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「日本人は疲れてから休み、世界の一流は疲れる前に休む」休むために働くという欧米パワーエリートたちの休日の過ごし方とは

集英社オンライン / 2024年12月14日 11時0分

マイクロソフト米国本社での勤務経験がある越川氏は、世界の超一流たちと、日本のビジネスパーソンとでハッキリと異なるのが休日の過ごし方だという。

【画像】世界の一流たちが大切にしている休日の過ごしかた

書籍『世界の一流は「休日」に何をしているのか』より一部を抜粋・再構成し、休日に対する欧米の一流ビジネスパーソンの考え方を紹介する。

あなたは、「休日」に何をしていますか?

独身の人であれば、仕事の疲れを癒すために、ゆっくりと寝たり、ボンヤリと過ごす時間を大切にしているかもしれません。

家族のある人であれば、一緒に出かけたり、食事に行くこともあるでしょうが、本音をいえば、家でゴロ寝をしたり、ネット動画でも眺めていたい……と考えている人も多いのではないでしょうか。

日本のビジネスパーソンは、休日を「休息」の時間と考えて、身体を休めたり、ストレスの発散を心がけていますが、必ずしも思い通りにはなっていません。

休みが明けても、疲れは依然として残ったままで、ストレスも解消されていない……と感じている人がたくさんいると思います。

多くのビジネスパーソンが「ブルーマンデー」(憂鬱な月曜日)を迎えてしまうのは、休日の「休み方」に問題があるのです。

ここではグローバル・ビジネスの最前線で働くトップクラスのビジネスパーソンの休日の過ごし方をロールモデル(見本)として、休日の意味と意義を探ります。

世界の一流は、休日をどのように考え、何をしているのか?

彼らの休み方には、パワフルに働くためのエネルギー・チャージやリフレッシュの秘訣だけでなく、人生を楽しむための大事なヒントがあると考えています。

世界の一流の休み方を知って、休日の解像度を上げることは、これまでとは違った視点で自分の休み方を見つめ直すきっかけになります。

「こんな考え方もあるんだな」という新たな気づきが、あなたの休日を充実させて、毎日の生活にメリハリを与えてくれることになります。

世界のエグゼクティブは「休む」ために仕事をしている

世界のトップクラスのビジネスパーソンとの交流の中で、私が最もインパクトを受けたのが、彼らの休日を大事にしている姿勢です。

日本のビジネスパーソンは、休日を休息の時間と考えて、平日の疲れを癒すことを優先しがちですが、彼らにとっては、休日こそが主役であり、平日の仕事は大事な休日のためにある……と考えているのです。

「休みにヨットやスキーをやっているのではない。ヨットやスキーをやるために、働いているんだ」と話すなど、エグゼクティブは仕事よりも休日の楽しみを優先して考えており、ハッキリと「仕事は究極の暇つぶし」と言い切る人もいます。

日本企業のエリートが同じことを言ったら、「遊び半分で仕事をしている」と猛烈なバッシングを受けるかもしれませんが、欧米のグローバル企業の場合は、「それはそうだよね」と好意的に受け取れられています。

日本と欧米では、休日に対する考え方が根本的に異なるのです。

こうした考え方の違いは、歴史的、文化的な背景も関係しています。

欧米では、個人の自由と権利を尊重する風潮が根付いており、労働者の権利もしっかりと法律で保護されています。

例えば、フランスでは労働者の権利として年間5週間の年次休暇(バカンス)を取らせる義務が雇用主に課せられています。

2019年からは、雇用主が従業員に有給休暇を取得させることが義務化され、現時点での消化率は100%となっています。

フランス人は「最も大切にしているのが家族で、その次がバカンス」といわれるほど、休みを重要視する国民性で知られており、どんなに多忙なビジネスパーソンであっても、毎年必ず長期休暇を取得するのが一般的です。

これに対して、日本には「集団の和」を重んじる文化がありますから、個人の休暇取得が難しい職場環境も珍しくありません。

有給休暇の取得は会社やチームの状況次第となることが多く、休暇を申請したら上司に嫌な顔をされたとか、上司の顔色を見て休みを諦めたという経験は、誰でも一度はあると思います。

