1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

SNSで検索した言葉では刺さる感想にならない…三宅香帆が推す、必中の言語化準備法とは

集英社オンライン / 2024年12月15日 11時0分

「好き」を言語化するより、ネガティブな感情を言葉にするほうが難しい!… 三宅香帆が提唱する3つのポイントとは〉から続く

推し語りには、語彙力や文章力が必要だと思われがちだが、それは間違い、と喝破する書評家の三宅香帆氏。感想の言語化でまず大事なのはメモを取ることだと言うが……。

【画像】メモを取る上で、まず大事にすべきことは…

「書店員が選ぶ ノンフィクション大賞2024」を受賞した三宅氏による、近刊『「好き」を言語化する技術』から一部抜粋、再編集してお届けする。

メモを残す範囲のルールを決めておく

◎感想の言語化の前に必要なプロセス
① よかった箇所の具体例を挙げる
② 感情を言語化する。忘れないようにメモをする

ここで重要なのは、SNSで人の感想を見る前に書くこと。

最初は「SNSですぐ感想検索したいんですが⁉」と苦しくなるかもしれませんが、慣れれば意外といけます。ぜひやってみてください。

といっても、「SNSを見る前に、感情の理由まで全部メモするの⁉ 面倒くせえ‼」と思われた人もいるかもしれません。たしかに全部メモするのはちょっとハードルが高いので、自分のなかでルールを決めておきましょう。たとえば、こんなふうに。

【具体例】
・感想を書きたい要素はすべてメモしておく
・感情を抱いた理由まで深掘りする要素はひとつにする

箇条書きで①の「よかった箇所の具体例」をがーっと書いておいて、書き終わったあとに自分のなかで「一番気になったのはこの部分だな〜、じゃあここはあとで深堀りしよう」と考えるのもいいですね。

または、「今回の舞台ひとつでファンレターを5回分書きたいから、最低5個は要素を挙げておいて、それぞれ深堀りするのはメモ段階ではなくて、ファンレターを書くときにしよう」でもいいですし。

「この漫画についてブログで1記事書きたいから、深堀りするところはこのキャラクターについての感想だけでいいや」でもいいのです。

あなたの書きたい感想の分量に合わせて、どれくらいメモをするのか、決めてみてください。

非公開日記をつくろう

メモは「自分しか見られないところ」に書くのがイチオシです!

SNSをメモ代わりに使ってもいいのですが、それだと違和感などネガティブな感情を書くのがちょっと躊躇われますよね。

それに、他人が見られるところだと言葉遣いをつい気にしてしまうし、さらにこの感想を他人が見たらどう思うかな……なんて考え始めると、自分だけの言葉がなかなか見つからなくなってしまう!

私は自分しか見ることのできない「非公開ブログ」を日記帳代わりにしているので、そこにがーっと感想をメモしています。もちろんスマホのメモアプリでもいいですし、手帳に書くのもいいですね。あとから見返せて、自分だけしか見られない場所に書きましょう。

まあ、そうはいっても感想をSNSに書きなぐって、同じオタク仲間と共有するのも楽しさのひとつ。そのあたりは自分の好きなバランスを見つけてみてください。個人的には、「自分しか見られないメモ」を1回書いてみるのがおすすめです。

推しについて、孤独に書いてみよう

言葉って、「自分にしか見えない言葉」と「他人に見せる言葉」では、かなり異なります。

他人に見せる言葉は、無意識に「他人にいいと思われるようにした言葉」を使いがちなんですよね。現代の大SNS時代だと、なおさら。

「いいね」の数が見えて、誰にでも言葉が届くようなSNS空間は、無意識に他人の価値観に寄せた言葉を使ってしまう場所です。それはもう、人間の生まれ持った素質です。責められることでもないし、むしろみんなの社会性ゆえでしょう。

でも、そういう場所で人と違う意見を書くことは、ちょっとだけ勇気を要します。自分の感想をメモするために、その勇気を使う必要なんてありません。だから自分にしか見えないところで、自分の感想を言語化するのが一番いいんです。それが一番ラクな方法。

そして他人に見せる言葉は、自分のメモからつくっていきましょう。

まずは孤独にメモをする。自分だけのメモをつくることが、あなたのオリジナルな感想を生みだします。ちなみに、メモは孤独に書くのが、一番自由で楽しいと私は思っています。

