さらば森田が明かす『オールナイトフジコ』の舞台裏「女子大生は生々しい。彼氏と“した”ことを話してもいいんですから」
集英社オンライン / 2024年12月7日 17時0分
かつて社会現象を巻き起こした伝説の深夜番組『オールナイトフジ』。現在、その後継番組としてフジテレビの深夜の顔となっているのが、『オールナイトフジコ』だ。現役大学生たちによる何が起きるかわからない生放送は、これぞバラエティの「フジテレビ」を感じさせる。番組MCの一人、さらば青春の光・森田哲矢に番組の舞台裏や昨今のテレビ事情について聞いた。(前後編の前編)
芸能人ではない生々しさ
――『オールナイトフジコ』のメイン出演者である女子大生のみなさんは、普段バラエティで共演している芸人やタレントと違い、テレビに出ることのプロではないですよね。
森田哲矢(以下、同) 時代が時代ですし、生放送とはいえ、いろいろあとにも残りますから、力加減は調整してます。僕自身もそのへんのコンプライアンスとかは体感で身についてきてはいるので、あまりにひどい炎上はしないようにしつつ、多少は話題になってほしいと思いつつ、うまくバランスをとりたいなと。
とはいえ、実際そんな特別に気を遣ったりもしてないです。なんぼ言っても素人なので、失敗してもそれが笑いになったりキャラになったりもするし、なにより大手芸能事務所とかに所属しているわけではないので、バックにいる事務所から怒られるということがない。それは非常にやりやすいです。
――フジテレビだとバカリズムさんがMCを務めた『アイドリング!!!』など、アイドルグループがメインで、芸人がMCをする番組というのが定型としてありますが、フジコーズとの関係性は、そういった番組のMCとアイドルに近いのでしょうか。
いや、そういう番組のアイドルは、芸能界の先輩としてMCに懐くじゃないですか。でもフジコーズは懐かないっすね(笑)。もちろんMCが出ている番組やYouTubeを見てくれたり、ライブに来てくれる子もいますけど。
全員がこの先、芸能人としてやっていきたいかというと、そうでもないし、芸能の世界でも裏方志望の子もおるし。ただ共通しているのは、まだ何者でもない中で、何者かになろうとはしている、そういう狭間で頑張っている様子は見ていて楽しいですよね。
だから不思議なのは、芸能人ではないのに毎週テレビに出て、平日は普通に大学に通って、大学の中にはテレビを見て知ってる人もいるやろうから、どういう感覚なんやろなって。だって彼氏がいたとして、アイドルなら当然、モデルやタレントであっても、多少は隠したり、控えめにするじゃないですか。
でもフジコーズは堂々と一緒に歩いたり、なんならエッチしたことを話したりしてもいいんですよ。その生々しさは芸能人じゃ出せないですよね。
MC佐久間宣行に感じる芸人とは違う感覚
―― 一般の女子大生を出演者にして、それを男性MCあるいは視聴者がおもしろがる、という構図が「時代錯誤である」という意見に対しては、どうでしょう。
ネガティブな意見が出てもしょうがない番組であることは承知してます。制作陣もほぼおじさんなので、繊細に接しないといけないとは思いながらも、女子大生の気持ちを本当に理解するのは難しいので、フジコーズたちにめっちゃ嫌がられている企画も中にはあると思うんですよ。
そういうときは、佐久間(宣行)さんが一番バランス感覚を持っている人なので、打ち合わせの段階で意見を言ったり、現場でもストッパーになってます。僕と(オズワルド)伊藤は、芸人としての役割を全うするだけなので。
――これまではスタッフと演者という関係だった佐久間宣行さんが同じMCにいるというのは、どういう感覚ですか。
違和感はありますよね(笑)。「この人なんで女子大生を束ねてるん?」っていう。でもその違和感がおもしろいんだと思います。あとは、やっぱり制作側としてずっとやってきた人なので、カンペをちゃんと読んだりとか、台本の進行をきっちり守るとか、芸人とは違う感覚もあるので、頼りにはしてます。佐久間さんがいるおかげで、僕と(オズワルド)伊藤が自由にやれているところもありますから。
――ちなみに、タレントとして佐久間さんがここまでブレイクしたのは、なぜだと思いますか?
こっちが聞きたいですよ(笑)。ただ現場にいて思うのは、芸人と並んでもちゃんとしゃべれるし、説得力あるんですよね。安心感というか。あとは、単純に人がいいから断れなくて、結果こんなに出まくってる、っていうのはあると思います。
稼働のほとんどはテレビだけど、収益の割合は……
――フジテレビという局に対しては、どういうイメージ?
バラエティといえばフジテレビ、というイメージはありますよ。世代としては『ダウンタウンのごっつええ感じ』がモロやし、『とんねるずのみなさんのおかげです。』とか『笑う犬』も見てました。とはいえ、昔はわからないですけど、今はあんまり局ごとの違いって感じないかもしれないですね。
あくまで番組ごとに、深夜だからゆるいとか、そういうのはありますけど。それでいうと、僕の勝手なイメージですが、テレビ東京の番組で「コンプラが……」とか言われると、テレビ東京なのに!? とは思います(笑)。『ゴッドタン』ではそんなん言われないので(笑)。
――予算の規模なども含め、ご自身が思春期に見ていたバラエティをうらやましいと思ったりは?
それはないですね。憧れていた世代ではありますし、当時は平気やったのに今のバラエティだと無理ってことはたくさんあるでしょうけど、代わりにYouTubeもあって、ネットや配信なら規制のこともクリアできるし、稼ぐ手段としても選択肢は広がってますから。たとえば、ギャンブル、風俗、タトゥー、そういうのはテレビで扱えなくなってきてるけど、YouTubeならできるので。
――現実問題、芸人としてテレビ出演のギャラだけでやっていけるのでしょうか?
僕らくらいの世代だと、正直だいぶキツいと思います。なかなかテレビのギャラは上がらないので。吉本の場合は劇場の出番がありますから、それがだいぶ大きいと思いますけど。テレビのギャラが高くて、収入の多くを占めているかどうかについては、世代の問題じゃないですかね。僕らの世代は無理だとしても、たとえば、おぎやはぎさんとかは、吉本じゃないので劇場出番もないし、YouTubeとかもやってない、そのぶんテレビのギャラだけで十分やっていけてるんだと思います。
さらに下だと、千鳥さんはギリ間に合った世代で、YouTubeこそやってないですけど、配信の番組とかには出ているので、ネット人気もすごくある、狭間の世代って感じでしょうね。僕らはギリ間に合わなかった世代だけど、テレビを見て育ってはいるので、テレビに出たい気持ちも強いし、今でも一番緊張するのはテレビなので、テレビは頑張って出続けたいです。
もっともっと下の世代になると、そもそもテレビで育ってないとかにもなってくるんで。
取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/石垣星児
―――
さらば青春の光・森田哲矢●2008年、相方の東ブクロと「さらば青春の光」を結成。2011年、「第32回ABCお笑い新人グランプリ」の優秀新人賞を受賞し、2012年「キングオブコント」では準優勝。2013年、2014年、2015年、2017年、2018年にもキンオブコント決勝に進出している。2013年5月に冠番組「さらば青春の光 ふぁいなる」(TOKYO MX)が放送開始。同年10月に個人事務所「ザ・森東」を設立。森田はフィンランド発祥のスポーツ・モルックの日本代表としても活躍している。
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