〈旭川・女子高生殺害〉17歳少女を全裸で座らせた“サンロクのリコ”を“お持ち帰り不倫”した刑事が訓戒処分、乱痴気騒動の店と事件現場の“今”
集英社オンライン / 2024年12月21日 12時0分
今年4月、北海道留萌市の女子高校生(当時17歳)を男女4人のグループがリンチの末に旭川市の神居大橋から石狩川に落下させ殺害した事件。凄惨さに加え警察を含めた地域社会の腐敗を感じさせて注目を集めた。主犯格の内田梨瑚被告(22)=殺人罪などで起訴=は子供時代から旭川の夜の街に出入りし、随一の繁華街「3・6(サンロク)街」では不良や刑事たちと積極交流を重ねる“顔”として知られたオンナだ。道警が6月に「身内の恥」に繋がる一連の事件の強制捜査に着手してから約半年、雪化粧に覆われた旭川の街を歩いた。
“リコ”と刑事が不倫…カラオケ喫茶は店を畳んでいた
サンロク街の中心にある8階建ての雑居ビルを訪れると、旭川中央署の刑事たちが常連客として夜ごと盛り上がっていたカラオケ喫茶はもう店を畳んでしまっていた。
内田被告が不倫していたという警部補らと乱痴気騒ぎに興じる姿がYouTubeなどSNSに投稿され全世界にさらされて有名になった店だ。
道警はこの不倫刑事を含め、同署の男性警察官2人を20歳未満の人物と飲酒をしたという“罪状”で訓戒処分にした。いかにも身内びいきな激甘処分なのか、妥当な決断だったのかは後世の判断を仰ぐ必要があるが、とりあえず大迷惑をこうむったカラオケ喫茶のオーナーの磯谷悦郎さん(72)が当時の騒動を振り返ってくれた。
「8月いっぱいで前の店は畳んで、近くだけど場所も名前も変えて出直したところだよ。やっぱ旭川中央署の不倫報道が出てから客足が遠のいたってのはあるからな。
カラオケ喫茶の客層のメインは高齢者だから、ああいうことがあった店はイメージ的によくないから。ネットで調べりゃすぐわかるから、店の名前も住所も変えなきゃってんで場所を変えたんだ。
警察から嫌がらせがあったわけじゃないけど、お客さんからも『ここでしょ』とかいろいろ言われるし、まあ俺も逃げたかったんだわ。いろんなメディアに出るとみんな警戒して来なくなるだろう? 報道をきっかけに来店した人もいたけどユーチューバー2人だけだよ。店内でカメラ回したりしてたけどな」
課長が自宅まで来て「これはこちらで片づけますから」
事件前までは旭川中央署の刑事たちは、おとなしく飲んでいたのだろうか。
「4月までは警察の人たちは月に何度か来てくれてて、最初のころは収入源としては大きかった。飲み放題で2500円でやってたから10人とかで来てくれるといい金額だからな。
でも途中からは値切ったり、支払いを渋ったりで困ったわ。この不倫した警部補も飲み逃げしようとしたからな。前に来たときに勘定済ませてないと伝えたら『払ったよ』と言い張るから、『全部防犯カメラに映ってるよ』って言ってやったんだ。
そうしたら『忘れてたかもしれない。2回分払うわ』って言うから、『じゃあ5000円だよ』と言うと『500円まけてくれ』ときた。ちょうどそのころに警察内で内部告発があって、もう飲みに出るなってことになったらしく、それ以降は旭川中央署の連中は全く来なくなったけどね」
事実だとすればおそろしくセコい男だ。投稿、配信された動画にもはっきりと映っていたが、オーナーは刑事たちが置いていった名刺を店内に飾っていた。
「刑事がみんな名刺を置いていくんで、暴力団対策にもなると思って店の壁に飾ってたんだけど、3月から店に来るようになった刑事2課長に『誰かに写真撮られたら困るから片付けてくれ』って言われて家に持って帰ってたんだ。それから、内田梨瑚との不倫問題が表沙汰になったころに、その課長が自宅まで来て『申し訳ないけど、これはこちらで片づけますから』と持っていったよ」
その後、道警から「関係者を処分したいから事情を聞かせてほしい」と要請があり、オーナーは旭川東署に呼び出されたという。そもそもこのカラオケ喫茶を旭川中央署の、しかも暴力団捜査などが担当の刑事2課の刑事たちが根城にするようになったきっかけは何だったのか。
「後をつけてエレベーターに乗り込んだ暴力団の男に尻を触られたって女の子が、ウチの店に逃げ込んできたことがあって、俺がそのヤクザもんの相手をしたら頭を蹴られたり踏んづけられたりして怪我をしたんだわ。
そのときにこの事件対応してくれた警察官がしばらくして『お店に飲みに行ってもいいかい?』と電話をかけてきたのがきっかけだね。新年会だったんだけど、その席に俺がその女の子を呼んだんだよ。
俺は19歳とは知らなかったけど、事件を扱った刑事は年齢も当然知っていたと思うよ。ましてや、『署内で未成年の子と飲んでるというのが問題になっているから、もし誰かから聞かれたらとぼけてくれ』って他の刑事にも口止めされてたぐらいだから、間違いなく自覚はあったよね」
未成年と酒を飲む刑事も
内田梨瑚被告と不倫刑事の出会いについても、オーナーは後から詳細を知ったようだ。
「旭川中央署の連中が1月12日にウチで新年会のようなことをやっていたんだけど、最初は7、8人だったのがだんだん人数が増えて、最終的に40~50人も来たんだよ。刑事2課だけじゃなくそのうち1課の連中も来たりで、俺もつまみ作ったりなんだりでてんやわんやだった。
そこに件の19歳の女の子が一緒に連れてきたのが内田梨瑚だったんだ。12時回ってもう日付変わってから来た感じだな。それで例の2課の警部補と知り合ったってわけさ。そのときは2人がどう接していたかは覚えてないけど、その日は2人で一緒に帰ったらしいよ。内田梨瑚がお店に来たのは全部で3回くらいだったな。
こんな事もあったな。旭川中央署の連中が8人ぐらいで来て飲み始めて、そこに内田梨瑚と19歳の女の子が来た。それから1時間後くらいに不倫警部補が来たから、まあ、連絡取り合ってたんだろうな。ただ、当時は内田梨瑚なんて名前は知らなかった。事件後に初めて内田梨瑚って知ったんだよ」
女子高生からカネを巻き上げようと脅し、全裸にして橋の欄干に座らせ、冷たい石狩川に落ちるように仕向けて殺害した女と、その女と情事に耽る飲み逃げ未遂刑事。しかし、オーナーが驚いたのはこの2人の関係だけではなかった。
「一番タチが悪かったのは刑事2課のS警部補だったな。この人も金払いが悪くてな。旭川中央署はこの19歳の女の子を俺が暴力団に蹴られた事件で聴取してたから、年齢も住所もなんでも知っていたわけよ。それで堂々と未成年と酒飲んでるんだから。まあ、堅い仕事をしている人は飲むと乱れるっていうけどほんとだな」
さかのぼればいろいろありすぎる北海道警の信頼回復は、はたしていつの日になるのだろう。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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