TUBE前田亘輝「いくら夏が好きとは言ってもね…さすがに暑すぎて、もう5月から10月まで夏だよね(笑)」野外ライブをやめる時のツアータイトルは20年前から決めている⁉︎【2024 音楽記事 3位】
集英社オンライン / 2024年12月24日 11時0分
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2024年度(1月~12月)に反響の大きかった音楽記事ベスト5をお届けする。第3位は、TUBEの前田亘輝に猛暑をふるう夏のライブの極意を取材した記事だった(初公開日:2024年8月22日)。7月に9年ぶり26回目の阪神甲子園球場での野外ライブを成功させたTUBE。8月24日にも夏恒例の横浜スタジアム公演を行う。今年通算35回目となる真夏の野外ライブを続けてきたTUBEのボーカル・前田亘輝に、酷暑と戦ってきた経験やスタジアムライブの醍醐味を聞いた。(前後編の前編)
26回目の甲子園ライブは夏の常連校さながら
――9年ぶりの甲子園球場のライブを振り返っていかがでしたか?
前田亘輝(以下同) 甲子園ライブは2020年にもやる予定だったんですけど、コロナの入り口で延期になって、当然、その年は横浜スタジアムライブもなくなって。結局、2020年に横浜スタジアムで無観客ライブ配信はしたけど、有観客での野外ライブはまる2年、できなかったんですよね。
――32回目の横浜スタジアムライブは無観客でしたよね。
観客が誰ひとりいない何万人の会場というのは異様でしたね。映画のワンシーンにいるような怖さがありましたよ。2022年は有観客だったけど声は出せなくて、みんなマスクしていて。去年の横浜スタジアムはすべて解禁になったので、それはそれで怖いくらいのすごい盛り上がりでした。
甲子園ライブは26回目ですけど、甲子園球場は今年、開場が100周年なんですよね。TUBEは甲子園の歴史の4分の1以上、ライブしてることになるから、夏の常連校もいいとこですよ(笑)。今年の甲子園は過去最高動員数で、たくさんの方が来てくれて、楽しんでもらえたんじゃないかと思いますね。
暑くなる日本の夏を一番肌で感じているバンド
――TUBEは1980年代から野外スタジアムライブをやられてきて、その間、日本の夏はどんどん暑くなっているわけですよね。
それは一番、肌で感じてるバンドだと思いますよ。温暖化や日本の猛暑、酷暑。スタジアムライブを始めた頃は、特に横浜は浜風もあって、夜7時を過ぎると少し肌寒いぐらいでしたよ。1990年は半ばぐらいまではそんな感じだったけど、今はもう全然ダメだね、夜でも暑すぎる。
――この暑さでは野外は厳しいなと感じることはなかったんですか?
当然、思ってますよ。今回の甲子園(での公演)が終わったあとみんなで話したのは、全員、野外ライブは賛成だと。でも、今みたいな外に出ちゃいけないって言われるくらい暑い、7月、8月じゃなくてもできるよねと。
今、春と秋がほとんどなくて、10月でも夏みたいなものじゃないですか。いくら夏が好きとは言ってもね…さすがに暑すぎて観る側も大変ですよ。それは夏フェスをやってる人たちも感じてると思いますよ。もうね、5月から10月までが夏だっていうふうにファンが認めてくれるならすぐにでも変えてもらいたいね(笑)。
スタジアムライブはお祭り。みんなで作るのが醍醐味
――前田さんが考える、野外のスタジアムライブならではの魅力は何ですか?
僕らが小さい頃って、親に連れられて、後楽園球場とかに野球、観に行ったりしてたんですよ。でも屋外でやってるから、雨が降ったり、寒くなってきたりもする。そういう時、親が「これ、着なさい」ってポンチョを出したりすると、「大人ってすげえな」って、子ども心に感動したんです。いつもは「うるせえな」とか思ってたけど(笑)。野外のイベントで親子の絆も深まったし、子どもの頃の林間学校とかも、自分を成長させてくれたんですよね。
ライブをやるなら野外よりドームのほうが快適だし、頭から照明もあてられて、ショーとしてはそっちのほうが濃いものを作れるんでしょうけど、そういう野外での経験値が自分たちの人生に根強く残っている。スタッフもみんなその世代ですから。そういう高齢者たちで野外ライブをやってます(笑)。
――アーティスト側から感じる野外ライブの魅力はというと?
