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セックスは好きだけど旦那とはできない…人妻風俗嬢ハルカがレスに至った原因「相性のいいお客さんとだと自分でも引いちゃうくらいに乱れちゃう」

集英社オンライン / 2025年1月17日 18時0分

「いつまで風俗で働くんだ」夫から見下されても性的なことが“好き” 結婚してもやめられない人妻風俗嬢ハルカの恋愛遍歴〉から続く

「セックスが好きで風俗の仕事は楽しいが、旦那とはできない」…なんとも倒錯した悩みに聞こえるが、人には人の事情がある。夫に嫌がられながらも、離婚もせず、風俗嬢の仕事を続けるハルカさんが風俗から抜け出せない理由とは?

【画像】旦那とはコレ無しでのセックスは考えられないという

ノンフィクション作家・小野一光氏の書籍『風俗嬢の事情』(集英社文庫)より一部を抜粋・再構成しお届けする。

旦那とレスに至った原因は?

「えっと、なんかね、私、じつは、最初から、エッチに関しては、彼と付き合ってるときから、あんまり合わなかったのね、じつは……」



言葉を区切り、そのうえ「じつは」を繰り返し使っての告白だった。私は問い返す。

「やり方が?」

「やり方が。で、それが言えなくて。で、我慢してたんだけど、で、彼は彼で私を気持ちよくさせようと、あの手この手でやったりしてたんだけど、それを私も最初は楽しんでたんだけど、やっぱりこの、違くって……」

「もうちょっと具体的に……」

「あのね、早かったんです。イクのが」

「いわゆる挿入してからが?」

「そうそう。早いからぁ、あーあって。前戯もあんまりだった」

「それってたとえばね、お店とかだと、プレイは前戯がメインだから、上手な人が現れるじゃん……」

「そう。それも知っちゃったがゆえに、だと思う。最初から、その、ダンナさんとはね~。最初の頃、イヤって言ってるんです、私。こう、エッチでの来方が、私への迫り方が、ガバッていう感じだったから。ちょ、ちょっとは焦らしてよっていうのが、なんかあるじゃん。それがなかったから。私、イヤぁ、イヤぁって言ってて、で、なんかちょっと我慢する形でやってたんだよねえ~」

「なんで我慢しちゃったんだろうね」

「言えなかったし……。そのときは、こうして欲しいとか言うと、傷つけちゃうんだろうなっていうのがあったから。黙ってて……」

「お店では『こうして欲しい』って言うんでしょ?」

「言ってるし。むしろ言ったほうがいいっていうのはわかってきたのね、だんだん。でもプライベートでは言えなかった。で、どこのどういうところがイヤなのっていうのも、説明できなくて……。そこもね、レスに至った原因の一つですね」

口調は軽いが、ハルカに先ほどまでの明るさはない。原因がはっきりわかっているから、しかもそこからの抜け出し方が見つけられないからこその、泥沼だ。

もがいたり、諦めたりしながら、2人でずぶずぶと沈んでいく姿が目に浮かぶ。だがそんな彼女に向かって、私は再度同じ質問を投げかける。

なんか、矛盾してるんだよね

「ほぼレスになったのは、同棲してどれくらい経ってから?」

「5年くらい経ってからかなあ。私がめっちゃ疲れてて、断ることが続いたじゃないですか。それで向こうが『イヤなんだろ』みたいになって、『そういうのもう一切求めないから』ってなって。で、私もなにも言えなくなっちゃって。どう説明していいのかわかんなくて、そのままにしちゃって。それから、こりゃまずいと思って、自分から迫ったりしたんだけど、あしらわれて……」

「でも、それからあとに結婚でしょ。どうしてかなあ?」

「……なんかね、私、正直ダンナと、ゴムつけないでやるというのは、抵抗があって……」

質問した内容とはズレた答えで、しかも独白だ。だからこそ、邪魔はしたくない。

「最初から?」

「最初から。で、結婚する前くらいに、たまにやったときにそのまま(ゴムをつけないで)して来たんですね。私は中で出されるのがめっちゃイヤで、『え、ちょっと待って、出さないで』って思わず言っちゃったの。でもなんか、向こうはイッちゃって……。まず最初に、イヤぁ、子供できたらどうしよう、って思っちゃった。で、結局妊娠しなかったんですけど、ますますヤリたくないって思っちゃって……」

