〈ニチガク受験直前に破綻〉社長は9ヶ月で2度代わっていた…家賃6万円の家に住む就任したての中年男に近隣住民は「あの人が社長なの?」
集英社オンライン / 2025年1月7日 19時0分
東京・新宿区で大学受験予備校「ニチガク」を運営する日本学力振興会の経営が行き詰まり、自己破産を申し立てることが分かった。本番直前、ラストスパートをかけようとした受験生は、突然の閉鎖により逆境に放り込まれた。同社は昨年2回も社長が代わり、12月初めには破綻の準備を始めていたことも関係者の話から判明。高額な受講料を前払いで払った受験生にとってダメージが大きすぎるこの突然の破綻は、回避できなかったのか――。
【画像】「え、あの人が予備校の社長なの?」近隣住民も驚いたニチガク社長C氏が住む家
40年以上指導実績のある予備校が…
受験生に寝耳に水の話が伝えられたのは、三が日が明けた翌日の1月4日のことだ。
「西新宿の校舎の扉に『現在債務の支払に窮する状態で破産申立てを視野に入れ、債務を整理する予定』『私物を取りに来るように』と書かれた紙が貼られたんです。この日のうちに会社から債務整理を受任した弁護士の説明として、今月中旬までに裁判所に自己破産を申し立てる方針であることが伝えられました」(社会部記者)
7日時点でも生徒を募集しているニチガクのホームページでは、「大学受験予備校ニチガクは、『予備校銀座』と呼ばれる日本一の予備校密集地帯である西新宿で40年以上の指導実績を誇る予備校です。少人数制の利点を活かし、徹底的に生徒に寄り添い、希望の大学に合格するまで懇切丁寧な指導をいたします。」と経験を誇示。
2023年は、165人の受験生のうち93.9%の155人が第2志望までの大学に合格し、東大にも9人が合格したという実績を宣伝している。
「ニチガクには現在約130人の生徒が在籍しているようです。破綻が伝えられ週が明けた6日には生徒らが次々に私物を取りに来ました。医学部志望の高校2年生の生徒は『前払いで僕の場合は250万円ちょっとを一括で払ったんで…。まだ通い始めて一ヶ月で、許せないですね』とも話していました」(社会部記者)
別の塾に通う18歳の女子高校生は「クラスメイトがここの塾に通っていたけど、去年やめたと言ってました。講師の先生たちは一生懸命に親切に教えてくれていたみたいだけど。『とにかく高い』って聞いていました。クラスメイトは今回の件を知って『早くやめといてよかった…』って言ってますよ。でも残された人はかわいそうですね」と同じ世代の受験生を気遣っていた。
家賃40万の高級マンションに住んでいたA氏…
本番直前に説明もなく講義を受けられなくなった受験生への影響は甚大だ。
これについて同社の代理人弁護士は「一番の原因は入塾する生徒さんの減少がずっと積み重なってきてしまったってとこなんですけど、営業手法、いろいろと生徒さんを集めるのが、ちょっとなかなか、対応がついていけなかったようです。
(会社側は)この時期(の破綻)はもう絶対回避しなきゃいけないというところで、ぎりぎりまで頑張っていたようです。
生徒さんについては、他の予備校で受け入れてくれるところがあるかっていうのを(考えて)いるみたいですけど。具体的なところはちょっと未定です」と話す。
ニチガクの近所の住民も「それこそ、20年以上前はたくさんの生徒さんをお見かけしたけど、ここ最近はあまり生徒さんを見ないよね。時代についていけなくなったのかな…それでもこの時期に倒産ってあまりにもかわいそうだよ、どうにかできなかったのかね」(近隣の70代店主)と話し、塾が近年衰退してきたと振り返る。
そのニチガクに目に見える“異変”が起きたのは昨年の上半期のことだ。近隣住民が話す。
「なんか社長が最近コロコロ代わっていたっていうのは噂になってたな、前と違う経営者なんだろ?」
その言葉通り日本学力振興会では、2017年から代表取締役を務めてきたA氏が昨年4月に辞任。その後に就任したB氏はちょうど半年後の10月に辞任し、これと入れ替わりにそれまで役員欄にも名がなかったC氏が今日まで代表取締役となっている。
「会社の状態の一つの目安にもなるかと思えるのですが、都内にあるA氏の住居は家賃40万円前後の高級マンションです。しかしB氏は13万円程度のマンションで、C氏は都心にありながら月6万円の古びた集合住宅に住んでいるんですね。この頻繁な社長の交代と生活水準の違いが目を引きます」(社会部記者)
前出の通り、同社は1月7日の時点でも生徒を募るホームページを閉鎖しておらず、合格実績には「2025年01月現在」の文字もあり、最近まで運営していたことがうかがえる。
しかしそのホームページの「会社概要」には代表取締役として、昨年10月に退任したB氏の名がいまだに掲載されており、社長が代わったことは対外的に説明されていない。
さらに関係者は、同社が債務整理に向け弁護士に相談を始めたのは「去年の12月アタマごろ」だと話しており、このころにはすでに経営を続けられる状態ではなかった可能性もある。
泥酔して帰宅、携帯貸してください…
最後の経営責任者で会社を整理する決断をした形になっているC氏に事情をきこうとしたが、自宅は留守だった。
このC氏について近所の住民は「ええ! あの人が社長なの? とてもそんなふうには見えない方ですよ」と驚きを隠さない。
「40代から50代の独身男性ですが、あの人がスーツとかでいるのは見たことないですね。夜遅くに酔っぱらってドスンドスンと大きな足音で帰ってきてましたよ。朝には飲みすぎたのか『オエ~』って声も頻繁に聞こえました。
半年くらい前も、携帯を止められたとかで、酔っぱらいながら隣近所に『携帯貸してください』って頼みこんできたこともありました。同じころ、勤め先か何かでトラブルでもあったのか、男性が押し掛けてきて、そこでも携帯がどうこうと言い訳していましたね」(近隣住民)
突然の破綻は誰が、どのように決断したのか。多くの受験生の人生を左右しかねない突然の破綻は、「経営不振」の一言で済まされていいはずがない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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