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「休むために仕事をしている」と言い切るマイクロソフトのエリートが瞬時に見抜く「成果につながる努力」と「ムダな努力」の違いとは

集英社オンライン / 2024年12月16日 11時0分

あのビル・ゲイツも休日にはデジタルデトックス? マイクロソフトのエリートたちが人生を楽しくする休日を過ごすために実践する5つの簡単なこと〉から続く

最短の時間と最小のエネルギーで、最大の成果を出すために必要なことは、業務処理能力が高いことではない。その努力が成果につながるかどうかを「見極める能力」だという。マイクロソフト社の会議術を例に、「ドゥ・モア・ウィズ・レス」という考え方を解説する。

【画像】マイクロソフトで徹底されている概念

本記事は書籍『世界の一流は「休日」に何をしているのか』を一部抜粋・再構成したものです。

世界の一流はどんな働き方をしているのか?

マイクロソフトのエグゼクティブが、「休むために仕事をしている」と言い切れる背景には、仕事の生産性を高めるための効率のいい働き方があります。

仕事のムダを省いて、最大限の成果を生み出す工夫をしているから、きちんと休みを取ることができるのです。

世界のトップ企業のエリートたちは、どんな働き方をしているのか?

彼らの一般的な平日の過ごし方を紹介します。

日本企業では、出社時間が遅いことを「重役出勤」などといいますが、マイクロソフトのエグゼクティブは、例外なく早朝から仕事をしています。

朝5時くらいから自宅で仕事をしたり、午前7時には出社して働き始めています。仕事を終えるのは、ほとんどが夕方5時前後で、早い人は夕方4時には会社を出て自宅で家族と過ごしています。

マイクロソフトはグローバル企業ですから、アジアやヨーロッパなど、アメリカとは時差があるエリアを担当している人は、寝る前にメールをチェックしたり、30分程度のオンライン会議をしてから、夜9時〜10時には就寝しています。

エグゼクティブが土日に出社することは、まずありません。

序列が上になればなるほど、休む時間は多くなる傾向があります。

日本企業では、管理職が率先して休日出勤をする習慣が残っていますが、マイクロソフトでは、想定外の大きなトラブルでも起こらない限り、上層部や管理職が会社に出てくることはありません。

これは一般社員を含めての話ですが、マイクロソフトでは、土日にきちんと休むだけでなく、遅い時間まで残業して働いている人もほとんどいません。

裁量労働制によって働く時間や給料が決まっており、コアタイムもなく、自分の好きな「時間」に、好きな「場所」で、「自由」に働く環境が整っているためです。

短い時間でスマートに仕事をしている

欧米企業には、時間外手当のようなものが存在しないため、どんなに遅くまで働いても金銭的なメリットがありません。

メリットがないどころか、土日に働いたり、遅い時間まで仕事をしていると、周囲から「仕事が遅い人」と見られて、評価を落とすことになるのです。

日本企業では、休日出勤や徹夜仕事をしている人に対して、「頑張っている」とか、「仕事熱心」と高評価する風潮が残っていますが、欧米企業では、「そこまで時間を使わないと、成果が出せないのか……」とみなされて「仕事が遅いダサい人」という評価が下されます。

世界のグローバル企業はジョブ型の評価制度ですから、「あの人は短い時間でスマートに仕事をしているのに、すごく成果を出しているね」といわれるような人が、高い評価を受けることになるのです。

欧米企業では、働く時間の長短が問題にされることはなく、仕事の「成果」が出なければ、会社をクビになるのが一般的です。

多くのグローバル企業は、成果主義を採用しています。

エグゼクティブも含めて、成果が出ないと、職を退くよう勧告されています。評価の基準は、働く時間や仕事との向き合い方ではなく、あくまでも成果を上げているかどうか……にあります。

このあたりも、日本企業とグローバル企業の大きな違いといえます。

マイクロソフトで徹底されている「ドゥ・モア・ウィズ・レス」という考え方

マイクロソフトでは、「ドゥ・モア・ウィズ・レス」(Domorewithless)という考え方が企業理念のように徹底されています。

日本語に訳すと「より少ない資源で、より多くのことに取り組む」という意味になります。

多くの労力を注ぎ込んで一つの成果を出すのではなく、少ないリソース、少ない時間、少ないエネルギーによって、より多くの成果を出す……ことを指していますが、それを最もスマートに体現しているのが、マイクロソフトの中枢を担っているエグゼクティブなのです。

彼らに突出しているのは「見極め力」だと考えています。

自分がタスクに注ぎ込むエネルギーと時間が、きちんと成果につながるかどうかを見極める能力がズバ抜けており、そこに彼らがエグゼクティブに抜擢されている一番の理由があるといえます。

