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「こんな清純そうな人が風俗に?」性行為にこだわりのない風俗嬢が処女にこだわる理由…カラダを求められることで満たされる承認欲求

集英社オンライン / 2025年1月19日 18時0分

「体を触られたりとかキスだとか、あんまり嫌じゃない」リクルートスーツで現れた処女風俗嬢・カオルの特殊な“事情” 〉から続く

首都圏の一流大学に在学中に、処女のまま、ピンサロ、デリヘル、オナクラで働き、50代男性の愛人にもなったカオルさん。そもそも男性との会話が苦手という彼女が、なぜ風俗のアルバイトは続けられるのか?

【画像】カオルさんの驚きの秘密とは

書籍『風俗嬢の事情』よりカオルさんの“事情”を一部抜粋・再構成しお届けする。

生理的な嫌悪感を覚えるまでには至らなかった

「大学に入ってすぐ、塾講師のバイトをしてました。でも時間のわりに給料が合わないって思ってたんです。それでワリのいいバイトをネットで探したら、ガールズバーがあって面接に行きました。そうしたら『ガールズバーじゃなく、こっちがある』ってピンサロでの仕事を切り出されて、断りきれなくて……」

うす暗い店内にボックス席が並び、コスプレで客を迎えると、やがて全裸になって全身を触られながら、最終的には口を使って客を射精させるという仕事。彼女はそこで8か月ほど働いたという。

「もともとそこまで三次元の男の人に興味がなかったので、機械的にこなしてました。さすがに最初は口でやって、こんな感じなんだって複雑な気持ちで一晩中考えたりもしたんですけど、自分のカラダを触られるのはそこまで嫌じゃなかったし、給料が他のバイトより良かったんで続けてました」

恋愛感情を伴う生身の男性との関係にこだわりがなかったからこそ、流れ作業のように仕事をこなせたのかもしれない。その仕事は、5、6時間の勤務で1日2万円にはなった。

「与えられた仕事を忠実にこなそうとしか考えてなかったですね。店でのプレイでアソコへの〝指入れ〟があったんですけど、ほとんど痛いばかりでした。異物感、違和感しかなかった……」

だがそれでも、生理的な嫌悪感を覚えるまでには至らないため、〝作業〟に対する対価として受け入れられたのだ。ピンサロでの仕事は、間もなく大学2年という時期まで続く。

「お店のことが取り上げられたネットの掲示板では、私について『処女なんですよ』と書かれてました。それに興味を持ってやってくるお客さんもいたんですけど、私としてはウリにしているつもりはなかったですね。お客さんには全身をいろいろ触られましたけど、それで気持ちよくなるということも、ほとんどありませんでした」

ピンサロで働く時間について、同居する母親には塾講師のバイトを続けていると話していた。そんな彼女が店を辞めるきっかけは、「シフトを増やすように強要され、学校の授業と両立できないから」という、極めて単純な理由だった。

カネ目当ての仕事ではあったが、それで得た収入は、さほど高いものではないアニメキャラのグッズや洋服を購入するくらいで、余った分は貯金していたそうだ。

「一度だけ、30万円くらいかけて全身脱毛をしました。前から毛深いことがコンプレックスだったんで……」

「まるっきり承認欲求なんでしょうね」

ピンサロを辞めた彼女が次のバイトとして選択したのは、またもや風俗の仕事だった。「ふつうのバイトは時給が安くて働く気にはなれなくて……。それでデリヘルの面接を受けたんですけど、仕事内容を聞くと、〝素股〟が入るだけでピンサロと変わらない。それならやれると思って働くことにしました」

〝素股〟とは、本番行為の体位になり、ローションをつけた手で男性器を握って射精させるプレイである。ただし、デリヘルの仕事というのは、従業員が監視をしているピンサロとは違い、客の男性と密室で2人きりになってしまう。そこでは、客からの本番強要が頻繁にあると聞いている。

