〈ギャル流ルールでまじアゲ⤴会議に〉敬語禁止、全員あだ名呼び、一番好きな服で参加…『ギャル式ブレスト®』の驚くべき効果
集英社オンライン / 2025年1月18日 11時0分
NHK朝の連続テレビ小説の題材にも選出されるなど、注目を集めた“ギャル”。そんな彼らの自由でポジティブな心持ちをビジネスに取り入れようと、会社や役所の会議にギャルを送りこむサービス「ギャル式ブレスト®」が話題だ。ブレスト独自のルールの下で進められる会議とは一体どんなものなのか?実際の現場に記者が飛び込んでみた。
【画像】ギャル式ブレストを考案した元ギャルのバブリーさん、その効果とは
企業の忖度文化に変革を
昨年12月下旬。街がクリスマスムード一色に染まる中、横浜市役所の1階会議室には市職員18名と派手なファッションに身を包んだギャル6名がテーブルを囲んでいた。
行われていたのは、市の職員研修。この日は朝から「未来のワクワクする横浜」をテーマに議論が交わされることとなった。
20代の若手職員から50代の管理職までが入り混じる空間…。最初こそ緊張した面持ちの職員たちだったが、意見を出すと、ギャルから「超いいじゃん!」「ウケる!まじアゲ⤴」などのリアクションが飛び、次第に職員もノリノリに。会議室は活気に満ち溢れていた。
「『ギャル式ブレスト®』は、ギャルを交え、直感で忖度のないコミュニケーションを軸に、フラットに意見を出し合う環境を作り出すプログラムです」
そう語るのは実際に事業を展開する合同会社CGOドットコム総長のバブリー(竹野理香子)さんだ。
山梨県の公務員一家に生まれ育ち、高校まで「優等生」として生きてきたバブリーさんだが、高校入学初日に担任の先生から「東大に行きなさい」と言われたことがきっかけで、自分の人生が他人に決められているような息苦しさを覚え、16歳の時に不登校になり、家を出た。
そんな悩めるバブリーさんを救ってくれたのが、大阪で出会ったギャル仲間だった。
「他人ウケより自分ウケ! で直感で力強く生きる彼女たちの姿を見て、とても勇気づけられました。その後、私は高校をやめ、ギャルになり、ようやく自分自身を好きになることができました。
家出したときに出会ったギャルの生き様や、自分自身がギャルとして生きた経験から、『ギャルが持っている“ギャルマインド”の可能性をもっと広めて、企業の忖度文化に変革を起こしたい』との思いから、ギャル式ブレスト®の構想を思いつきました」(バブリーさん、以下同)
2022年に会社を立ち上げてから、これまで東急建設や日産自動車など80社以上から依頼を受けているという。
市役所は札幌市に続き、2件目だという横浜市。今回送り出されたギャルは、バブリーさんが渋谷ハチ公前やギャルカフェなどに通い詰めて草の根的に探し、CGOドットコムの事業やミッションに共感してもらったメンバーだという。
あだ名呼びでタメ語で話す!ギャル式ブレスト®のルール
そもそもギャルマインドとは何なのか。その定義をバブリーさんに問いかけると、
「ギャルマインドとは、他人ウケより自分ウケ!『自分はこれがしたい!』という【自分軸】、『それいいじゃん!』『かわいい!』と自分の感情を素直に表現する【直感性】、そして物事を前向きに推進していく【ポジティブ思考】の3軸で構築されていると定義しています。
まさにこの力は、停滞しがちな日本の会議場面で、今最も求められていることなのではないかと考えています」
そんなギャルマインドを取り入れるべく、会議中にはブレスト独自のルールに従う必要がある。
■ギャル式ブレスト®の5つのルール
その1:自分が持っている中で一番好きな服で参加
その2:肩書き・役職関係なし!
その3:タメ語で話す!敬語は禁止!
その4:あだ名で呼び合う
その5:リアクション多め!5分以上の沈黙は禁止
(ギャル式リアクション3選「それな~」「やってこ~」「いいじゃん」)
というものだ。
会議序盤の自己紹介で、まずは令和ギャルからそれぞれあだ名を授けられる。
ビールが大好きな男性職員は『ゴクゴクマッスル』、ラグビーが趣味な男性職員の小野さんは『小野タックル』、最近パパになって子どもと一緒にお絵かきをするのが好きな男性職員は『ワクワクさん』…といった具合だ。
ギャルマインドが求められる理由
実際に効果のほどはいかほどか…。
約3時間の会議を終え、参加者に感想を聞いた。
入庁4年目の高木恭成さん(30)は、
「ギャルって未知なので、最初は戸惑いもありました。でも自分の意見を肯定的に受け入れてもらえる安心感から、現実的ではない意見だったとしても積極的に発信できました」
と笑顔。また他の参加者からも
「距離が近くなれた」「自分がまず楽しむことが大事なんだなって思いました」「否定されないのが心地よかった」「リアクションって大事だなって気付けた」などの声があがった。
ルーズソックスやガングロなど、さまざまなファッションカルチャーを生み出した平成ギャル。そして令和となった現在、ギャルマインドが求められている理由とは一体なんなのか。
「企業の中には、成長のために積み重ねたノウハウがあるため、新しいことを検討するのに大きなバイアスとなってしまったり、今までの延長でのアイデアばかりになってしまうケースがあります。
以前知人から『昔はアイデアが先行し、技術が追いつかなかった。でも今は、技術が進歩し、アイデアが不足している』という話を聞きました。どうしたらこれまでにないようなアイデアが生まれるようになるか。それは上司部下の関係性、実現可能性を超えて、自分の『アゲ=いいね!』をシェアハピできる、そんな文化をつくることによって実現できるのではないでしょうか。そんな社会文化をギャルマインドは作っていけると確信しています」(バブリーさん、以下同)
独自のアイデアを生み出すことができる環境づくりに、ギャルマインドは一役を担っていると語るバブリーさん。今後の展望について聞いてみると、
「当初は社会のマジョリティに中指を立て続けることを正としていたプロジェクトでした。しかし、普段は関わることのないギャルと企業の方々が一緒になって、楽しそうにディスカッションする景色を幾度となく見てきて、それはまさに『共創』だなと感じました。
分断ではなく共創を、価値を否定し合うのではなく、どうしたら違いを面白がれるか。ギャル式ブレスト®を通して、世の中の違いをもっとアゲに変換していけたらいいなと思っています」
取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部
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