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「体を触られたりとかキスだとか、あんまり嫌じゃない」リクルートスーツで現れた処女風俗嬢・カオルの特殊な“事情” 

集英社オンライン / 2025年1月18日 18時0分

セックスは好きだけど旦那とはできない…人妻風俗嬢ハルカがレスに至った原因「相性のいいお客さんとだと自分でも引いちゃうくらいに乱れちゃう」〉から続く

小学生からアダルトサイトを見て育ち、高校生の頃にはほぼ毎日自慰行為に耽っていたという処女風俗嬢のカオルさん。難関国立大学を卒業し、一部上場企業に就職した彼女は今も処女のままSM風俗で働いている。

【画像】処女風俗嬢のカオルさんが勤める風俗店とは

ノンフィクション作家・小野一光氏の書籍『風俗嬢の事情』(集英社文庫)よりカオルさんの“事情”を一部抜粋・再構成しお届けする。

リクルートスーツで現れた風俗嬢カオル

その場にそぐわない服装、というのがある。じつは、彼女との初対面がそうだった。

2年前の春のこと。連載をしていたスポーツ紙で取材相手のSM嬢として、磔台の置かれたプレイルームに現れたカオルの服装は、リクルートスーツだったのである。

正確なことをいえば、その時点で彼女はすでに会社勤めをしていたので、〝リクルート〟ではないのだが、セルフレームの眼鏡に着慣れていないスーツ姿は、どう見ても就職活動中の女子大生だった。

しかも彼女は、入社して間もない会社で新入社員としての仕事を終えた足で、店に出てきたのだという。

以前、コスプレをするイメクラの取材で、OLの制服を着た女の子がいるにはいたが、それはあくまでも実生活とは異なる衣装。これほどまでにリアルな服装で現場に現れた女の子に会うことは、滅多にない。

聞けば、カオルが現在の店に入ったのは、就職前の2月とのこと。それまでにSMの経験はなく、初体験だと語る。ちなみに、ということで就職先の〝業種〟を尋ねると、彼女は躊躇なく、一部上場企業である外食チェーン会社の〝社名〟を挙げた。

ここまではっきりした物言いのときに噓はない。本当にそこで働いているのだろうと思った。続いて卒業した大学に質問が及ぶと、あっさり首都圏の難関国立大学の名が出てきた。これも恐らく真実なのだろう。

いやあ、なんだか面白い女の子に当たったようだ。その場にいる私の頰は緩んでいたに違いない。

私は彼女への取材結果を〈いかにも瑞々しい新入社員といった印象〉との書き出しで、店の紹介に続いて次のような記事にまとめた。

記事ではある事実を〝封印〟

〈「いまの店に入ったのは2月で、初めての風俗です。もともとSMに興味があり、この仕事をしている友人に誘われたのでやってみることにしました」

店でのプレイは、すぐに気持ちよくなることができたという。

「私ってクリが感じやすいんですね。舐められたりすると、もうなにも考えられなくなっちゃうんです。いっぱい濡れたところで、クリと中を同時に攻められたら、すぐにイキそうになります」

これまでにいちばん興奮したプレイについて尋ねたところ……。

「前と後ろの両方を同時に、バイブで攻められたことがあるんですけど、快感と興奮で声が抑えられなくなりました」

攻められるだけでなく、自分から攻めるのも大好きだと語る。

「ご奉仕は大好きですね。自分が一生懸命やって相手の反応がいいと、すごく嬉しくなっちゃう」

ちなみに、この仕事で初めてAF(アナルファック)を経験したそうだ。

「最初は戸惑いましたけど、慣れると気持ちよくなってきました。圧迫された感じで苦しいのが、なんかイイんです。あと、その前の浣腸も恥ずかしいけど気持ちイイです」

風俗で働く時間について、周囲には遊びに出ていると話しているらしい。

「両親と同居してるんですけど、まったく疑われてないですし、そんなに罪悪感はありません。あと、職場で店のプレイを思い出したりもするんですけど、ああ、早く店でプレイしたいなって、考えてますね」

そんな彼女、SMの仕事はいつまで続けるつもりだろうか。

「この仕事はいつまでとは考えていません。だって、プレイを楽しんでますし、辞める理由がとくにないですから」〉

取材時間はセミヌードの撮影も含めて30分あまり。あくまでも店と彼女の宣伝が目的の原稿であるため、性的な行為に積極的な印象を抱かれるような発言を並べている。とはいえ、カギカッコのなかのコメントは、すべてカオル本人の口から出たものだった。

