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《怖すぎる社員寮》「毛があふれる風呂釜」「開かずの1階は虫の巣」「8年間知らない女性と住んでいた」近所から幽霊屋敷と呼ばれる社員寮でもっとも恐怖だったこと【2024 変な部屋記事 5位】

集英社オンライン / 2024年12月21日 11時0分

〈恐怖のバイト募集〉アパートの1室で24時間過ごすだけで謝礼8万円「条件は格闘技経験者・深夜2〜4時は起きていること」の業務が最後までできなかったワケ【2024 変な部屋記事 4位】〉から続く

2024年度(1月~12月)に反響の大きかった変な部屋記事ベスト5をお届けする。第5位は、春先に話題になった「いなば食品」のボロボロな社員寮を超える実在した部屋を取材した記事だった(初公開日:2024年4月15日)。社員寮がボロボロであることなどを理由に入社辞退者が続出した「いなば食品」。くだんの社員寮の様子を撮影した写真を見ると、天井からの雨漏りをコップで受けるなど、ひどい光景だった。しかし、これをはるかに超えたとんでもない事件が起き続ける社員寮が存在した。

築50年以上の連れ込み旅館を社員寮に

キャットフード「CIAOちゅ~る」の大ヒットなどで知られる缶詰、レトルト食品、ペットフードなどを製造する大手食品メーカー、いなば食品に、今年春に入社予定だった新入社員の9割が入社を辞退したと週刊文春が報じて世間をざわつかせている。

理由とされているのが、募集要項と実際の待遇が大きく違うこと。その差異は給与や勤務地、職種においてなどさまざまあるが、中でも話題になっているのがボロボロの社員寮だ。社員寮に関しては、実際に入社を辞退したという人がSNSにその写真を投稿し、あまりの惨状に言葉を失うユーザーも多数いた。

そんな中〈いなば食品の社宅が話題だけど、自分のいたブラック企業の社員寮も見てってください〉と、ずいぶんと年季の入った社員寮がXに投稿されて、こちらも大きな話題となった。

投稿主は、北海道在住のキャンプ王、キャンプブロガーの忍者タカさん(@ninjatakasan)。タカさんに話を聞くと、この社員寮ではとんでもない事件の連続だったことがわかった。

「私がこの寮に住んでいたのは1997年~2005年の頃です。寮はもともと、戦後間もなく建てられた連れ込み旅館で、1階部分が居酒屋で2階が旅館という造り。当時ですでに築50年が経過していました。家の前の道路が先々拡張になるという情報を仕入れた社長が立ち退き料を目当てに購入し、立ち退き料を上げるためには誰かが住んでいる必要があったため、社員寮にしたらしいです」(忍者タカさん、以下同)

掲載している写真は、タカさんが5年ほど住んだ後、リフォームされた寮。リフォーム前、寮を訪れた取締務があまりの惨状にビックリして、業者を入れて害虫駆除・リフォーム・片付けをやってくれたという。

「入居した当初は半分ゴミ屋敷というか、会社の倉庫(ごみ置き場?)も兼ねていたので、本当にヒドい環境でした。台所のテーブルには大量の飲みかけの酒瓶。台所に置いてある洗濯機は年代物の2槽式洗濯機で、使うとあまりの振動で前進する。風呂は風呂釜にお湯をためると、お湯を抜くとき、なぜか大量の毛が風呂の排水管からあふれ出てくるため使用不可。なので、忙しくて銭湯に行くヒマもないときは、台所の湯沸かし器から出るお湯で頭を洗って体を拭いていたこともありました。

さらに、居酒屋部分は開かずの間になっていて、中は大量のカマドウマ(便所コオロギ)に占拠され、虫の巣になっていました。社員寮として使っていた部分でも床にはカマドウマ・ゲジゲジが出没。寝てると天井からハサミムシのような虫が落ちてくることも多かったです」

窓から目があってしまった隣人の奥さん…

さすがに家賃・電気・ガス・水道の負担はなかったというが、入居当時ですでに、洗濯機や給湯器がかなり古くなり壊れかけていた。さらに、トイレや台所の備品など共同で使うものは居住者がお金を出し合って購入。合わせてそれぞれ、月に2000円ほどの負担があった。

また、北海道の寒い冬に備えた必需品、ストーブは各自用意しなくてはならず、灯油代は自己負担だったという。

「毎年1月から2月にかけて、平均室内温度は氷点下5℃。寒波がきたときは氷点下10℃以下まで下がったことがあり、部屋においておいたシャンプーがシャーベットになりました。だいたい氷点下5℃になると、水道管凍結の対策も何もしていないので、寮のありとあらゆる水道管が水落しをしていても凍ります。