「そういうときは『ダメです』って断ってました。何度も言ってくる人には『本当にダメなんですよ』って、強い口調で返してました」

ある意味、性行為にこだわりのないカオルが、なぜ処女ということにこだわったのか。その質問に彼女は即答した。

「こんなとこで処女を捨てるのはヤバイと思ってました。好きな人が……できるかどうかわかんないけど、とりあえず今ではないって。やっぱ、入れたくないんですよね……」

さらにカオルは付け加える。

「私ってそういう場所(風俗)に慣れてない感じがウリになってるじゃないですか。清純派というか……。そのイメージが、1回でも(セックスを)やると、剝がれそうだし……。余分におカネ出すからって人もいましたけど、おカネでは揺るがなかったですね。私のなかでは処女が大切なものっていう認識があるのかな?なんかおカネで売るというのも値段をつけるみたいで抵抗があったんです」

だが、そんな言葉の反面、「10万って言われたら悩むなあ……でも、自分が納得する人のときに、とっておいたほうがいいかな」と揺れ動く心境も見せた。

彼女はそのデリヘルを1年で辞めた。理由は50代後半の客に、専属の愛人にならないかと誘われたからだ。

「1回3万円くらいで会うようになりました。最初の約束で本番はなかったんですけど、やっぱり途中から求められるようになってきましたね。もちろん拒んでました。そうしたら、2か月くらいして、『妻にバレた』と連絡が来て終わりました」

そろそろ大学3年という時期に、カオルは性病になることが怖くなり、風俗からは一旦距離を置く。その際にガールズバーで働くことにしたのだが、やはり男性との会話が苦手で、3か月と持たなかった。

学校でも数回、合コンに誘われる機会はあったが、「私自身、男の人と一緒に過ごして、そんなに楽しいとは思えなかった」と、異性とうまく付き合えないことを明かしている。そしてカオルは自嘲気味に呟く。

「気持ち的に、男の人に恋愛感情を抱くのは難しいかなって思います」

だがその反面、男性との〝カラダ〟の接触については、それほど抵抗がない。

「体を触られたりとかキスだとか、あんまり嫌じゃないんです。人に尽くすのが好きというか、相手が興奮してくれるんなら、私にも存在意義がある、みたいな……。それって、まるっきり承認欲求なんでしょうね」

「……いま、女の子と付き合ってるんですよ」

まずは金銭的な動機で風俗の仕事を始め、そこでの行為にそれほど抵抗がないことに気づく。そのため無感覚で続けているうちに、徐々に「自分が必要とされている」との、承認欲求を満たす感情が侵食してきたのだろう。

大学3年の半ばからは、教員資格を取るための教育実習を受け、続いて就職活動に忙殺されて風俗の仕事を控えていたカオルは、就職が決まった大学4年の夏からオナクラで働くようになる。そこは個室内での〝手コキ〟によって、男性を射精に導く風俗店である。やはり彼女が〝気楽な仕事〟として選ぶのは風俗業だった。

そして大学卒業の直前である2月から、「SMに興味があって、いじめられるとどういう感じかなって思ったんです」と、処女でSMクラブでの仕事に至ったというのが、私がそれまでに表に出していた内容である。

だが、ここでも彼女について伏せている事柄があった。この件での取材が終わり、雑談になったところで、「なんか私、男の人に興奮しないんですよね」と口にした彼女が、言いにくそうにあることを切り出したのだ。

「……いま、女の子と付き合ってるんですよ」

予想もしない発言に驚いて相槌だけを打つと、カオルは続けた。

「だから、もとからそんなに、男の人に対して性的に興奮したりしないのかもしれないですね」

写真/shutterstock

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ノンフィクションライター・小野一光が聞いた、彼女たちの事情とは。

著者が20年以上にわたる風俗取材で出会った風俗嬢たちのライフヒストリーを通して、現代社会で女性たちが抱えている「生と性」の現実を浮き彫りにするノンフィクション。

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