〈大学生全裸 集団暴行死から2か月〉事件直後に「ラーメン喰いに行こうぜ!」イキった少年と元“陰キャ”の黒歴史…若者グループの異常な結束
集英社オンライン / 2024年12月25日 10時30分
〈〈大学生全裸 集団暴行死〉ユーチューバーに“首謀者”とデマを流された16歳少年の告白「友達からは“縁を切る”と言われ…」「訴えますと言ったら受けて立つって…」〉から続く
北海道江別市の公園で千歳市の大学生・長谷知哉さん(20)が集団暴行を受けて死亡した事件からまもなく2か月が経つ。事件の記憶が薄れゆく中、今月10日、札幌地検は逮捕された6人のうち、札幌市白石区のアルバイトの男・A(18)と少年(16)を札幌家裁に家裁送致。家裁は同日に、少年らに対する2週間の観護措置を決定した。凄惨な事件を取材当時の証言とともに振り返る。
〈画像多数〉17歳の年下彼氏Aと川村被告のラブラブ写真
川村被告は通話状態にしスマホ越しにカップルの会話に聞き入っていた
社会部記者が解説する。
「事件は10月26日早朝、江別市文京台南町公園で通行人が全裸で倒れている長谷さんを見つけたことで発覚。長谷さんは全身にあざがあり、意識不明の状態で病院に搬送されたがまもなく死亡。死因は外傷性ショックとされた。
北海道警察は29日までに長谷さんの交際相手の八木原亜麻(20)とその友人の川村葉音(20)、そしてアルバイトのAをはじめとする16歳から18歳までの4人の少年を逮捕した。
八木原被告と川村被告は『強盗致死』などの罪ですでに起訴され、少年2人は道警により傷害致死などの容疑ですでに送検されていたが、地検は今回、法定刑がより重い強盗致死に切り替えて家裁に送致した」
なぜ少年らがこのような凄惨な事件に加担してしまったのか。
事件の発端は長谷さんと八木原被告の交際トラブルだった。長谷さんは八木原被告の中学校時代の1年先輩で、ともに合唱部に所属。卒業後の進路は異なり、長谷さんは釧路市内の高校から公立千歳科学技術大学に進学、八木原被告は札幌市内の私立高校を経て江別市内の大学に進み、今年8月ごろから交際関係になっていた。しかし……
「事件直前の25日夜、長谷さんは、千歳市の自宅に保管していた八木原被告の衣類や私物を持ってJR大麻駅近くにある八木原被告の自宅アパートを訪れていました。道外での就職も考えていた長谷さんは『1年後に別れるつもりだから』と別れ話を切り出したそうですが、八木原被告がこれに納得できず口論に発展。
実は八木原被告から事前にこの日の『話し合い』があることを聞いていた川村被告はこのとき、通話状態にしたスマホ越しに二人の会話に聞き入っていた。
川村被告と一緒にいたひとりの少年が、長谷さんの主張に、『意味が分からん』と腹を立て、呼び出すよう促しました。それから川村被告は少年たちと現場の公園に向かったのです」(同前)
八木原被告と川村被告、どちらも友達は少なかった…
同じ釧路の出身で、中学時代に同じ進学塾に通っていたという八木原被告と川村被告。高校、大学は別だったが、それぞれが江別市内の大学に入学した後は、同じコンビニで働き、「親友」とも呼べる関係性だった。コンビニの常連客が証言する。
「2人は地元が一緒だとかで、とても仲が良く、それこそバイトじゃない日も2人でコンビニにいたことがありました。『どうしたの?』と聞くと、『遊んだ帰りです』と。八木原さんはしゃべり方が独特というか、小声でとても早口でしゃべるので何を言っているのかよくわからないことがありましたが、事件を起こすような雰囲気ではなかったのですが……」
八木原被告の中学時代のクラスメイトも、当時の印象をこう語っている。
「八木原さんは成績もあまりよくないし、運動も苦手。大人しくて地味なタイプでしたね。いじめはなかったけど、クラスでは浮いた存在で、休み時間や移動教室のときは常に1人でした。友達はいなかったと思います。けれど、合唱部の活動は真面目に一生懸命やっていたと思いますし、校則を違反するようなこともなかったので、今回事件を知ってすごく驚きました」
一方、川村被告は大学では教育学科の「初等教育コース」に在籍。小学校の教師を目指していた。
「川村さんは優等生で遅刻や欠席もほとんどなく、先生からの評価もよかったと思います。1学年は約110人でテストでは常に20位以内にいて、学年2位を取ったこともあります。基本的に真面目なので、授業も静かに一生懸命受けていたし、部活もバドミントン部で頑張っていた印象があります。ただし…」
高校の同級生だったという女性は言いよどんだ後、こう続けた。
「いじられキャラで、入学当初から陰で『カエル』と呼ばれていました。本人も気づいていたけど、あんまり気にしてない感じでメンタル強いなぁって。陰キャでクラスでのカーストも下のほうなのに、周りの陽キャやヤンキーに憧れて、イキっている感じはありました。自分を強くみせたいのか、休み時間に机の上に足を乗せたり、態度を悪くしたりするので、周りに避けられていました」
川村被告も友達は少なかったようだが、恋愛になると積極的な一面を見せることもあった。
「モテはしないけど、とりあえず彼氏がほしいって感じで、遊んでるチャラい男子とかに自分からグイグイいく肉食系でした。彼女がいる男子にも毎日告白するくらいでしたが、フラれ続けている時期もありました」(同前)
少ない友達が傷つけられ異常な結束力が発揮された?
そんな川村被告が事件時に付き合っていたのが、一緒に逮捕された当時17歳の少年、Aだった。2人をよく知る人物が語る。
「A君も川村さんたちと同じコンビニでバイトしていましたよ。もともとはA君が一番長く働いていて、その後、川村さん、続いて八木原さんが働き出したと聞いています。
川村さんとA君は彼女彼氏の関係だし、いつも一緒にいましたね。A君は『先生がウザかったから』と高校を1年で中退し、バイト先のコンビニ近くで一人暮らしをしていました。そこに川村さんが頻繁に通っていました。
川村さんは大学行きながらめっちゃ働いていたので、その稼ぎをA君との遊びの費用に充てていたようです。『今月クレカの支払いやばいわ』というのが口癖で、イキがりたい中学生みたいな空気感がありました」
この知人は3人について、「友達が少なそうな、似たような雰囲気を持っていた」と振り返った。それだけに結束力が強い――知人の目には彼らの関係がそう映っていた。
「川村さんは明るくハキハキしゃべるギャル寄りのマイルドヤンキー、八木原さんは大人しく真面目な“陰キャ”。対照的な2人でしたね。A君も暗くはないけど学校にいたら中間層に位置するタイプで、決してイケイケではないんです。
川村さんもA君もお酒やタバコはやっていましたが、薬物に手を出したり、誰かと喧嘩したとか殴ったりしたとかも聞いたことないですよ。だから今回の事件を聞いたとき、数少ない友達が傷つけられたというところで異常な結束力が発揮されちゃったのと、イキがりたいみたいな心境が合わさってしまったのかなと……」
「悪ふざけでは済まされない凶悪犯罪です」
事件に関与して逮捕された少年のうち、川村被告の「彼氏」というA以外は情報が公開されていないが、集英社オンラインの取材班は3人の身元を特定。そのうちの2人、C(18)とD(16)について、共通の知人はこう語った。
「事件前にCはインスタのDMで『ムカつくやつがいるからボコろう』『一緒にこないか?』と、仲間を集めていた。僕も声をかけられましたが、ガキっぽいし変に巻き込まれたくないので相手にしませんでした。
Cは、イキっているようにしか見えないすけど、一応ヤンキーで、18歳にもなって恐喝とか『まだそんなことしてるんかよ』って感じのことをしていました。解体の仕事をやっていて、その出張から帰ってきたばかりで今回の事件に関わったみたいです。Dも現場系のアルバイトみたいのやってましたよ」
義憤に駆られて取った間違った行動が、最悪の結末に向かってしまった今回の事件。少年たちが見ず知らずの長谷さんを殴るなか、交際相手の八木原被告は直接手を出さなかったものの、少年たちの暴行を笑ったり、煽ったりしていたという。さらに……
「女子大生コンビは途中、長谷さんに『カネ払え』などと脅迫してカード類を含めて身ぐるみ剥がした末に暗証番号を聞き出し、現金12万7000円を引き出して盗んでいる。そして現場近くのコンビニで食料品やタバコ30箱以上を購入し、途中でエラーが出て使用不能になるまで決済を繰り返していました。悪ふざけでは済まされない凶悪犯罪です。
道警が捜査で押収したスマートフォンの中には、長谷さんを集団で暴行する様子を映した動画も保存されています。検察はこれらの証拠から強盗目的の暴行だったことを十分に立証できるとみて、今回、少年2人の罪状を傷害致死から強盗致死へと切り替えて家裁送致したようです」(社会部記者)
傷害致死罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」だが、強盗致死罪は「死刑または無期懲役」。家裁が調査し、刑事処分が妥当だと判断すれば、少年らにこれらの量刑が科せられる可能性もある。
前出のAの知人は集英社オンラインの取材に、こう証言していた。
「事件の数時間後、自分の友達にA君から『今日ヒマ? ラーメン喰い行こうよ』って電話がかかってきたそうなんです。友達はその日行けないからと断ると、A君は『じゃあ11月に行こう』って言ってたみたいで……。重大な事件起こしておいてすごいなって……」
少年たちが自分たちの行ないを心から反省する日は来るのだろうか。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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