〈箱根駅伝事件簿4選〉史上最短で棄権、“山の神”になり損ねた男…第101回大会の注目は5区「箱根の歴史に残る“山の頂上決戦”になる」
集英社オンライン / 2025年1月1日 12時0分
2025年で第101回大会を迎える箱根駅伝。長い歴史の中には、数々の名勝負が生まれたが、それと同時にハプニングやアクシデントも箱根のドラマとして刻まれている。今回は、陸上長距離界に詳しいスポーツライター、佐藤俊さんに第101回大会の見どころと箱根駅伝“事件簿”トップ4を聞いた。
【画像】2025年の箱根駅伝は「山の5区の頂上決戦になる」と語る佐藤俊さん
注目は5区「“山の頂上決戦”になる予感」
2025年に第101回大会を迎える箱根駅伝。2024年の記念すべき第100回大会は王者・青山学院大の総合優勝で幕を閉じたが、101回大会はいったいどんなレース展開になるのだろうか。
「ベタなところで言うと、大学三大駅伝(出雲、全日本、箱根)のうち2つ(出雲、全日本)を制している國學院大が箱根で3冠を取るか否か、そしてそれを阻止するのはどこの大学か、というのが一つ大きなテーマになってくるんじゃないでしょうか」(佐藤さん、以下同)
ズバリ優勝校はどこなのか。佐藤さんの予想を聞いてみたところ、
「優勝を争うのは、國學院大、青山学院大、駒澤大の3強に加え、創価大の4校だと思います。創価大は、出雲駅伝と全日本駅伝、いずれも4位でした。3強には敵わなかったものの、『山の神』候補のエース・吉田響やケニア人留学生のスティーブン・ムチーニなど往路優勝に絡んでくる実力者揃いです。
飛びぬけてすごい選手がいるというより、全体的に平均値が高い選手が多い。3強に食い込んで優勝争いに絡んでくると思います」
また優勝争い以外での今大会最大の見どころは、往路で最も過酷な箱根の象徴ともいえる“山の5区”だという。
「101回大会の区間配置がまだ発表されていないですが、5区を走るだろうと言われているのが、創価大のエース・吉田響、青山学院大の若林宏樹、城西大のエース・斎藤将也、“山の名探偵”の異名を持つ早大の工藤慎作、ほかにも駒澤大が山川拓馬、國學院大が主将・平林清澄が走るとなると、各校相当ハイレベルな戦いになります。
全員が区間新だけでなく、前人未踏の68分台の記録を狙ってくる可能性もあります。箱根史上、歴史に残る“山の頂上決戦”になる予感がします」
「山の〇〇」大量発生、史上最短棄権…
“山の頂上決戦”に注目したい第101回大会だが、過去には5区で2年連続区間新を出したにもかかわらず、「山の神」になり損ねた男も…。ここからは佐藤さんの箱根“事件簿”4選を紹介する。
事件簿1:山の5区で2年連続区間新も「山の神」になり損ねた男…
「城西大の山本唯翔選手は99、100回大会と5区で2年連続区間新をたたき出すも、山の神になれなかった男です。かつて『山の神』と呼ばれた選手は3人。初代が順天堂大の今井正人、2代目が東洋大の柏原竜二、3代目が青山学院大の神野大地です。彼らはいずれも区間新を出してチームの総合優勝に貢献し、『山の神』と呼ばれるようになったわけですが、個人の実力だけみたら山本選手だって『神』に匹敵します。
ただ『山の神』の条件は区間新に加え、チームを総合優勝に導くこと。残念ながら城西大は99回が9位、100回が3位と総合優勝に手が届かず…。結果的に山本選手は『神』ではなく、『山の妖精』と呼ばれるようになりました。名付け親は城西大の櫛部監督ですが、当初はあまり気に入らない様子だった山本選手も、妖精呼びが定着したことで今は受け入れているそうです」
ちなみに、前回大会で5区を走った早大の工藤慎作は普段着用している黒縁眼鏡の姿が「アニメ『名探偵コナン』に似ている!」ことと、工藤という名前(コナンの本名は工藤新一)から『山の名探偵』と呼ばれている。
近年、神だけでなく、妖精や名探偵など『山の〇〇』が増殖中だが、101回大会は再び神降臨となるか、期待したい。
事件簿2:箱根史上、最短棄権となった第78回大会
「第78回大会(2002年)では、法政大の主将でエースだった徳本一善が2区を走行中、肉離れを起こし、わずか7.3キロで途中棄権となってしまいました。1区も含めた28キロ地点での棄権は箱根史上、最短棄権として記録されています。
徳本選手といえば、当時金髪にサングラスをかけたチャラめの風貌に、物怖じしない強気な発言で有名な選手でした。もちろん実力もあり、“法政のオレンジエクスプレス”という異名を持っていました。
その徳本選手が、肉離れを起こし、足を引きずりながら走っていましたが、最終的には監督の判断で途中棄権となりました。当時は『這ってでも行きたかった』と語っていた徳本選手でしたが、後に駿河台大の監督になった際に『学生に先を行かせるか否かの判断が監督としていかに難しいことかを思い知った』とも語っています」
ちなみに、徳本選手が箱根史上、最短棄権した第78回大会(2002年)で法政大の1区を走っていた黒田将由は、現在、青山学院大のエース・黒田朝日の父。黒田選手は昨年2区で区間賞を獲得し、今年も区間賞候補の一人だ。
驚異の20人抜き、世紀の大逆転負け
事件簿3:驚異の20人抜き。外国人留学生強すぎ問題
「第85回大会(2009年)では、日大のケニア人留学生のギタウ・ダニエルが2区で大会新記録となる20人抜きを達成し、注目を集めました。
22位でたすきを受け取ったダニエル選手は、そこから20人抜きして2位まで順位を押し上げました。2区は各校のエースが集う区間ですが、さすがに強すぎますよね…。この記録は今後も破られることはないと言われています」
事件簿4:まさかの最終10区で大逆転負け
「第97回大会(2021年)では、初の総合優勝を狙う創価大が最終10区で大ブレーキを起こし、3分19秒の差があった2位の駒澤大に大逆転負けを喫し、大きな話題を呼びました。
区間3分19秒差は、距離でいうと1キロほど離れているんですよ。監督や他の選手ですら『これは創価大の優勝間違いなし』と確信していたそうですが、創価大のアンカーが走行中に脱水症状を起こし、大ブレーキとなってしまいました。あのとき、創価大が初優勝を飾っていたら、その後の箱根の歴史を創価大が別の形で築き上げていたかもしれませんね」
と言いつつ、2025年大会は3強に食い込んで優勝争いに絡んでくると予想される創価大。4年前のリベンジとなるか注目したい。
取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【区間賞】青山学院大から最多5人 区間新が4つ誕生 ハイレベルな箱根駅伝
日テレNEWS NNN / 2025年1月3日 15時31分
-
青山学院大が大会新で連覇達成 中央学院大・黒谷優選手(新潟・五泉市出身)も区間10位の力走【箱根駅伝】
BSN新潟放送 / 2025年1月3日 14時37分
-
往路優勝は5区“山登り”で逆転の青山学院大 新潟県関係選手も力走【箱根駅伝・往路】
BSN新潟放送 / 2025年1月2日 14時12分
-
「どうなってんの今の箱根駅伝」“山の神”神野大地が2区のレベルの高さに驚がく 区間新記録が3選手
日テレNEWS NNN / 2025年1月2日 12時14分
-
《箱根駅伝》和田正人が優勝予想「勝ち方をわかっている」注目選手とダークホースを徹底解説
週刊女性PRIME / 2025年1月1日 11時0分
ランキング
-
1甲斐拓也が抜けた穴はどうなる?人的補償での新加入もあるか ソフトバンク「正捕手争い」の行方
J-CASTニュース / 2025年1月4日 18時0分
-
2バスケ観客席に大物俳優&芸人「なんでいるの?」 東京から960km離れた場所に現れ「世界線凄すぎ」X騒然
THE ANSWER / 2025年1月5日 6時13分
-
3佐々木朗希 移籍先決定は21日以降になる見通し 交渉期限は24日午前7時
スポニチアネックス / 2025年1月5日 2時32分
-
4広島・矢野、飛躍の24年からさらなる進化を期す 新春インタビューで語った3つの誓いとは
スポニチアネックス / 2025年1月3日 5時47分
-
5「みんなに感謝」日本ハムの柿木蓮が現役引退…春夏連覇の元・大阪桐蔭エース右腕 24歳の決断
日テレNEWS NNN / 2024年12月30日 15時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください