「発売初日は売場が殺気立つ」ディズニーグッズ転売問題に運営が新対策…しかしファンが「無意味」だと語る納得の理由
集英社オンライン / 2024年12月27日 18時0分
チケットやブランド品、限定アイテムなど、転売が後を絶たない昨今。なかには、これを生業とする“転売ヤー”と呼ばれる存在もいる。転売ヤーに狙われやすい対象として有名なのが東京ディズニーリゾートのグッズだが、2025年1月から開始されるイベントでは、新たな対策が講じられることとなった。しかし、これに対してファンの中では賛否両論が巻き起こっている。
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ディズニーファンの賛否を呼んだ販売手法
2024年12月19日、東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドが、年明けから開催される東京ディズニーシーの新イベントの概要を発表した。
イベント名は「ダッフィー&フレンズ・ワンダフルキッチン」で、パークを代表する人気キャラクター「ダッフィー」とその仲間たちが主役となる。
開催は1月15日(水)から3月31日(月)までを予定しており、この期間中、パーク内のレストラン「ミゲルズ・エルドラド・キャンティーナ」やパーク併設のホテル「ミラコスタ」のレストランでは、限定のスペシャルメニューが提供される。
また、イベント期間中には限定グッズも多数登場。カチューシャやぬいぐるみチャームなどの定番アイテムに加え、ぬいぐるみの着せ替えが楽しめるコスチュームや、ダッフィーの顔模様に焼けるパンケーキパン、さらにマフラーなど、日常使いできるアイテムも幅広く取り揃えられている。
充実したラインナップの限定グッズだが、その販売方法をめぐり、現在ディズニーファンの間で賛否が巻き起こっている。
オリエンタルランドはグッズの販売に関して、「ぬいぐるみバッジ、ぬいぐるみチャーム、ぬいぐるみコスチュームは、より多くの皆様にお買い求めいただけるよう、2025年1月15日(水)より、当面の間、東京ディズニーリゾート・アプリのみでの販売となります」「購入回数の制限をさせていただく場合があります。制限させていただく場合、取り扱いがあるショップのいずれか1店舗で、1日1回のみ購入することができます」などと詳細をアナウンス。
さらに、実店舗での個数制限に加え、一部の商品は通販限定となり、注文者および発送先が日本国内の住所に限定されるなどの措置も講じられている。
いったい、なぜこれが賛否を呼んでいるのか。その背景には、ディズニーファンの間にある“カルチャー”が影響しているようだ。ファン歴12年の男性は、次のように語る。
「ディズニーファンには、来園してグッズを買い、それを身に着けながらパークを楽しむというカルチャーがあります。ファンならずとも、友人や家族と訪れた際に、おそろいの耳付きカチューシャや帽子を着用した経験がある方は多いでしょう。
身に着ける系のグッズの中でも、今回アプリのみの販売になる3種類は、ファンの間で非常に人気の高いアイテム。ぬいぐるみバッジやチャームは、販売初日に売り切れることも珍しくありません。
でも、通販での購入となると、グッズは後日郵送されるため、パークで購入してその場で身に着けるという楽しみ方ができなくなります。
しかも、イベント・販売ともに期間限定なので、イベント中にそれらを身に着けたくても、届くころにはイベントが終了している、なんてこともあるんです」(30代男性・ディズニーファン歴12年)
グッズの販売初日は毎回現場が大混乱
今回の販売方法に対して嘆きの声が挙がる中、運営会社であるオリエンタルランドは、なぜこのような決断を下さなければならなかったのか。その背景として、ファンの間で共通認識となっているのが、昨今深刻化している“転売”問題だ。
ディズニー関連の限定グッズは、その高い希少価値とファンの多さゆえ、“転売ヤー”に狙われやすい。これに伴うトラブルはSNSでもたびたび話題となっており、2024年8月末には、約80人の組織化された外国人グループが動員され、購入のための横入りや大量買い占めを行なったとしてニュースになった。
実際にキャストや関係者に話を聞くと、販売初日におけるショップの混乱は凄まじいという。
「ショップにもよりますが、限定グッズの販売初日はブワーっと人が押し寄せて、棚がすぐ空っぽになってしまうこともあります。すし詰めで身動きが取れなくなるくらい危険な場合もあり、キャストも注意喚起しなければならず、殺気立った雰囲気になることもありますね」(元キャスト)
「以前は入場ゲートに長蛇の列ができたこともありますし、ショップでは片っ端からグッズをカゴに入れる人もいます。すごいときには、段ボール1箱分はありそうな袋がパンパンになるほど、爆買いする人もいるみたいですね」(キャスト関係者)
今回のアプリ限定販売は、開園前の場所取りや動員を伴う転売行為、そしてそれに対するファンからの不満を受け、オリエンタルランドが対策に乗り出した結果といえるだろう。
しかし、この施策に対して、一部のディズニーファンは「転売対策としてはあまり意味がない」と感じているようだ。
「限定グッズに対しては効果的かもしれませんが、全グッズを対象としているわけではありませんからね。今回も対象外のグッズは、組織化されたプロの転売業者が大量にチケットを用意し、グループを動員して初日に買い占めにくると思います」(前出・30代男性)
“顔選び”のために転売を利用するファンも
また、別のディズニーファンは、日本人による転売の実態について語ってくれた。
「大規模に組織化して行なうのは外国人が多い印象ですが、日本人でも小遣い稼ぎのために個人や友人と協力して転売するケースはよく見られます。それに、転売とは少し違うかもしれませんが、Xで『ディズニー 代行』などと検索すると、手数料数百円でグッズを購入代行している人がたくさんいます。
転売ほど高額ではありませんが、1人ずつや点数ずつ手数料を取ると、全体でお小遣い程度にはなるわけです。でも厳密に言えば、これもアウトですよね」(30代女性・ディズニーファン歴10年以上)
さらに同ファンは、転売を利用してしまう心理についても語ってくれた。その背景には、ここでも特有の“カルチャー”が影響しているという。
「ぬいぐるみやチャームには、縫い付け部分などにわずかな個体差があるんですよ。一見すると些細な違いですが、ファンにとっては『それぞれの顔が持つ個性』として捉えられています。
そのため、自分のお気に入りの顔を探し出す“顔選び”というカルチャーが存在します。だから、買い物カゴに商品をドサッと入れ、ひとつひとつ顔を選別し、選ばなかったものを商品棚に戻す人もいるんです。
こういう人たちにとっては、通販だと、どんな顔のぬいぐるみが届くかわかりません。でも、フリマサイトなら出品者が商品画像をアップしているので、それを見比べて自分の好みの顔を選べる。通販限定が転売対策にはならないと思います」(前出・30代女性)
フリマサイト大手・メルカリは、2022年3月にオリエンタルランドと「安心・安全な取引環境の構築に向けた覚書」を締結し、ディズニー関連グッズの転売対策に取り組む姿勢を表明している。
しかし、締結から約3年が経った現在でも、転売をめぐる問題は依然として続いており、根本的な解決には至っていないのが現状のようだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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