ただでさえ、他人と自分の価値観を無意識にすり合わせてしまうSNS時代。もちろんすり合わせてもいいんですが、やりすぎると、他人の感情と距離をとれなくなってしまいます。どこかで誰かに洗脳されても気づかなくなってしまう。その危険を避けるために、まずは自分の言葉をつくる必要がある。

推しについて自分だけの感想を書くことは、「自分の言葉をつくる」気軽なファーストステップです。

自分の感想が降り積もっていった先に、あなたのオリジナルな言葉がつくられます。それって、自由で、面白くて、なかなか楽しい世界じゃないでしょうか。

あなたのオリジナルの感想こそが、自分の揺るぎない推しへの信頼につながる。それこそが、また回り回って私たちの人生の価値観をつくりだす。

そうやって推しを楽しむことも、きっとできるはずです。

推しを孤独に書く(メモする)こと。

意外と、悪くないですよ!

すぐに言葉がでない人はメモを残す

言語化がうまくいかないときは、とにかく細分化して具体的に考える。悪かったところを言いたいときには、自分に引きつけて考える。

しゃべる段階での言語化とメモする段階での言語化に、そこまで違いはありません。

自分でメモした言語が自分のなかに溜まっていけば、誰かと話しているときも、自然と言葉がでてくるはずです。日ごろからメモなり日記なりSNSなりに自分の感想を残しておくと、人と話しているときも言葉がでてきやすくなります。

人と話しているときに言葉がうまくでてこない! と悩んでいる人は、ぜひ自分だけの時間をつくってメモを残して、孤独に自分の言葉をつくることを試してみてください。

他人と話していると、どうしても他人の言葉に引っ張られてしまうんですよね。それがむしろ会話の面白さでもある──自分の言葉と他人の言葉が重なって、自分だけだと考えもしない着地点が見つかるところが、会話の魅力でもあります。

ただ、事前に自分自身の言葉がちゃんとあったほうが、他人との会話を楽しむことができるのも本当です。

まずは自分だけの言葉をつくる。

そしてその言葉を、他人との会話で取りだせるようにする。それが「自分だけのしゃべり」につながるはずです。


文/三宅香帆 写真/Shutterstock.

「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない

三宅 香帆
「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
2024/7/31
1,320円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4799330838

好きな本・映画・舞台・ドラマ・アイドルを語りたい人の必読書
16万部突破『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』でバズり中の著者が教える文章術!

あなたの「推し」はなんですか?
お気に入りのアニメ、本、漫画、映画。
応援しているアイドル、声優、バンド、YouTuber。
大好きな舞台、コンサート、ライブ。あるいは、スポーツや釣りなどの趣味も、推しに入るかもしれません。

本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。
SNS発信・ブログ・ファンレター・友人とのおしゃべり・音声配信などの発信方法ごとに、自分だけの言葉で感想を伝える技術を教えます。

推し語りには、語彙力や文章力が必要だと思われがちですが、それは間違いです。
必要なのは、自分の感想を言葉にする「ちょっとしたコツ」だけ。
そのコツさえ知れば、あなただけの言葉で好きな作品の素晴らしさを語れるようになります。

ここでは特別に、少しだけそのコツをお教えします!
コツ① 自分の感情を一番大切にする
コツ② 妄想をこねくり回して、感想を生みだす
コツ③ よかったところを細分化するだけで、あなただけの言葉になる
これって一体、どういうことなんでしょう…? 
本書を読めば、特別な才能や技術がなくても、あなたの感動を自分の言葉で語れるようになります。

≪こんな方におすすめ≫
・映画を観たあと、他人の感想をSNSでリサーチしまくってしまうが、本当は自分の言葉で感想を発信したい
・好きな作品について、うまいこと言いたい
・好きな作品や推しについて語ろうとすると「おもしろかった」「すごい」「やばい」「よかった」という凡庸な表現しかでてこない
・ファンレターやブログを書きたいけど、ネタが思いつかない
・なぜ、その作品や人に魅かれるのか言語化したい

◆購入者限定ダウンロード特典付き!
「推しの素晴らしさを語る」発信方法ごとのまとめ

※本書は、2023年に弊社より刊行された『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』の携書版です。判型以外のコンテンツは同じですので、あらかじめご了承ください。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください