〈那須2遺体〉“全身刺青”の宝島さん娘の内縁の夫が逮捕「何見てんだよ」とポルシェのオープンカーでライバル店に横づけ挑発…「彼はチンピラでした」「ほとんど亡くなった奥さんの命令で動いてた」【2024 スクープ記事 1位】
集英社オンライン / 2024年12月19日 8時0分
2024年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第1位は、栃木県那須町の河川敷で火をつけられて殺害された事件の記事だった(初公開日:2024年5月7日)。東京・上野の繁華街で焼肉店などを14店舗展開する「サンエイ商事」社長の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)が殺害され、栃木県那須町の河川敷に火をつけて放置されていた事件で栃木県警・警視庁合同捜査本部(警視庁大崎署)は5月6日、同社幹部社員の関根誠端容疑者(32)=東京都世田谷区=を死体損壊の容疑で逮捕した。
〈画像多数〉サングラスをかけ“ライバル”店“に乗り込む関根容疑者。宝島夫妻の娘と内縁関係にあった
関根容疑者は宝島夫妻の長女と内縁関係にあり、サンエイ系列の飲食店と競合店の客引きを巡るトラブルでも中心的役割を担っていた人物で、集英社オンラインでは#10でD、#11でXと報じてきた。すでに死体損壊容疑で逮捕されている4容疑者のうち、指示役として仲介役や実行犯をまとめた佐々木光容疑者(28)と接点があり、捜査本部は動機やカネの流れなどを厳しく追及している。
アニキのさらに上の黒幕か?
事件は4月16日早朝、那須町伊王野の林道脇の河川敷で宝島さん夫妻が両手を結束バンドで縛られ、頭部をビニール袋と粘着テープでぐるぐる巻きにされて仰向けにX字に折り重ねられ、炎を上げて燃えているのを通行人が見つけたことで発覚。司法解剖の結果、死因は2人とも首を圧迫されたことによる窒息死と判明し、殺害後に現場に放置されて火をつけられた、殺人・死体遺棄・死体損壊事件であることが明らかになった。
幸子さんの遺体は顔や頭部を鈍器ようのもので激しく殴打されて骨折するなど原型をとどめておらず、身元確認までに1週間を要した。
一方で翌17日朝、東京都品川区の大崎署五反田駅前交番に「栃木の事件に関与したかもしれない」と平山綾拳容疑者(25)=埼玉県越谷市=が出頭。警視庁捜査1課が同署に捜査本部を設置して平山容疑者の車などを押収し、栃木県の遺棄現場付近を走行していた防犯カメラ映像などを分析するなど捜査を進め、21日に遺体に火をつけた死体損壊容疑で逮捕した。
平山容疑者は当初「アニキ」と称する人物からの依頼で車や凶器類を準備しただけで、自身は現場にも行っていないなどと供述。しかし平山容疑者は徐々に「アニキは怖い人。自分は大金を報酬として受け取り、遺体の処理を行なう実行犯として飲み仲間2人を紹介し、粘着テープなど凶器を購入したうえで車を引き渡した」などと詳細を明らかにし始めた。
捜査本部の調べで「アニキ」は福岡県出身の佐々木光容疑者(28)、「飲み仲間」の実行犯は元俳優の若山耀人容疑者(20)と姜光紀容疑者(20)と判明。全国指名手配をかけ、それぞれ逃亡先の沖縄県や関東地方などで身柄を抑え、逮捕した。
佐々木容疑者は那覇空港で拘束された際に現金数百万円を所持、平山容疑者の関係先からも現金約1千万円が見つかった。捜査本部の調べで、佐々木容疑者から約1500万円を「報酬」として預かった平山容疑者が、実行役の2人に250万円ずつ分配、残りを自分が手にしていたとみられる。指示役の佐々木容疑者はこれを上回る金額を関根容疑者から受け取ったとみて、捜査本部はさらなるカネの流れを調べている。
いつも長袖を着た全身刺青の男
宝島夫妻は4月15日夜に上野から車に乗って品川区に移動、新店舗用の物件を見学した後、東品川にある地上3階地下1階建ての豪邸に立ち寄っていたことが判明。16日未明には同住宅のガレージから平山容疑者所有とみられる黒色の乗用車が出ていく様子が防犯カメラにとらえられており、捜査本部が家宅捜索したところ、ガレージから宝島夫妻のものとみられる血痕が検出された。