働き方改革が始まった令和の時代になっても、休むことに対して、何となく「後ろめたさ」や「申し訳ない気持ち」を感じている人が多いのが実情といえます。

日本人は疲れてから休み、世界の一流は疲れる前に休む

エグゼクティブの「休みのために仕事をする」という姿勢を目の当たりにして、最初は私も戸惑いました。

戸惑ったというよりも、彼らの考え方や行動に、カルチャーショックを受けたという方が正確かもしれません。

現在の私は、週休3日制、週30時間労働を基本にしていますが、もともとは寝る間も惜しんで仕事をするのが好きな「休みたくない派」の仕事人間でした。

徹夜で仕事をして、アドレナリン(闘争ホルモン)が出るのを楽しむタイプの典型的な「モーレツ社員」だったのです。

働けば働くほど成果が出る……と信じていた私は、連日の長時間労働が楽しくて仕方なく、休日返上で仕事をする毎日を送っていましたが、新卒で入社した国内通信会社で5年目を迎えた29歳のときと、マイクロソフトで執行役員を務めていた39歳のときに心身のバランスを崩してダウンしてしまいました。

医師の診断によると、原因はどちらも過労と睡眠不足とのことでした。

当時の私は「仕事がダメになったら、自分の人生は終わり」くらいに思い込んで、無我夢中で仕事と向き合っていましたが、二度目のダウンで弱気になっているときに着目したのが、私の目には「能天気」と映っていたエグゼクティブたちの働き方です。

彼らの行動を観察していると、疲れたら休むのではなく、疲れる前に休むという「温存戦略」を徹底していることがわかりました。

日本のビジネスパーソンの多くは、仕事の進捗状況と相談しながら、「今週は休めそうだな」とか「この感じだと休日出勤だな」と判断していますが、彼らは週末に休むことを前提にして、仕事の効率を高めています。

休めたら休むのではなく、休むために仕事をしているから、自然とハイパフォーマンスを発揮できるだけでなく、疲れが蓄積する前に休むことができるのです。

世界の一流はアクティブな休日を過ごしていた

疲れるまで自分を追い込んでしまうと、リカバリー(回復)に時間がかかるだけでなく、私のようにダウンするリスクがあります。

結果的に仕事がストップしてしまうのですから、自分を必要以上に追い込んでも、あまりいい結果は生まれない……ということに改めて気づかされました。

もう一つ注目したのは、彼らの休日の過ごし方です。

日本のビジネスパーソンは、体力を削るように仕事をしていますから、週末が近づくにつれてグッタリとしてきて、土日の休みを疲労回復のための「休息の時間」と考えがちですが、彼らは週末にスポーツや趣味、家族とのキャンプやバーベキューを楽しむなど、アクティブな休日を過ごしていたのです。

日本のビジネスパーソンが「インドア」(屋内)で過ごすのに対して、世界の一流は「アウトドア」(屋外)を好む傾向があります。

日本人が「静」によって疲労を回復させているのに対して、彼らは「動」によっても、心身のリフレッシュを図っているのです。

休みの日にアクティブに遊べるなんて、何というタフな人たちなんだろう……。

当時の私は、彼らのエネルギッシュな休み方に仰天しましたが、ある出来事をきっかけにして、「休みのために仕事をする」ということの意味が、自分の中でストンと腑に落ちることになりました。

写真/shutterstock

世界の一流は「休日」に何をしているのか

越川慎司
世界の一流は「休日」に何をしているのか
2024/11/1
1,738円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4295410300

世界の一流が休日に必ずすること、絶対しないこと年収が上がる「週末2日間」の過ごし方

日本のビジネスパーソンは、休日を「休息」の時間と考えて、身体を休めたり、ストレスの発散を心がけていますが、必ずしも思い通りにはなっていません。
休みが明けても、疲れは依然として残ったままで、ストレスも解消されていない……と感じている人がたくさんいると思います。

一方、世界水準のエリートであるエグゼクティブの休日の過ごし方には、大きな共通点があります。彼らは、休日を「何もしない時間」と考えるのではなく、「積極的にエネルギーをチャージする時間」(休養)と「知的エネルギーを蓄える時間」(教養)と位置づけているのです。

彼らは休日を休息のための時間ではなく、仕事で成果を上げるための「原動力」と考えています。筆者が注目したのは、彼らがそれを「楽しんでやっている」ことです。
仕事を成功に導くための準備というと、多くの人が「苦行」や「修行」を連想してウンザリした気持ちになると思いますが、筆者が在籍したマイクロソフトのエリートたちは、スポーツや趣味を楽しみ、休日を満喫することで、自己再生とエネルギー・チャージという二つの目的を実現していたのです。

世界の一流の休み方を知って、休日の解像度を上げることは、これまでとは違った視点で自分の休み方を見つめ直すきっかけになります。
「こんな考え方もあるんだな」という新たな気づきが、あなたの休日を充実させて、毎日の生活にメリハリを与えてくれることになるのです。

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