〈三宅香帆〉PodcastにVoicy…不特定多数への音声発信を成功させるためのたったひとつのポイント
集英社オンライン / 2024年12月16日 11時0分
〈SNSで検索した言葉では刺さる感想にならない…三宅香帆が推す、必中の言語化準備法とは〉から続く
近年、Podcastが何度目かのブームを迎えている。中でも、自身が好きな「推し」について語る番組は、一大ジャンルにまで発展している。では、人を惹きつける音声発信にはどのような技術が必要なのか。
書評家の三宅香帆氏が、自分だけの言葉で感想を伝える技術を伝授した『「好き」を言語化する技術』より一部抜粋、再編集してお届けする。
不特定多数への音声発信は「強調」が必要
最近はPodcastで発信する人も増えていて、音声だけで不特定多数の人に推しについて発信したいんだ! と思われている人もいるかもしれません。
そんな発信のときにしゃべるコツ──会話のキャッチボールではなく、不特定多数に対して、ひとりでしゃべるときのコツについては、これです。
「ここを聞いてください」というポイントの強調。
ひとりでただしゃべっていると、だんだん自分でも不安になってくるんですよね。これ、面白いのかな? これ、ちゃんと聴いてもらえているのかな? 客席の人が退屈そうにしているなら、なおさら不安になります。
そんなときに役立つのが、自分で緩急をつくりだすこと。
たとえば中高時代、先生の授業を聴いていたときのことを思い出してみてください。どの教科でもいいですが、高校くらいになると、だいたいの学校ではひとつの授業時間が1時間弱ありましたよね。1時間弱、先生ひとりでしゃべり続けるって案外大変です。今思うと、高校の先生のしゃべりの技術は、すごい。
しかし残酷な話ですが、授業を思い出すと、やっぱり面白い授業と面白くない授業、そして、わかりやすい授業とわかりづらい授業にわかれていたものです。
さて、その差はどこにあるのでしょう?
それは、どこがポイントか、はっきり言ってくれるかどうかです。
話のうまい先生は、おしなべて緩急をつけるのがうまい。生徒が多少眠くとも「ああ、ここを覚えとけばいいのか」「えっ、そういう解き方するの?」と興味をそそられるのは、先生が1時間しゃべっているなかで「ここだけは聞いとけよ」というポイントを言葉に潜ませているからです。
それは1時間にひとつ、といったレベルの話ではありません。3、4分に1回くらいでしょうか。緩急を細かくつくって、ここを聞け! という念が生徒に伝わってくるのが、いい先生のしゃべり方です。
私たちも、とにかく「ここを聞け!」という念を込めた箇所をつくりだす──それが緩急、すなわち聴いている人に興味を持続してもらえるしゃべりになります。
「どこへ連れて行きたいか」をわかっておく
私はプレゼンや講演といった、不特定多数の人に向けてしゃべるときがたまにあります。
そこであれこれ失敗したうえでわかったのが……、一番よくないのは「聴衆をどこへ連れて行きたいかがわかっていないとき」なんだ、ということでした。
「どこへ連れて行きたいか」とは、単純に「この結論をわかってもらおう」「ここを覚えてもらおう」といった、しゃべりの終着点のことです。さらには「今笑って聴いていてほしい」「ここは『なるほどね』と納得してほしい」といった、反応を予測する力のことでもあります。
感情であれ情報であれ、「聴いている人がどうなってほしいのか」を、語り手が把握できていることが重要なんです。
じゃないと、ひとりでしゃべっている側が照れてしまうんですよ! 不特定多数の人に向けてしゃべることって、ただでさえ恥ずかしい。「あれ? 今、自分はなにをしているんだ?」と我に返ったら、もう終わり。なにを伝えたいのか、よくわからなくなってくる。
だからこそ、ちゃんと照れないように、聴き手の気持ちを引きつけることができるように、自分が聞き手をどこへ連れて行きたいのかをわかっておきましょう。
ちなみに、長い文章を書くときも同じです。読み手を最終的にどこへ連れて行きたいのか、文章を読み終わったあとにどうなってもらいたいのか、把握しておくことが大切です。
なんだかんだ、結局は「慣れ」が肝心
もうひとつ、私が音声発信するうえで重要だと感じるのは、「慣れ」が一番効くんだ! ということです。
最初からうまくしゃべれる人なんてじつはいなくて、経験を積むうちにどんどん洗練されていくんだな……とさまざまな人のしゃべりを聞いていて感じます。
人によって発信を楽しく感じるかどうか、その差異はもちろんありますが、それでもまずは「慣れ」が一番重要なコツ。
SNSも同様ですよね。最初は虚空に向かって自分の思ったことをつぶやいたり、アップロードしたりするなんて、どうしていいのかよくわからなかった。
けれども、見よう見まねで、ほかの人と同じように使っているうちに、生活の一部になっていく。慣れるうちに、自分なりの使い方がわかってくる。それと同じで、試行錯誤を繰り返すうちに、しゃべることも慣れてくるはずです。
なかなか言葉がでてこなかったり、なにを話したらいいのかわからなかったり、最初は慣れないことも多いでしょう。でも、発信していくうちに、ちょっとずつ慣れて、楽しくなるはずです!
文/三宅香帆 写真/Shutterstock.
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