捜査本部が押収した平山容疑者の車のトランクや後部座席からも血痕が見つかり、 DNA鑑定の結果、幸子さんの血液と一致し、点と線が繋がった。
また、集英社オンラインの取材で、実行役2人は遊び仲間で渋谷のクラブ「Z」で常連だった平山容疑者と知り合い、佐々木容疑者も3月下旬に同店で平山容疑者と初めて顔を合わせていたことがわかっている。
関根容疑者と平山容疑者の接点について、ある関係者はこう証言した。
「関根は埼玉のほうに人脈があると聞いたことがある。客引きを巡る店のトラブルが大きくなったときに、助っ人として日本人の従業員だかバイトだかを4~5人そろえてた。その中には若い20代の刺青を入れた者もいて、越谷から来ているという人間もいた。名前は知らないが、関根と似たようないかにもヤカラっぽい若者だった。関根は宝島のとこを辞めて他店に職場替えをしたバイトを、そこに乗り込んで行って連れ戻そうとしたり、とにかく宝島の奥さんの命令で動いていたよ」
そして、フリーの「キャッチ」として今年に入ってから上野の“宝島ロード”で客引きを始めた佐々木容疑者は、サンエイ系列の用心棒的存在だった関根容疑者と接点を持ったとみられる。この関根容疑者はどんな暴れっぷりを見せていたのか。サンエイ系列と客引きでもめ、訴訟沙汰にもなっているC店のオーナーがこう語る。
「基本的に宝島夫婦は奥さん主導で、尻に敷かれた旦那がそれに従う感じで店も増やしてきた。揉めごとでも仕掛けてくるのは奥さんで、口汚い朝鮮語で罵ってくる。あの夫婦は両方とも中国の吉林州出身だけど中国語はあんまり上手じゃない。
その奥さんが小間使いのようにしているのが関根。車の運転手をしたり、ウチの店に乗り込んできて嫌がらせをしたり暴れたり。一度、ポルシェのオープンカーで店の近くまで来たことがある。ほとんど奥さんと行動をともにして、操られている感じだね。いつも長袖を着てるから刺青の柄まではわからないけど、まあチンピラだよ」
「何見てるんだよ」「ルール守れ」
関根容疑者はやり手の幸子さんの右腕として、宝島夫妻に可愛がられ、信頼されていたのだとしたらなぜ、今回の犯行に及んだのか。
「いや、そうでもないね。娘が付き合っているからしょうがなく使ってた感じじゃないの。そもそも関根に十何店舗も切り回す商売の才能はないし、せいぜい、2~3店舗くらいだろう。サンエイ系列のいくつかの店は、たしか関根の会社の名義になっているんじゃないかな。関根が宝島夫妻に恨みを抱いていたかどうかは知らないけど、夫婦が死ねば14店舗を経営する権利が手に入ると考えても不思議はない。遺産は娘が相続するが、娘さんは商売ができる人じゃないから、関根としたら自分のものになると思っていた可能性もある」
そんな関根容疑者の暴力性が最も現れたのは、昨年9月16日のことだったという。
「関根がウチの従業員を挑発してきて、目が合うと『何見てんだよ』『ルールを守れ』と因縁つけてきた。それがあんまりしつこいからウチの従業員が『なんのルールだよ』と聞くと関根は激高して『こいよ』と挑発してきて小競り合いになった。私はその場にはいなかったんだけど連絡を受けて駆けつけて仲裁に入ると、関根が頭突きしてきた。その間も『押してんじゃねえよ』『やればいいじゃん』とか言いながら額をこちらの額にくっつけてグイグイ押してくるから、思わず手でやつの額を払いのけたら大げさに尻もちついたんですよ。明らかに演技だよね」(Cのオーナー)
客引きトラブルが頻発していたサンエイ系列店の、半ば暴力装置として機能してきた関根容疑者は、全身に刺青があり周囲からも恐れられていたという。激しい恨みを連想させる残忍な手口で恩人ともいうべき宝島夫妻を死に至らしめた動機は何なのか。捜査本部の調べが待たれる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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