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「これ小学生が使うの!?」ランドセル・裁縫バッグ・上履きまでも超進化… デザインに込められた本当の意図と狙いとは【2024 ビジネス記事 4位】

集英社オンライン / 2024年12月23日 8時0分

「夢の国から修羅の国に」ディズニーランドが“ガチ勢”御用達のラーメン二郎系テーマパークへと変貌か…価格高騰・システム複雑化にファンからは悲しみの声も【2024 ビジネス記事 3位】〉から続く

2024年度(1月~12月)に反響の大きかったビジネス記事ベスト5をお届けする。第4位は、日々進化を遂げる令和の小学生の用具事情にまつわる記事だった(初公開日:2024年5月5日)。いまや「子ども用」なんて言葉は令和には必要ないのかもしれない。ランドセル・裁縫セットなどが、まるで高級ブランド品のように洗練されたデザインへと変貌している。

【画像】本当に子ども用なの? オシャレすぎるランドセルがズラリ!

大人も使いたくなるおしゃれランドセル

ランドセルが赤と黒だけだったのはすっかり昔の時代。小学生たちが色とりどりのランドセルを背負うようになって久しいが、その進化は止まることを知らない。かなり凝ったデザインのものから、まるで大人向けのハイブランド商品に見えてしまうものまである。

大人の女性から「自分用にほしいくらい!」と絶賛されているのは、MARY QUANT(マリークヮント)のランドセルだ。色味や素材感など、まるで高級ブランド品のようにも見えるこのランドセルはSNS上で〈可愛すぎてびっくりした〉〈海外のkawaii系女子がこぞって買いそう〉〈こんな小学生いるの?!いいなぁーっ!〉と大好評。

製造、販売を手掛ける株式会社SHIFFONのPR担当・佐々野康平さんが、こちらのランドセルについて説明する。

「デザインも色も大好きなランドセルを買ってもらったら、そのランドセルはただの教材入れではありません。子どもにとっては宝ものです。お気に入りの服を着るように、袖を通すたびにうれしくて、あふれる笑顔がとまらない。『デザイナーズランドセルSHIFFON』はそのようなコンセプトをもっております。
品質が確かで、デザインとカラーが豊富に揃ったブランドから、いいランドセルを提供します。充実の機能で、子どもも親も安心して使えるランドセルです」(佐々野さん)

ランドセルを実際に製造するまでは、デザイナーが時間をかけてデザイン・企画に取り組んでおり、親目線や子ども目線でという視点を忘れず、試行錯誤しながら、社内でヒアリング、ブレストを繰り返す。ブランドにふさわしいランドセルであるために、トレンド要素を取り入れたカラー、ディテールデザインなどには特に注力しているという。

ラインナップも全10型/41カラーを取り揃えているとのことで、本当に赤・黒だけだった時代とは大きく変わったものだ。

大きく変わったといえば、小学生用の裁縫セットもとんでもない進化を遂げている。30〜40代にとっての裁縫セットといえば、子ども心をくすぐるやたらとかっこいいドラゴンや、イルカ、ピングーやボブドッグなどのキャラクターがデザインされたパッケージが主流だっただろう。

だがこちらもなんと、洗練されたブランド品のようなデザインが増えている。おしゃれな裁縫セットを販売する、株式会社光文書院の製作グループ教具チームの水谷さんに話を聞くと、光文書院で裁縫セットがおしゃれになっていったのは、つい最近のことだという。

ドラゴンが消えた? おしゃれ裁縫セットへの進化

2021年度に社内でデザインプロジェクトを立ち上げて、ラインナップを刷新。以前はキャラクターをメインに取り入れたデザインを展開していたが、「ずっと手元におきたくなる」をコンセプトにデザインを見直し、大人になっても持ち続けたいと思えるデザインにシフトしたという。

「家庭科の授業で使うものなので、使いやすく機能性が高いことは大前提ですが、お気に入りの裁縫バッグやセットと一緒に、ワクワクした気持ちで学習に楽しく取り組んでもらえたらなとデザインにも力を入れています。今どきの小学生はオシャレに敏感なので、流行を取り入れつつも、シンプルで飽きのこないデザインを目指しています。

例えば、弊社のラインナップには『トイ・ストーリー』のキャラクターがデザインされた裁縫バッグがありますが、タグやプレートにワンポイントで使用し、キャラクターを控えめに取り入れた洗練デザインで、愛用している社員も多いです。自分のお気に入りの裁縫セットを見つけて、大人になっても使い続けてもらえたらうれしいです」(水谷さん)

実際に購入者からも「シンプルで使いやすい」「大人になっても使えそう」と評判で、特に今年度にリリースした「フェアリーラテ」は、人気のラテカラー×チェック柄の大人可愛いデザインが大好評だそうだ。 

もちろん、デザイン面だけでなく、使いやすさ、機能性においても進化している。こちらのバッグは、フタを底裏に回せて、道具を入れたまま机に置いて使える省スペース設計。家庭科の授業中、クラスに1人は裁縫バッグを床に落として大惨事になっていたが、こちらのバッグではもう、そんな事件は起こらないかもしれない…。 

ちなみに、光文書院でもかつて「スプラッシュドラゴン」という、かっこいいドラゴンがパッケージされた裁縫バッグを販売していたが、2014年度を最後に生産終了。「シンプルなデザインに移行していく過程で、惜しくも廃盤となってしまいました」とのことだ。令和の子どもたちはもう、あのドラゴンに心躍らないのだろうか…。

こうして日々、進化を遂げている小学生の用具だが、なんと上履きまで進化しているのをご存知だろうか。こちらはおしゃれ面ではなく、機能面からとある進化を遂げた。
 

株式会社ムーンスターが販売している上履きのかかと部分には、なぜか三角形の突起がある。一体なんのためについているのか、SNS上では〈脱ぎやすいかしら。右足で左足の突起を踏むようにして…〉〈玄関の段差とかに引っ掛けて脱げる!〉〈かかと落としの際、足を痛めないように?〉などと激論が交わされたが、こちらは子どもたちがかかとを踏まないように設計されたという。

株式会社ムーンスターの担当者によると、「当時、先生から『子どもたちが上履きのかかとを踏んで正しく履いてくれない』とのご相談をいただき、子どもたちがかかとを踏むという間違った履きかたをすることで転倒してケガをしたり、姿勢が悪くなってしまうのを防ぎたいという思いで製作いたしました」とのこと。このでっぱりでケガをしたり、靴下に穴が空かないよう、形や堅さも工夫されているようだ。

子どもの頃からこんなに洗練されたデザインの中で育ったら、今の子どもたちはいったいどんな大人になっていくのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部

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