そうなると、台所を中心に灯油ストーブを3つくらい集めて置いて、水道管が集中している台所を温めて解凍するんですが、下手をすると丸一日作業になります。これで休みが潰れたこともありますし、平日みんなが仕事のときは諦めてました。トイレは近くのコンビニ、風呂は銭湯。できるだけ寮に帰らないよう、近くの安い焼き鳥屋で寝る直前まで時間を潰していました」

一方で、風通しが悪いため、夏は外が25℃なのに部屋の中は35℃ということも。窓を開けっ放しにしてないと部屋にはいられないほどだったが、隣の家とぴったり隣接していたため、窓越しに部屋が丸見え状態。「ときたま、隣の奥さんが窓のところを通るたびに、こっちを見ながら通っていくので、たぶん、ゴミを見るような目で見てたんだろうなと思ってました(笑)」と忍者タカさんは話す。

しかしこの“奥さん”が、実はとんでもない人だったようだ。

「私はこの寮に住んでいたとき、何度かおかしな体験をしました。ある日、自分だけが平日休みで寮に誰もいないとき、トイレで大きいのを踏ん張っていたら、玄関がガラガラと開く音が聞こえ、奥にある共同台所にバタバタと走っていく音が聞こえました。
社員の誰かが忘れ物でも取りに帰ってきたのかなと思いつつ、トイレから出たんですが、どこにも誰もいませんでした。他にも隣は空き部屋なのに、壁を夜中にコンコン叩く音が聞こえるとか…」

8年間一緒に住んでいた謎の女性…

実はこの寮、部屋の中で心中や自殺もあったと言われている、いわく付きの建物だったのだ。忍者タカさんの住んでいた部屋では、嘘か本当か、女中さんが首を吊って自殺した部屋だと、寮に住む先輩から聞かされたこともあったという。

近所に住む子どもたちからも「幽霊屋敷」と呼ばれていた。

「私は霊感がないんで、ほとんど気にもせず住んでいたんですが、霊感のある単身赴任中の社員の奥さんが遊びに来たときは、あまりの霊圧に寮に入れなかったこともありましたね。

まあ、そんな感じで過ごしてたんですが、確か年始の仕事始めのとき、初めて隣の家にお邪魔することがありました。
毎年、社員寮の隣の家ということで、上司が年始の挨拶に行っていたんですが、その年は私も初めて一緒に行きました。玄関先での挨拶だったんですが、玄関は吹き抜けになっていて、吹き抜けの2階部分に窓。『なるほど、位置的にあの窓が自分の部屋と隣り合ってるのか』と、このときわかりました。
しばらくして、また暑い夏がきたんですが、部屋の中でテレビを見つつ、ふと開けっ放しの窓を見ていたんですが、一気に背中がゾッとしました。

『吹き抜けの上の窓なのに、なんで窓の向こうを奥さんが歩いていたんだ?』

吹き抜けだから当然、窓の下に廊下なんてありません。人なんか歩けるわけないんです。というか、窓越しに見えていたあの女性……勝手に隣の家の奥さんだと思ってましたが、そもそも奥さんとは面識もなく、ただ女性が歩いていたから奥さんだと思っていただけ。あれは、誰だったんだ? それに気づいた瞬間、恐ろしくなって暑さも忘れて窓を閉めました」

それからしばらくして、タカさんは寮を出ることにした。が、しばらくして再びこの寮を通りがかったとき、タカさんをさらなる恐怖が襲った。

「よく、寮の前では隣の家の子どもが道路にチョークで絵を書いて遊んでいたりして、私もよく、『あ! お兄ちゃんだ!』と、いきなりカンチョウされたり、『幽霊屋敷に住んでるけど、お金ないの?』と遊ばれて(虐められて)いたんです(笑)。寮を出てからしばらくして、この子と道路で会ったときに『お兄ちゃん! もうここに住んでないの? 窓から見てもいないんだもん』と言われました。

どうやら子ども部屋から私の部屋が見えていたようで、よく私の部屋を見ていたようです。『そうだよ、もう引越したんだよ』と言うと、『女の人も一緒に引越したの?』と言われ…。『え? 女の人? 女の人なんていないよ』『お兄ちゃんの部屋、女の人も一緒にいたよ!一緒に住んでたんだよね!』。

寮は、男性独身寮。私の部屋には女の人がいたことは一度もありません。どうやら私は、この世のものではない者と住んでいたようです。その1年後。この寮は火災で2階部分が全焼しました」

タカさんが社員寮から引越した1年後、隣のスナックが入ってる長屋が夜中に火事になり、火が社員寮に燃え移って2階部分が全焼した。連絡を受けて慌てて駆けつけると、逃げ出した社員の一人は「あははは、燃えてる! むっちゃ燃えてる!」となぜか爆笑していたそうだ。

部屋が燃えたことで、住んでいた“女性”はどこへ行ってしまったのだろうか…。いずれにしても社員寮が完備された会社に就職する場合、その家屋の状況はしっかり把握しておきたいものだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

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