年収1千万円=時給5千円だが、実際に使える時間の価値はそれよりもはるかに高い! 会食で、お酒の場で…山崎元氏が若い人に伝えたい人生のティップス
集英社オンライン / 2025年1月5日 10時0分
〈「保険とは“損な賭け”のことである」若いビジネスパーソンに必要な保険はたった3つである理由〉から続く
昨年の元日に亡くなった経済評論家の山崎元氏は、若い人が時間・努力・お金を投資し、得ることができるのは、知識・スキル・経験・人間関係・時間の5つだと解説する。
【画像】山崎氏がワインよりもオススメと推す、違いを知っておきたいお酒とは
書籍『経済評論家の父から息子への手紙』を一部抜粋・再構成し、自分への投資で得ることができるリターンについて、気をつけるべき具体的なポイントとともに解説する。
自己投資で得るものは、知識・スキル・経験・人間関係・時間
かつても、これからも、人材価値向上のために自分に投資することの意義と重要性は変わらない。
自分が投資するものは、時間・努力・お金の3つだ。そして、投資で得ようとする対象は、①知識、②スキル、③経験、④人間関係、⑤時間、である。
仕事で差をつけることができる「知識」、仕事の能力向上につながる「スキル」の獲得には、継続的な努力が必要なのが普通だ。自分流の勉強の仕方(先端の論文を読む、など)や技術の吸収の仕方(先輩から学ぶ、など)を工夫せよ。
自己投資というと、すぐに社会人大学院のような教育機関に期待しようとする人が多いが、しばしば疑問に感じる。
教えている内容は「誰でも知りうる知識やノウハウ」が多いし、無駄な時間が少なくない。また、残念ながら、国内MBAの履歴書上の価値は高くない。下手をすると履歴書上で、「この人は、会社の仕事が暇で、職場に不満のあった人だろう」という程度に解釈される可能性さえある。
自己投資に多く必要なのは時間だ。例えば職住近接の住居にお金をかけて勉強や人付き合いの時間を増やすなど、「時間を買う」ことが有効な自己投資になり得る場合がある。
時間の値段を意識する。「年収1千万円は時給5千円」
自分の時間にも、相手の時間にも、経済価値があることを意識するべきだ。例えば、年間250日、1日に8時間働くとして、年収1千万円なら時給は5000円、2千万円なら1万円だ。
そして、実際に仕事に使える時間の価値は、たぶんこれよりもかなり高い。
一つの分野への自己投資の目処は「2年」
学問でも仕事でも、2年間集中的に努力すると「素人とはちがうレベル」程度に達する。この段階で、その分野が自分に向いているかどうかを判断するといい。有望なら時間と努力の投資を続けるといいし、2年やってダメなら、たぶんその分野は自分に向いていない。
「頭のいい奴」、「面白い奴」、「本当にいい奴」と付き合う
人間関係は重要な資産だ。一般に、自分を変える方法は、付き合う人間を変えるか、時間の使い方を変えるかの2通りだと言われている。
付き合うと好影響をもたらす「頭のいい奴」、センスが良くてチャンスを引っ張ってくる「面白い奴」、真に心を許せる「本当にいい奴」、と積極的に付き合おう。そのためには、自分が3種類のどれかの人間になる必要がある。
人間関係の基本は「時間厳守」と「爽やかな挨拶」
なぜ重要かは知っているはずだ。引き続き実行せよ。
勉強会は幹事を引き受ける
人脈と知識を拡げる上で「勉強会」は有力な手段だ。自分で主宰するか、幹事を引き受けよう。自分が主導する勉強会だと、テーマ、講師、スケジュール、勉強会のメンバーを自分に都合良く選ぶことができる。
また、会の連絡などを通じてメンバーとの人間関係を強く結ぶことができるし、会の世話を通じて多少の「恩」を売ることもできる。
父は遅くまでこのことに気づかなかった。勉強会には、もっぱら「呼ばれる人」で、それで満足していた。ビジネスパーソンとしてはうかつだった。今になって反省している。小さな話なのだが、息子には伝えておきたい。
会食は手抜きをするな
政治家の動静を見ると、彼らは毎日のように会食している。重要な話を進める上で会食は大切なセッティングだ。「仕事は会食や飲酒なしにできる」と言う人の多くは、たいして重要な話をしていないだけだ。
仕事でもそれ以外でも会食にあって重要なことは「手を抜くな」に尽きる。大変だと思うかもしれないが、慣れの問題だ。
場所を設定する幹事になった場合は、使用する店に必ず一度は行っておけ。ネットの情報だけで選んだ店をいきなり使うと、残念な食事や場所であるケースが多々ある。
また、重要な会食の場合、事前にメニューを知り場所に慣れておくことが大事だし、有利な材料になることがある。一度訪ねておくと店側からの印象が良くなる点も見逃せない。
食事にあっては、個々の参加者がどのくらい飲んだり食べたりしていて、どういう気分と状態にあるかを常に把握することを習慣としよう。自分の飲食ペースを調整しつつ、飲み物の追加注文や、食事の取り分けなどで、気を利かせるといい。
そこまでするか? するのだ! 大丈夫だ。慣れると自然にできる。
なお、初めて訪れた店や紹介された店が気に入った場合は、間を置かずに(1カ月以内に)再訪して、「前回が美味しかったのでまた来た」と言うと、たいていは顔と名前を覚えてくれる。向こう1年間は有効だ。
お酒は「ひとクラス上」を飲め
体質や好みで一人ひとりちがうが、体質的にお酒が飲めて、美味しいと思えて、悪い酔い方をしないなら、飲酒は楽しみとしても、対人関係の上でもプラスに働きうる。
お酒は、自分と同世代くらいの友人が飲んでいるものよりもひとクラス上のものを飲むことを意識するといい。サントリーのウイスキーだと、友人と日頃「角瓶」を飲んでいるなら、自分で飲む時には「白州」、「山崎」あたりを飲む要領だ。人間関係のクラスが上がる時への備えになる。
お酒に詳しくなるのもいい。一案として、ワインは基礎知識の範囲が広く詳しい人が多いので他人に任せて、ウイスキーに詳しくなる手がある。主な蒸留所の個性を覚えるとかなり楽しく語ることができる。ワインよりも基礎知識の範囲がひと桁小さい。
お酒は、あくまでも「美味しい」と思う範囲で飲むことが大事だ。酔うために飲むのは良くない。ヤケ酒は禁物だ。嫌なことがあった日は、むしろ飲まないくらいの心掛けで、お酒と大切に付き合うべきだ。
なお、世間は「飲酒による失敗」に対して、かつてよりも不寛容になっている。大いに気をつけよ。
写真/shutterstock
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