だがじつは、この記事ではある事実を〝封印〟していた。

当時22歳のカオルは処女だったのだ。

処女と風俗嬢という要素は相反するようでいて、共存が可能である。現実には裏で容認している一部の業種もあるため、あくまでも建前の話になるが、日本では法律上、性風俗店における本番行為は禁じられている。

また、意外に感じられるかもしれないが、性器とは規定されない肛門を使うAFは、法に抵触する性交とはみなされない。そうしたことから、風俗嬢であっても処女でいることは不可能ではないのだ。

ただし、処女であることをメディアで取り上げた場合、強力な宣伝にはなるが、反響が大きくて身元がバレたり、金銭を提示しての本番強要をされたりなど、女の子の負担になることもある。そこでカオルにはそうしたリスクを説明し、店名と源氏名を明らかにするこの記事については、処女であるとの情報を入れないことにしたのだった。

高校時代がいちばん自分で自慰をしてました

難関国立大学を卒業し、一部上場企業に就職。さらには処女でSM嬢という彼女の生い立ちには、当然の如く興味が湧く。私は店に内緒で時間をかけたインタビューができないかと持ちかけた。「面白そうだし、謝礼が出るならいいですよ」という彼女とは、その場でラインの連絡先を交換し、後日の取材についての約束を取り付けた。

ちなみに、謝礼とはいっても大金ではない。こちらが提示したのは現金1万円であり、その金額であれば、わざわざ時間を取ってもらうことを考えても〝足代〟として許容される範囲内だと思う。

こうした流れでカオルとふたたび会ったのは翌々月のこと。都内某所のカラオケボックスで話を聞いた。その結果は事前に彼女の許可を得たうえで、とあるウェブサイトで〝処女風俗嬢〟へのインタビューとして紹介した。そこでは、順風満帆と思える人生を歩んできた彼女が、なぜ副業として風俗の仕事を選んだのかということを書いている。概要を記すと以下の通りだ。

一人っ子だった彼女の両親は小学生のときに離婚。いまは営業の仕事をしている母と一緒に暮らしている。離婚をしたとはいえ、両親の仲は険悪というわけではなく、これまでもおよそ3日に1度は父が家に来るという関係が続く。

受験をして中高一貫の私立女子校に進学したカオルは、自身を「腐女子だった」と振り返る。

「小学校時代からBL(ボーイズラブ)好きでしたし、そんな漫画のエッチなシーンを見ては、性的なことに興味を持ってました」

腐女子とは男性同士の恋愛を扱った漫画や小説が好きな女性のこと。自宅に一人でいることの多かった彼女は、小学校高学年で自慰を始めていた。

「小学校の頃からパソコンをやってて、家でアダルトサイトを見てたんです。現実の男の人のことはあまり考えたことなかったけど、サイト内で男性に攻められている女性の姿を自分に置きかえて、興奮してました」

中高6年間を女子校で過ごしたカオルは、腐女子の度合いをより高めたと語る。

「べつに三次元(現実の男性)でなくてもいいなって思ってました。高校時代がいちばん自分で(自慰を)してました。ネット動画とかを見て、ほぼ毎日でしたね」

やがてストレートで首都圏の国立大学に合格した彼女は、同世代の異性が近くにいる環境に身を置くことになった。だがそこで、生身の異性とどう接していいのかがわからない。

「性欲はあるんですけど、それは外に向かってじゃなくて、あくまでも自分のなかで片付けることで解消してました。ネット通販で電マ(電気マッサージャー)を買って、自分用に使ってましたし……」

そんな彼女が大学1年のとき、ひょんなことから風俗での仕事を始めてしまうのだ。それは次のような流れだった。

写真/shutterstock

風俗嬢の事情 貧困、暴力、毒親、セックスレス―― 「限界」を抱えて、体を売る女性たち

風俗嬢の事情 貧困、暴力、毒親、セックスレス―― 「限界」を抱えて、体を売る女性たち
2024年12月20日発売
792円(税込)
文庫判/280ページ
ISBN: 978-4-08-744728-6

性暴力の記憶、毒親、貧困、セックスレス――それぞれの「限界」を抱えて、体を売る女性たち

【作家・桜木紫乃氏 推薦】
彼女たちには文体がある。
限界はいつだって表現(スタート)地点だ。

過去の傷を薄めるため……。
「してくれる」相手が欲しい……。
そこには、お金だけではない何かを求める思いがある。
ノンフィクションライター・小野一光が聞いた、彼女たちの事情とは。

著者が20年以上にわたる風俗取材で出会った風俗嬢たちのライフヒストリーを通して、現代社会で女性たちが抱えている「生と性」の現実を浮き彫りにするノンフィクション。

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