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〈王室スキャンダル・徹底追及〉キン肉マンには兄がいた! “王位継承権1位のアタルはなぜ王位を継ぐことなく“ソルジャーマスク”をかぶり続けたのか? 

集英社オンライン / 2025年1月3日 9時0分

〈王室・大スクープ〉キン肉マンには兄がいた! 徹底した大王教育を受け名門ハイスクールにも合格した超エリートの兄は、マッスルガム宮殿から“失踪”し“伏せられた存在”になった〉から続く

キン肉マン原作45周年、アニメ化40周年を記念した『愛と絆の原画展』が、2024年8月「池袋サンシャイン」で、同年11月には「心斎橋オーパ」で開催された。『キン肉マン』最新87巻の発売を1月4日に控えたこのタイミングで、イベント内で販売された「公式図録」より、業界イチのキン肉マン好きで知られる事件記者が執筆した“キン肉王室史、伏せられた存在―、キン肉マンには兄がいた“を公開する。(前後編の後編)

【漫画】もうひとりのソルジャー!

アタルが表に出てきた2つの理由

〈キン肉マンことキン肉スグルが誕生する数カ月前。スパルタ大王教育に反発した長男アタルは、家庭内暴力事件を起こし、マッスルガム宮殿を飛び出した。それから24年後、超人界を揺るがすキン肉星王位争奪戦が発生。失踪中だったアタルは、正体を隠しつつスグルの前に現れた〉

「あの歴史的な大戦を振り返ると、アタル殿下が表に出てきた理由は、大きく2つあったと考えられます」

そう語るのは、王位争奪サバイバル・マッチを取り仕切った宇宙超人委員会の関係者だ。

「出奔中のアタル殿下は、長らく広大な宇宙を放浪しながら、超人としての研鑽を積んでいたものと思われますが、弟のスグル王子の成長は、ずっと気にかけていたようです。実の弟が超人界の平和のため、残虐超人、悪魔超人、完璧超人たちを相手に満身創痍になりながら闘う姿を、陰から見守っていたと振り返っています。兄として一緒に闘ってやれない自分を恥じながら……」

立派に成長したスグルが新大王になる時を誰よりも強く願ってきたのが、兄のアタルだった。ところが、いざその日が訪れようとした際、邪悪の神々の策謀によって、王位争奪サバイバル・マッチが勃発。

「表に出てきた理由の1つが、次期大王の重圧から逃げ出した自責の念です。アタル殿下からすれば、この王位争奪戦は、自分のせいで起きた戦争でした。かといって、今さら自分が、王位継承が最優先される第一王子だと、名乗り出ることができたでしょうか。そんなことをすれば、王家の宿命から逃げることなく、正義超人界のために戦ってきたスグル王子の覚悟と実績を、ないがしろすることになります。

そこでアタル殿下は、運命の5王子の中で、実力的にも明らかに偽王子であるキン肉マンソルジャーを倒して、入れ替わった。表向きは王位を争うライバルですが、身近な立ち位置からスグル王子の力になろうとしたんです」(同前)

「だまらんか!スグル―」と弟を一喝

もとより、アタルには王位継承の資格がなかった可能性がある。アレキサンドリア・ミートの親族であり、キン肉族の風習に詳しいシュラスコ族の幹部は話す。

「生まれてすぐ、父親が選んだマスクを装着して生きていくキン肉族には、厳格な〝マスクの掟〟が存在します。素顔を晒した時、または与えられたマスクを失くして24時間以内に見つけられなかった時、その者は自害しなければなりません。

掟に照らせば、本来のマスクを放棄し、ソルジャーマスクに付け替えたアタル殿下は、キン肉王族の第一王子としては死んだに等しい。同時に、王位継承権も喪失したといえます。そもそも、アタル氏は王家を捨てて行方をくらましていたのですから、宇宙超人委員会や超人の神々から王位継承の承認が得られなかったでしょう」

アタルソルジャーは、王位争奪戦を通じて〝真・友情パワー〟を提唱することに重きを置いた。宇宙超人委員会の関係者が続ける。

「それがまさに、表に出てきた2つ目の理由です。先ほどお話したように、アタル殿下は陰からずっとスグル王子の活躍を見守ってきました。そのうち、馴れ合いになりつつある正義超人たちの友情に疑問を抱くようになったんです。

