近い山でも5~6㎞くらい離れているので、今回の件は市も猟友会も想定外でした。クマが店に侵入したケースは初めてです」

今年度の秋田県のクマによる人身被害は計10件(11人)で、目撃件数は11月15日時点で1015件だった。クマが大量出没して話題になった昨年度は、62件(70人)が被害を受け、目撃は3723件だったので、今年度が取り立てて多いわけではない。

秋田県はクマの出没情報を確認できるマップシステム「クマダス」などによる情報の確認を呼びかけている。

今回の件で市には問い合わせが殺到しているとのことだ。どのような問い合わせが多いのだろうか。

「昨日だけで動物愛護団体の方や一般の方から37件電話があり、9割が『殺処分しないでほしい』『野生に返してほしい』というようなご意見でした。ただ、クマは1日で10~20㎞くらい平気で移動するし、頭がいいから今回のスーパーの場所も記憶していると思います。住民の方の安全を守るためにも殺処分するのはやむを得ないことです」

捕獲されたクマは焼却処分される予定だ。市は今後も状況に応じて対策を進める方針だ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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