「けど、それから結婚したんだよねえ」

「情があったんだろうね~。本当にそれだけしかないっていう」

「結婚後にエッチってした?」

「うん、しましたよ。何回か」

「中出し?」

「された。別にそのときはイヤぁって言わなかったんだけど、ちょっとあんまり嬉しくなかった。ははは。ハアーッ……みたいになって」

「子供ができてたら、どうしてたんだろうね?」

「いやー、私、その当時できたらね、堕ろしてたかもしれない。それくらいなんか、ちょっと……」

「ちょっと、なに?」

「……受け入れたくなかった。でも結婚してるんだよね。なんか、矛盾してるんだよね」

「たしかに、矛盾だよねえ」

「だから、ますますできなくなったよね。セックスに対する楽しさも知ってるし、自分が楽しめることだって知ってるから、よけいできない」

自業自得との見方もあるかもしれないが、私はそうは思わない。ただそこにある、どうしようもできない現実、との捉え方だ。もちろん傍から見れば悲劇ではあるが、それならば夫婦関係を解消するという選択肢も残されている。

決して逃げ道がないわけではない。実際、彼女に離婚を考えているかと問いかけたところ、「いまは考えてない」との答えが返ってきている。

「これでいいのだ!」

じつはハルカと夫は、性に関すること以外ではうまくいっている。彼女のSNSでは、いまも夫と楽しそうに旅行をしている姿が上げられているし、そこには2人の笑顔もある。そして彼女は口にする。

「それ以外は全然OKなんだけど」

「性のことだけ?」

「うん。なんでだろう~」

当初、私はハルカが夫との間に子供ができることを躊躇するのは、家庭を顧みなかった彼女の父親に対するトラウマなのではないかと考えていた。だが、それも違うようだ。というのも、長期間同棲していたホストの彼との間には、別の感情が存在していたのである。

「前の人とは中出しもあったのね。結婚したいだけでなく、むしろ子供ができたらと思ってたし……」

ハルカは、自分と夫との性の問題について、次のように総括する。

「最初が、ファーストインパクトが強かったのよね。ダメ、この人とは合わないって思っちゃったんだよね。ちょっと一方的な感じで、相手のことを考えてないエッチなんだよね」

そう言ってのけるのと同時に、風俗という外の世界で、性についてあらゆることを知ってしまった彼女の性欲は、いまなお、ますます亢進しているという。

「最近、お店に出るのが楽しくてしかたないの。それこそ相性のいいお客さんに出会うと、これまでにないくらい乱れてる。うわあ、私ってこんなにすごいんだって、自分でも引いちゃうくらいに……」

それなのに、彼女の見た目にはいまだに清涼感が漂っている。いわゆる、性の匂いがほとんどしないのだ。こういうことは、過去に1000人以上の風俗嬢と会ってきた私にとっても、稀有な例である。いったいなんでなんだと、理解に苦しむ。

もはや持って生まれた才能なんだろうと、思うほかない。

私は目の前の彼女に言った。「考えたら風俗歴、20年以上だよ」「そうだね。20年選手だね。ヤバイね。はっはははは。ヤバイね。でもさあ、こんだけやってて辞めないってのは、私、やっぱ好きなんだよね。本当に口ではヤダぁとか言ってながらさあ、根本は好きなんだよね」

笑顔でそう言い切るハルカを見て、昭和生まれの私の頭のなかには、赤塚不二夫が『天才バカボン』のなかで、バカボンのパパに言わせた、あのセリフしか出てこない。

「これでいいのだ!」

写真はすべてイメージです
写真/shutterstock

風俗嬢の事情 貧困、暴力、毒親、セックスレス―― 「限界」を抱えて、体を売る女性たち

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そこには、お金だけではない何かを求める思いがある。
ノンフィクションライター・小野一光が聞いた、彼女たちの事情とは。

著者が20年以上にわたる風俗取材で出会った風俗嬢たちのライフヒストリーを通して、現代社会で女性たちが抱えている「生と性」の現実を浮き彫りにするノンフィクション。

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