彼らが最短の時間と最小のエネルギーで、最大の成果を出し続けられるのは、業務処理能力が優れているからではありません。

マイクロソフトには、それなりにIQの高い社員が揃っていますから、資料を5分で書き上げるなど、仕事が早い社員はたくさんいます。

エグゼクティブは、「成果につながる努力」と「つながらない努力」を瞬時に見抜くことで「ムダな努力」を切り捨てています。

見極め力とは、ムダな努力を素早く見抜いて、すぐに辞める能力……と言い換えることができます。

そのスピーディーな判断の連続が、より多くの成果を生み出すことになり、結果として働く時間が短くなるだけでなく、しっかりと休める環境を作り出しているのです。

日本人には「努力をすれば報われる」と考えるところがあり、目の前のタスクに無我夢中で取り組むことが求められますが、ビジネスの世界にも「重要な努力」と「ムダな努力」が存在します。

彼らは、クールな目でムダな努力を見極めて、重要な努力に全集中することで、たくさんの成果を上げているのです。

日常の仕事で最も時間を取られる「会議」と「資料作成」を例に上げて、彼らの取り組み方を紹介します。

【会議】何も決まらない会議は「時間のムダ」と考えている

日本企業では、日常の仕事に占める社内会議の割合は「39%」と欧米企業に比べて多い傾向にあります。

「会議のための会議のための会議」が、会議全体の「60%」を占めている日本企業もあるほどです。

マイクロソフトのエグゼクティブは、「ムダな会議をやめる」ことと「やるべき会議をコンパクトにする」ことを重要視して、チームのメンバーにも徹底させています。

彼らの会議は、シンプルでスピーディーです。

①全員参加の「情報共有会議」はリモートで開催
②決定会議を主体にして、決定権者だけが参加
③アジェンダ(議題)が不明確な会議は開催不可
④発言のなかったメンバーは次回から参加不要

日本企業では、何も決まらず、会議の回数だけが増えてしまう傾向があります。

アジェンダ(議題)がない会議もあり、参加することが目的となっています。マイクロソフトのエグゼクティブは「何も決まらない会議は時間のムダ」とドライに割り切って、会議の回数と時間を大幅に短縮することを意識しています。

【資料作成】確認する時間を短くして、より多くの結論を出す

日本企業では、上司の目を気にして、きれいなパワーポイントで資料を作ったり、7色のグラフを作るビジネスパーソンも珍しくありませんが、マイクロソフトではシンプルで簡潔な資料であることが要求されます。

エグゼクティブによっては、資料作りの時間さえムダと考えて、「今ある資料を見せてくれ」とか、「手書きでいいから、すぐに持ってきてくれ」と指示するケースも少なくありません。

彼らは「資料は重要なエッセンスさえわかれば十分」と考えており、資料を確認する時間が短くなれば、結論に至るプロセスが短くなり、それだけ多くの案件の結論を出せることになるのです。

これこそが、「ドゥ・モア・ウィズ・レス」の真骨頂だといえます。

「成果につながらない努力」を的確に見極めることで、ムダに時間を浪費しないだけでなく、その時間を成果の出る努力に使うことができます。

こうした「ドゥ・モア・ウィズ・レス」のスタイルを実現しているから、彼らは効率よく仕事をして、休日を楽しむことができるのです。

写真はすべてイメージです
写真/shutterstock

世界の一流は「休日」に何をしているのか

越川慎司
世界の一流は「休日」に何をしているのか
2024/11/1
1,738円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4295410300

世界の一流が休日に必ずすること、絶対しないこと
年収が上がる「週末2日間」の過ごし方


日本のビジネスパーソンは、休日を「休息」の時間と考えて、身体を休めたり、ストレスの発散を心がけていますが、必ずしも思い通りにはなっていません。
休みが明けても、疲れは依然として残ったままで、ストレスも解消されていない……と感じている人がたくさんいると思います。

一方、世界水準のエリートであるエグゼクティブの休日の過ごし方には、大きな共通点があります。彼らは、休日を「何もしない時間」と考えるのではなく、「積極的にエネルギーをチャージする時間」(休養)と「知的エネルギーを蓄える時間」(教養)と位置づけているのです。

彼らは休日を休息のための時間ではなく、仕事で成果を上げるための「原動力」と考えています。筆者が注目したのは、彼らがそれを「楽しんでやっている」ことです。
仕事を成功に導くための準備というと、多くの人が「苦行」や「修行」を連想してウンザリした気持ちになると思いますが、筆者が在籍したマイクロソフトのエリートたちは、スポーツや趣味を楽しみ、休日を満喫することで、自己再生とエネルギー・チャージという二つの目的を実現していたのです。

世界の一流の休み方を知って、休日の解像度を上げることは、これまでとは違った視点で自分の休み方を見つめ直すきっかけになります。
「こんな考え方もあるんだな」という新たな気づきが、あなたの休日を充実させて、毎日の生活にメリハリを与えてくれることになるのです。

【本書の構成】
第1章 日本人は、なぜ疲れていても休めないのか? 
第2章 ここが違う!「世界」の休日と「日本」の休日
第3章 世界の一流は休日に「自己効力感」を高める
第4章 「土曜」と「日曜」を戦略的に使い分ける
第5章 休日に「1日7分」の新習慣

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