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〈大荒れ兵庫県政〉斎藤知事は百条委に“クロ認定”されれば法廷闘争か? 一方、死亡した局長らへの誹謗中傷やデマ拡散は止めず。そして新たな“疑惑”も…

集英社オンライン / 2024年12月27日 18時18分

〈クリスマス百条委員会〉「私のところに告発が来たらクシャっとしとったのに」号泣辞職した元副知事が“覚醒”して声荒らげる独演会、斎藤知事は再度パワハラ認めず〉から続く

出直し知事選で返り咲いた後も、かつてのパワハラや告発者つぶしの疑惑に加え、公職選挙法違反容疑で告発されるなど、自身を取り巻く問題が拡大し続ける兵庫県の斎藤元彦知事。大荒れの1年の兵庫県政を振り返った12月26日の記者会見では、一連の問題で自身の対応は適切だったと強調した。さらに公益通報の専門家3人の解説にも斎藤氏は納得しておらず、何らかの形で法廷闘争に持ち込まれる可能性が出てきた。

【画像】7月の会見では涙を流し辞職した片山副知事

百条委では決着つかず法廷闘争へ?

斎藤氏は前日の12月25日に県議会調査特別委員会(百条委)で証人尋問を受けた時から、新たな主張を始めた。パワハラを百条委が認定してもそのまま受け入れず、裁判の場で決着をつけるとの考えだ。

パワハラや公金不正支出などの疑惑を3月に外部に告発した当時の西播磨県民局長・Aさん(60)に懲戒処分を行なったことは、発信者探しや不利な取り扱いを禁じる公益通報者保護法に違反する疑いがあると指摘されていることについても、違法かどうかは司法が判断することだと言い始めた。

26日の会見でも斎藤氏は、「最終的にこれ、弁護士の方とも相談していく中で、ハラスメントの問題っていうのは最終的な認定っていうのはやはり司法でされるもんだろうという認識を、アドバイスもいただきましたので、その旨をお伝えさせていただいた」と発言。

百条委が出す結論を受け入れるのかを聞かれると、「どういった内容の報告書が出てくるかっていうこと次第」と答え、不服があれば受け入れないことを示唆した。

県議会関係者は、これまでの百条委の調査に関しこう話す。

「百条委は県職員に行なったアンケートで直接パワハラを経験したとの複数の回答を得ているほか、複数の幹部職員が証人として、斎藤氏から『理不尽な叱責を受けた』などと証言しています。

また、斎藤氏が『誹謗中傷性が高いため公益通報ではない』と主張してきた告発全体を見ても、事実だとみられるものや、記載内容と完全に一致しなくても関連した不適切な事例が次々明らかになっています」

百条委が招致した公益通報の専門家3人の解説から、Aさんの告発は真実相当性の有無にかかわらず公益通報に該当し、処分には問題があったとの認識も強まっている。

このため百条委の報告書は、県政運営と告発への対応の両方で斎藤氏の言動には問題があったと指摘する可能性がある。こうなれば斎藤氏は納得せず、何らかの形で法廷闘争に持ち込まれることが考えられる。

斎藤知事はA氏への誹謗中傷を放置

斎藤氏はこれまで自身の言動に非を認めない姿勢を続けている。12月26日の会見でも、告発者探しと処分は「対応については適切であったという風には考えています」と答えた。

しかし、この主張は問題だとの捉え方が広がっている。公益通報者保護法を所管する消費者庁の有識者検討会は、通報者を処分するなどの報復をした企業などに刑事罰を科す法改正を求めた報告書をまとめた。

「この動きを扱った読売新聞の社説は斎藤氏を名指ししてAさんへの処分を問題視するなど、斎藤氏の言動が法改正の動きに強く影響したとみられます」(全国紙記者)

会見では、斎藤氏の言動がこの法改正にどう影響したと思うかとの質問も出た。これに斎藤氏は「社会情勢の変化などの中で、公益通報のあり方というものは、やっぱり改正すべきところをしっかり議論していただいて改正するということになったと思います」と返答。

さらに、「我々としては、兵庫県がこれまでの対応については適切にやっていきたいという風に思ってます」と持論を繰り返した。

一方、記者会見が異例だったのは、斎藤氏に対し、告発者のAさんの尊厳を守るための行動を知事として今すぐとるよう求める声が続出したことだ。

Aさんは外部への告発を行なった直後の3月25日、通報者探しを斎藤氏から命じられた片山安孝副知事(7月に辞任)に県の公用パソコンを押収された。

このパソコンにあった私的な情報を印刷したものを、片山氏の部下で総務部長だった井ノ本知明氏が県議会関係者らに見せて回ったことがわかっている。

さらに、百条委所属の維新の増山誠県議らがこの個人情報をすべて百条委で開示するよう求め、Aさんはそうしたさなかの7月に急死した。自死とみられ、知人によるとAさんは情報が出回ることに苦しんでいたという。

さらに、11月の知事選に「斎藤氏を応援する」と言って出馬したNHK党の立花孝志党首は、この私的情報の「中身」だという話を街頭演説で公言しSNSで拡散。「疑惑はでっち上げで、斎藤知事は陥れられた」という言説もついて、SNSでは今もこうした話が広がっている。

この状況に会見では、「警察への告発やSNS事業者への削除依頼をなぜしないのか」「誹謗中傷をやめろと知事として呼びかけないのか」との声が次々とあがった。

だが斎藤氏は「弁護士からなる第三者機関で調査をしていただくということがいい」と言い続けた。

第三者委は年明け早々にも設けたいと表明しながら、並行して可能な刑事告発などの措置を取るとは言わない。

その理由を問う質問には、「今回指摘されている県保有情報についてですね、その内容の同一性であったり、あとは公益通報にあたるという指摘も一部されてますし、そういったあたりをしっかりと慎重に確認をしていくということが大事だという風に考えてます」と答えるだけだった。

A氏への脅迫について新証言

さらに「職員やご遺族、関係者への誹謗中傷はやめてと、なぜ言わないのか」と聞かれると斎藤氏はこう述べた。

「やはりSNSっていうものは誹謗中傷や人を傷つけるっていうことは、やはり適切な運用の仕方ではないという思いで、だからこそ社会全体が、これは県民のみなさんも含めてですけど、SNSっていうものをある意味正しく、メリットとしていい面もありますから、そういったところを気を付けながらSNSを使っていこうと、利用していこうということは私は大事だということはずっと申し上げてます」

誹謗中傷をやめろと言わない斎藤氏の不作為が事態を悪化させた理由のひとつではないか、とまで記者に指摘された斎藤氏は、今度は質問した記者を「●●新聞の●●さんの意見としてそういった意見があることは受け止めますけれど」と制した上で、「私としてはこの間、(告発が出た)3月以降の対応、それからこの間も含めてですね、第三者委員会を立ち上げて調査をしていくという対応も含めて、自分としては、県としても適切な対応だという風に思っています」と発言。

誹謗中傷を止める行動をとらないことも含め、何も落ち度はないと強調するのだった。

斎藤氏はなぜ私的情報漏えいの責任追及を警察に任せず、拡散を止めないのか。

この情報漏えいに絡み週刊文春は12月26日発売号で、斎藤知事の新たな疑惑を報じている。

Aさんが亡くなる前の6月29日、斎藤氏の支援者が斎藤氏にLINEで、「維新の岸口議員が、元県民局長(Aさん)と●●(原文は女性)の不倫関係を暴露してほしくなければ、元県民局長の出頭要求を取り下げろという内容の裏取引を持ちかけてきたとのことです。」とのメッセージを送ったというのだ。

支援者は週刊文春に対し、斎藤氏はLINEを受け取った後も、脅迫行為を止めなかったと証言した。

岸口議員とは百条委副委員長の岸口実県議。報道が事実なら、斎藤氏は6月から情報漏えいを把握しながら放置してきた可能性が出てくる。

会見でこれを問われた斎藤氏は「何のことかちょっとよくわからないんでコメントできません」とかわした。
だが支援者が送ったメッセージには「既読」が付いているという。

約1時間15分で県職員が打ち切った会見で出た質問は、疑惑や今後の対応を含め斎藤氏の言動を質すものばかりで、行政に関するものは1問もなかった。

阪神・淡路大震災の発生から来年1月17日に30年を迎えるのを目前に、兵庫県ではいまだ斎藤氏の問題ばかりが拡大を続けている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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