やり終えた後の達成感は大きいですね。100考えていたことが100にはならないし、必ずトラブルが起こるんです。それも想定しながら準備して、トラブルが起きても起こらなかったように乗り切ったときは、さすが百戦錬磨のチームだと自画自賛してます。手前みそですけどね(笑)。
それに、スタッフと意識してるのは、球場でもビーチでも、TUBEのライブ後は「ほんとに昨日ライブがあったんだろうか」っていう状態に戻すこと。TUBEが来る前よりキレイになったって言われたこともあります。
――「来た時よりも美しく」って、まさに小学校の林間学校で言われたことですね。
自分の出したゴミプラスひとつを持って帰ってもらえると嬉しいなと思っています。そういうふうに、来てくれる人と一緒にライブを作っていく感覚ですよね。年に一度、みんなで成功させる地域のお祭りと一緒。TUBEという神輿をオーディエンスも含めてみんなで担ぐ、そういう感じですね。
大噴水の中で歌うコツは、おちょぼ口で息を吸う
――まさにTUBEのスタジアムライブが夏の風物詩と呼ばれる理由ですね。
TUBEのホールやアリーナのツアーは来ないけど、スタジアムライブだけ参加する方ももちろんいるんです。野外は、やっているほうも気持ちいいですよ。でも楽器って、外で演奏するのに向かないんですよね。湿度とか気温に左右されるので、トラブルが多いんです。だから楽器クルーは、この日のためにアイデアを出したり、防水加工の方法を開発したりして。
でも楽器に防水加工って、あんまり意味ないのよ(笑)。クルーが「これ、スイッチから水、入んないようにしたんすよ!」って自慢気に言ってくるけど、「お前の仕事、そこか?」って。でもライブ中、水と火っていう、楽器の近くで一番使っちゃいけないものをよく使うからね(笑)。
――TUBEのスタジアムライブといえば、バラードのギターソロ明けの大噴水ですよね。前田さん、あの激しい水の中でどうやって歌っていらっしゃるんですか?
こうやって、おちょぼ口でね、息、吸うの。鼻で水吸ったら終わりだから。歌う時は、ちょっと上唇を出して歌うと、上からも水が入ってこないから大丈夫なの。今年の噴水は最新鋭で、非常によかったんだけど、その分、粒子が細かかったんだよな。バンドのやつら、むせてたからね(笑)。
――ミスト状でなおさら入ってきちゃうんですね(笑)。前田さん以外は溺れると思います。
全員、むせると思うよ。でも僕は慣れました(笑)。コツがあるんです。
――過酷な夏の野外ライブもパワフルに駆け抜ける皆さんのパワーはどこから来るのでしょうか?
みんな特にすごく努力してるわけじゃなく、普通にジムに行ったりする程度ですよ。それに最近は、スタジアムライブの何日も前からそれぞれドクターについてもらって、本番当日もケアしてもらってます。リハーサルの時から見てもらって「このあたりで栄養入れましょう」って、途中で栄養補給したり。
リハーサルが終わったら、メンバー全員、並んで熱中症予防の点滴をしますね。じゃないと確実に熱中症になるので。あくまでも前田調べですけど、熱中症が進むと顔の中心が赤くなってくると思うんですよね。そこらへんはメンバー中心に気をつけるようにしています。なのでライブに参加されるみなさんにもくれぐれも気をつけてほしいですね!
野外をドームに変える時のライブ名は決めてる
――真夏にはこだわらないということでしたが、今後も野外ライブは続けられると思っていいですか?
野外ではやりたいですね。10月になるかもしれないけど、そこまで夏だってみなさんが認定してくれたらいいので。今後ドームで、しかも冬にやることになった時のタイトルは、20年前から決めてるんです。『冬でドームすいません』って(笑)。
――(笑)。TUBEのツアーやライブ名はダジャレが多いですよね。
真面目なタイトルはあんまりないですよ。社会に対するメッセージなんて1ミリもないから(笑)。
――そんなことはないと思います。それにスタジアムライブがどれだけ人を元気にして、救っているかわからないです。
TUBEの音楽は前向きで、「ともに歩んでいこう」っていうメッセージが強いからね。発信する我々もその曲に励まされながら活動してきましたよ。
取材・文/川辺美希 撮影/佐賀章広
〈再結成を発表したキマグレン、後押ししたのは他界した母親の最後の願い…『LIFE』で大ブレイクも、今だから話せる9年前の解散の真実【2024 音楽記事 4位】〉へ続く
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