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〈年賀状じまいに後悔の声〉「生死わからなくなった」「知人との関係が途切れた」年1回85円で維持できる関係を見直す向きも

集英社オンライン / 2024年12月19日 8時0分

「手間がかかる」、相次ぐ年賀状じまい

《誠に勝手ながら本年を持ちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただくことと致しました》

正月の風物詩の一つでもある年賀状だが、近年はデジタル化の加速に伴い、このような形で「年賀状じまい」をする人々が相次いでる。

来年で「年賀状じまい」をすることに決めた東京都在住の50代の男性は、「『今年こそは会おう』と書いても会わない人が多い状態で儀礼的に続けているなと感じていました。はがき代も上がりますし、連絡手段も多様になった。1年に1回の年賀状という手段にこだわらなくても、LINEやメール、電話など適切な方法で繋がっていければいいかなと思いました」

葬儀の口コミを運営する株式会社「ディライト」(東京都)が20~70代の男女約千人に実施した年賀状に関する最新の調査によると、「新年の挨拶を年賀状はがきで出す予定ですか?」という質問に対し、62.6%が「出さない」と回答した。

「出さない」と答えた人の64.3%がすでに「年賀状じまい」を終えていて、今年から「年賀状じまい」を検討している人も14.7%にのぼる結果となった。

理由としては、「手間の軽減」(43.2%)が最多で、次いで「メールやSNSなど電子的な手段で十分」(42.7%)となった。実際に新年の挨拶の手段として「LINE」(46.7%)▷「特に行わない」(44.0%)▷「メール」(15.0%)と、形式的な挨拶文化の希薄・簡略化が目立つ形となった。

さらに追い打ちをかけるように、今年10月から郵便料金が大幅に値上げされ、年賀状は1枚63円から85円に。デジタル化とともに、効率重視の忙しい現代人の生活やコスト面を踏まえても、今後も年賀状じまいが加速していくことは明らかだろう。

山口真由「出しておけばよかった」、年賀状じまいに後悔の声も

一方、そんな時代の流れに乗っかり、年賀状じまいをしたものの、「後悔した」という声もちらほら聞かれている。

東大首席卒で元財務官僚の弁護士、山口真由氏は今月16日、「羽鳥慎一モーニングショー」に出演。年賀状じまいが加速しているという話題となった際に、

「(年賀状は)全然出してこなかったんですけど、今になって、出しておけばよかったと思うところがあって…」と後悔を吐露。「やっぱり年賀状って、どういう人間関係で生きてきたかの総括で、過去の人間関係なんです」「私はそれを全部切ったら、小中高、基本友達がいなくなっているんです」とぶちまけた。

年賀状のよさや利点に関して「年賀状だけの関係って一年に一回、何十円かで維持できる関係で、生存確認、こういう状況だよとやり取りできる」とした上で、「でも今からはできない。今から住所教えてとは言えない。続けておけばよかった」と後悔を語った。

また札幌市に住む30代の女性は、「毎年年賀状を作るのが面倒になってきて、3年ほど前に年賀状じまいをしました。学生時代にお世話になった恩師や、10年以上前にお世話になった前職の先輩後輩らとは親しくさせてもらってはいたんですけど、ここ数年は年賀状でしかコミュニケーションを取らなくなったので…。

でも、いざ『年賀状卒業します』って送ってみると、年1のコミュニケーションすらなくなってしまった寂しさを感じていますね。高校3年間お世話になった恩師は一筆添えると、年明けに返事が来るのが毎年の定番だった。でもそれももう来ない。

人と人とのつながりって、年1でも大きいんだなぁって思いました」

日本郵便の受け止めは…

 また東京都に住む40代の会社員の男性は、「時世に合わせて昨年、年賀状じまいをしました。卒業以来、毎年やり取りさせてもらっていた地元の恩師にも、その旨を伝える年賀状を送ったんですが…。

しばらく経って、地元の友人づてに『先生が、年賀状じまいのはがきが届いたこと、すごく寂しがっていたよ』と聞いて、申し訳ないことしたなと思いました」

と、率直な思いを吐露した。

ほかにも、

「年賀状じまいをしたことで喪中の連絡が途絶え、良くしてくれた友人の家族や兄弟、またその本人の生死すら分からなくなってしまって残念です」(山形県在住、80代女性)

「『もう随分会ってないし儀礼的だもんな』って思って、数年前に年賀状じまいをしたんですけど、完全に交流が途絶えました。じゃあLINEやメールで『あけおめ』ってするかっていうと、普段連絡取ってない分、気が引けてしまって。

年1だけ連絡する距離感の相手だったら年賀状の方が良かったなと思うし、遠方の方々や頻繁に連絡取ってない知人の年賀状って大事だったんだなって辞めてから気付きましたね」(神戸市在住、30代女性)

高齢者は生存確認や喪中の知らせが届かないことに対し、そして若者~中年は、お世話になった恩師や遠方の知人など、唯一の繋がりだった年賀状の挨拶が途絶えたことへの寂しさに後悔する声が比較的多く聞かれた。

時代とともに変わりゆく正月の挨拶文化を、日本郵便はどう受け止めているのか。

「年始に挨拶を交わす文化は、長い年月をかけて私たちの生活に根付いたものであり、年賀状のニーズは根強く存在すると考えております。

年賀状による年始のごあいさつという日本の伝統文化、ひいては、紙を書くよさや手紙文化をしっかり残し、継承・発展させていければと考えています。

そのため、お客さまに喜んでいただける商品のご提供などを通じて、さまざまな取り組みを行っております」(日本郵便担当者)

伝統的な手段でも、デジタルな手段でも、それぞれが気持ちよい挨拶で新年を迎えられることを願っている。

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部

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