「年末年始で洗脳が解けました」退職代行の依頼が昨年比5倍以上で過去最多…利用者が明かした“ギブアップ”のワケ
集英社オンライン / 2025年1月7日 17時0分
多くの企業で仕事始めとなった1月6日、退職代行サービス『モームリ』では過去最高の依頼が寄せられた。今回の年末年始の休みは12月28日から1月5日で、“奇跡の9連休”とも言われていただけに、仕事にいくのが億劫になってしまった人が例年以上に多くいたようだ。
これまでの過去最高180件を記録した日とは…
モームリによると、1月6日の退職代行依頼数は256件。これまでの1日の最高件数は180件だっただけに、大幅な記録更新となった。その内訳は正社員 202名、パート・アルバイト24名、契約社員18名、派遣社員11名、雇用形態不明1名。
退職代行を使った理由についてはそれぞれ、
「職場で倒れ、点滴を打ったあとに働かされた」
「1番下の立場の人や仕事が出来ない人が必ず悪口の標的になり、自分が辞めるというと『他で働けなくさせるよ』と言われた」
「上司が感情的で逆上する人なので仕返しが怖く、その上司が近隣に住んでいるため」
「社内で怪我をした際に会社ではなく自宅で怪我をしたことにしろと隠蔽を指示された」
「しんどくても人前だと元気を装ってしまい相談できなかった」
などと明かされている。
退職の理由は人によって大きく違えど、この日に決めた理由はやはり、大型連休明けということが大きく関係しているだろう。モームリを運営する株式会社アルバトロスの担当者に、内情を聞いた。
「昨年の仕事始めのころと比較しますと、2024年1月4日が47件、1月5日が50件程度だったので、今年は5倍以上の依頼をいただいております。もともと年明けは平時よりもかなり多くの依頼をいただいているのですが、それでも今年は昨年と比べると比べ物にならないほどの件数となっていますね」(株式会社アルバトロス担当者、以下同)
ちなみに、これまでの1日の最高件数180件を記録したのは、昨年の7月1日。意外にも、大型連休明けといった、特別に区切りがある日ではなかった。
「こちらに関しましては、当社サービスを昨年4月頃からメディアで取り上げていただく機会がとても増えましたので、その影響で7月1日というのが1番伸びたのかなと考えております。月初だったのと、新卒の方が入社されて、退職を考える方が1番多かったタイミングだったのかなと思います」
退職代行サービスを利用した人の本音
依頼数が増えるタイミングとしては、連休明け以外のほかに、月初、ボーナスの支給後など、一つの区切りになるタイミングが多いのだという。
ちなみに今年の仕事始めは、東京で40日ぶりのまとまった雨が降るなど、天気もあまりよくなかった。こういった要因も、依頼数には関係しているのだろうか。
「天気についてはあまり気にしたことはありませんでした。ただ電車が止まりやすいときは、依頼が増えやすいときという体感はありますね」
1月6日は、SNSのトレンドワードに「仕事始め」「仕事無理」「満員電車」「遅延」「遅刻確定」などネガティブなワードがずらりと並び、憂鬱な日常のスタートをこれでもかというほどにあらわしていた。
実際に、このタイミングで退職した人はどんな人なのだろうか。昨年、年明け早々に退職代行サービスを利用して退職した、都内在住20代の男性・松木さん(仮名)に話を聞いた。
「私は新卒で入った映像制作会社で5年ほど勤務していましたが、最後には退職代行を利用しました。よく言われているような上司が怖いとかそういう理由じゃなく、逆に周りの人が優しくていい人が多かったので、面と向かってやめると言いづらかった感じです」(松木さん、以下同)
松木さんの年収は約340万円。年間休日数は110日ほどで、終電での帰宅、土日出勤することも多かったという。
「業界的には割と普通のほうだったのですが、体力的にしんどく、何度か退職の申し出をしました。しかしその都度、少し改善してくれて引き止められるので、ずるずると続いてしまいました。先輩も相談に乗ってくれるし、会社の愚痴を言いながら飲み会をするのもそこそこ楽しかった。これでいいや……とすっかりその環境に慣れていました」
ところが2023年の年末、帰省して家族や友人と話してから、一気に心変わりしたという。周りから「どう考えてもブラック」「やめるほうがいい」と指摘されたのだ。
「確かに先輩はいい年してほとんどが独身で、休日はゲームするかアニメ見るかで自宅に引きこもっている。自分が数年後、あれと同じになるのかと思うと、無性に怖くなりました。その年末年始の休みにほかの人と話して洗脳が解けたというか、もう1秒たりともあの空間に行きたくないと思い、退職代行サービスを利用することに決めました」
仲良かった先輩とも絶縁状態に
5年間勤めあげ、職場の人とそれなりの関係を築いていた中での退職代行。ためらいなどはなかったのだろうか。
「お世話になった一部の先輩になんの挨拶もしないでやめたことは少し心残りです。退職後も昔の会社の人とつながりがある人を見ると、自分も自らの口で言えば、送別会でも開いてもらって、いい感じに円満退社できたのかもと思います。
退職後は、たぶん向こうも気をつかってくれているのでしょう、仲がよかった先輩からも一切連絡が来ません。まあ、自分からも連絡していませんが。終わり際の選択一つで、5年間で培った人間関係を一瞬にして壊してしまった気分です」
それでも松木さんは、「このサービスがなければ、ずっとやめられなかったでしょうから」と、退職代行を利用したこと自体に後悔はないと話す。今は契約社員として、別の映像制作会社で自分のペースで働いているそうだ。
退職代行サービスを利用した先に、明るい未来が待ち受けていることを願うばかりだ。
取材・文/集英社オンライン編集部
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