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「保険とは“損な賭け”のことである」若いビジネスパーソンに必要な保険はたった3つである理由

集英社オンライン / 2025年1月4日 10時0分

お金を運用するのに必要なのは3つの「基本」だけ…山崎元氏が後世に残した、今年こそ始めたい超簡単な投資術〉から続く

2024年の1月1日に亡くなった経済評論家の山崎元氏。彼曰く、若いビジネスパーソンに必要な保険は、自動車を運転する場合の任意保険、住宅の火災保険、お金が十分ない状態で子どもが生まれた場合に稼ぎ手に掛ける死亡保障の生命保険の3つだけだという。

【画像】「生産」には「労働」とともに「資本」が必要…図でわかる会社の仕組み

書籍『経済評論家の父から息子への手紙』より一部を抜粋・再構成し、お金と人間関係、自分への理想的な投資先についても解説する。

株式投資は「働かないで稼ぐ」ことではない

「お金にも働いてもらうといい」という言葉の意味を説明したい。

古い世代には、投資で稼ぐことを「自分が働かずに、お金でお金を得ようとすることだ」として忌避する感覚を持つ者がいる。

しかし、図1で分かるように、「生産」には「労働」とともに「資本」が必要であり、株式投資は自分のお金を資本として提供して「働かせる」ことであり、この際にリスクを負担している。決して働かずに儲けようとする行為ではない。

そして、投資の目的がリスクプレミアムの獲得であり、そのための効率的な手段が「全世界株式のインデックスファンド」を長期保有することである。

お金の問題は感情を排して理屈と計算で考える

手持ちのお金を増やすための資産運用をはじめとして、お金の問題には誤解しやすい罠や、誤った俗説が多々存在している。

誤解が存在する主な理由は、お金の問題は人間の「感情」に働きかけやすいので、本来、論理や計算で処理されるべき問題の答えを間違えやすいこと(行動経済学的理由)と、金融ビジネス業界が自ら儲けるために流している誤解や俗説の影響が方々に存在すること(ビジネス的理由)の二つだ。

他人の話を真に受けたり、ビジネスに影響された書籍や記事の影響を受けたりすると、お金の扱い方で間違いを犯しやすくなる。

一つひとつの問題に直面した時に、自分の頭を使って論理と計算で解決することが肝心だ。お金の問題は、金額で正否が評価できるので正解を確認することが比較的簡単だ。

人間関係とお金の問題を完全に切り離せ

人生の中で出会ういろいろな人たちの中には、お金の貸し借りを申し入れてきたり、生命保険などの保険、儲かるという触れ込みの投資商品、あるいは金融関係者などを紹介しようとする人がいるにちがいない。

お金の貸し借りは微妙な問題で、案件によっては常に断るのがいいとも限らないが、友人・知人が相手だと、貸しても借りても、ストレスが大きい。「基本的には、やめておけ」と言っておく。付け加えると、債務の保証人は「絶対にやめておけ」と言っておく。

また、生命保険と投資商品は、友人が紹介するようなものにろくなものはないので、一切関わらないと決めておくことが肝心だ。「悪いけれども、ポリシーとして、友情とお金は一切絡めないことにしている」という言葉を用意しておこう。

保険とは「損な賭け」のことである

働き始めたいわゆる社会人の初期に意思決定を間違いやすいものに生命保険がある。セールストークに乗せられて、あるいは保険会社に就職した友人に付き合って不要な保険を契約しがちなので注意しよう。

保険については二つの大原則を押さえておけ。

第一に、保険は「滅多に起こらないが、起こった時の損失が壊滅的な事象」に備えて「仕方がなく加入する」ものだ。

第二に、保険は保険会社が得で加入者が損をするようにできているものだ(そうでなければ保険会社が潰れる!)。

漠然と「安心するために」保険に入るのは愚かな行為だが、セールスする側はその心理につけ込もうとしてくる。感情に流されるな。

若いビジネスパーソンがどうしても必要な保険は、自動車を運転する場合の任意保険、火災保険、それにお金が十分ない状態で子どもが生まれた場合に稼ぎ手に掛ける死亡保障の生命保険(子どもが成人するまでの期間のシンプルな保険。必ず掛け捨てで、保険料の安い保険を選ぶ)くらいだ。相続の際に使う保険について考えるのは、将来でもいいだろう。

お金は、シンプルに管理して、おおらかに使う

ちなみに、父は最近癌にかかったが、健康保険に加入していれば、民間のがん保険は不要だと改めて確認した。治療に掛かった費用は健康保険を利用すると普通の貯金で十分に賄える金額だった。つまり、保険を使う必要はなかったということだ。

「事後的には」がん保険に入っていれば入院費や交通費などが保険から出て、その方が得だった可能性はあるが、癌になるかどうかが分からない意思決定段階の「事前の問題としては」、がん保険は加入者側が損で保険会社側が儲かる賭けなのだから(確率は保険会社が考えて計算してくれている)、がん保険には入らないことが正解なのだ。

この「事前」と「事後」の区別が分からない人は、おそらく保険以外にも多くの分野で「カモ」になり続けるにちがいない。

収入や支出をどの程度管理するかは個人の趣味の問題でもあるが、将来に向けて毎月必要だと思う貯蓄(実際にはインデックスファンドへの投資だ)ができていれば、細かな収支は気にしない方針をお勧めする。

稼いだお金はおおらかに使うといい。特に自分への投資を渋ると将来の自分が貧相になってしまう。自己投資の中身は、①知識、②スキル、③経験、④人間関係、⑤時間、だ。

そして、人生の途中でお金が足りないと思ったなら、節約よりも先に「もっと稼ぐ方法はないか」と考えるようであってほしい。

君の人生はその方が圧倒的に面白くなるはずだ。

図/書籍『経済評論家の父から息子への手紙』より
写真/shutterstock

経済評論家の父から息子への手紙: お金と人生と幸せについて

山崎 元
経済評論家の父から息子への手紙: お金と人生と幸せについて
2024/2/15
1,760円(税込)
192ページ
ISBN: 978-4054069756

★★★発売2週間で7万部突破、8万部達成★★★
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【山崎元 最後の書き下ろし】
●最後に遺したお金・働き方・人生の指南書
●経済とつきあう上で一生役立つ「明るい人生のマニュアル」
●これから大人になる子にも、親にも
●実際に息子へ送った手紙を収録
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◎【新しい働き方】は効率性と自由を求める
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◎時代はゆっくりと、まだら模様に変化する
◎自分の人材価値を中心に考える
◎転職を【常に】意識する
◎小さくても副業のチャンスは逃すな
◎保険とは【損な賭け】のことである
◎お金は、シンプルに管理して、おおらかに使う
◎お金の運用について必要な【基本】はこれだけ
◎【頭のいい奴】【面白い奴】【本当にいい奴】と付き合う
◎複数の「場」を意識的に持て
◎【モテ】の秘訣はただ一つ
◎上機嫌で暮らせ!

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