そこで、尖った個性や誇りを失っていないブロッケンJr.、アシュラマン、バッファローマン、ザ・ニンジャを率いて、正義・悪魔の属性を超えた〝超人血盟軍〟を結成。スグル王子をはじめ、協調や融和ばかりで自立心を奪いかねない正義超人の友情ゴッコに、喝を入れにきたというわけです。アタル殿下は、いつか弟の前に姿を見せるとすれば、スグル王子が仲間たちとの友情で乗り切れない危機が訪れた時、と心に決めていたようです」

アタルは、知性チーム戦の佳境で、脇から茶々を入れてくるキン肉マンをこう一喝。
「だまらんかー、スグル! 男というものはあまりしゃべるものではない‼ 両の眼で静かに結果だけを見ていればよいのだ‼」

兄がいる事実を知らないスグルは、アタルソルジャーにただならぬ縁を感じ取ってはいたが、両親である真弓大王と小百合王妃は、ソルジャーの言動などから、その正体が実子のアタルと確信。そして、歴史的な親子和解の場面が訪れる。

知性チームの反則的な暴挙により、実体と連動する超人預言書のページが火にくべられて、存在が消滅しかけているアタルソルジャー。涙目の真弓大王は、生中継を通してこう叫ぶ。

「キン肉マン ソルジャー! いやさキン肉アタルよ、こっちを向け―! 黙り通すつもりじゃったが、ワシはもう言うてしまうぞ。キン肉王家長兄アタルよ、ワシもママも、おまえが家を出たことは怒っておらん!」

落涙する小百合王妃の言葉があとに続く。

「怒るどころか、パパもママも、片時もおまえのことを忘れたことはなかったわよ――っ‼」

アタルは直後、家出した王家の長男であることを認め、火事場のクソ力の同種の〝業火のクソ力〟を発現。実弟のスグルに向けて、自分が知るキン肉族三大奥義の一つ「マッスル・スパーク」の50%を披露し、奥義技完成の足掛かりを作るのであった。

正義超人界の頼もしい兄貴分

王位争奪戦の生中継を見ていた王家元側近の1人は、思い出しながら感極まる。

「体が消えかかっているアタル王子のマッスル・スパークは、決定打に成り得ませんでした。逆にスーパー・フェニックス候補のマッスル・リベンジャーを食らい、敗北してしまいます。

その間際、アタル王子は『キン肉王家三つの心得』をスグル王子に伝授していましたよね。王家を捨てても、王者の精神と品格は失っていなかったのです……。最後は超人預言書の焼失ともに、弟のスグル王子の腕の中で消滅してしまうのですが、なおもアタル王子は、奇跡の灰となってスグル王子に寄り添い続けました」

迎えた王位争奪サバイバル・マッチ決勝、大将同士の一騎打ち。スグルはスーパー・フェニックスをマッスル・スパーク完全版で撃破し、王位の継承を確定させる。続けて、マスク下の素顔から放った〝フェイス・フラッシュ〟が奇跡を起こし、この戦いの死者、消滅者の多くが甦生。大団円を迎えた。

当然、アタルも再生した一人。ところが、放浪癖のある兄は、王政を弟に任せて、またもや行方をくらましてしまう。再びスグルたちの前に姿を見せるのは、悪の権化・大魔王サタンが「オメガの民」を利用して地球に攻め込んできた時である。

今や正義超人界の頼もしい兄貴分でもあるアタルは、相変わらず真ソルジャーから奪ったマスクをかぶり続けているが、

「アタル王子が本来のマスクに戻さないのは、一度王家を捨てた自分への戒めと、死んだまま復活しない真ソルジャー(ソルジャーマン)への贖罪、鎮魂の意味が込められている気がしてなりません。単に、アシンメトリーでワイルドなデザインがよっぽどお気に召しただけの可能性もありますが……」(前出・ジャスコ族幹部)

ともあれ、失踪していた長男の帰還によって、キン肉王家の壮大なお家騒動は、終わりを告げた。新大王となったスグルは、キン肉星ホルモン族族長の娘・ビビンバを王妃に迎え、次世代にヒーローの系譜を紡いでいこうとしている。もし男の子が生まれたら、名前は「万太郎」だと一部では言われている。(現役超人は敬称略)

取材・文/落花豆男
集英社オンライン編集部ニュース班

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