〈成人の日・4割超が外国人の自治体も〉サングラスに鼻ピアス…個性的な着こなしで式典参加「日本に来た理由は漫画・アニメ」かと思いきや…
集英社オンライン / 2025年1月13日 17時40分
「成人の日」の1月13日、新たに20歳になる約42%が外国籍である東京都豊島区では、外国人の式典出席者を対象に、振袖の貸し出しと無料で着付けをする取り組みが行われた。国内で在留外国人の人口が増加する中、こうした成人式の光景は珍しいものではなくなってきている。
【画像】北九州よりも多彩で派手!? 鼻ピ、口ピ、サングラスに独自の振袖の着こなしも…池袋に集まった外国籍の新20歳
「フランスの服と全然違ってかっこいい!」
日本に在留する外国人の人口が増え続けている中、もはや振袖を着て「成人式」に出席するのは日本人だけではない。
20歳のうち、東京都新宿区は45%、東京都豊島区は42%が外国籍の人だ。
新宿区は都内屈指のコリアンタウン・新大久保などを有していることから、韓国人や中国人が多く、「はたちのつどい」の会場となった京王プラザホテルでは、受付の張り紙なども英語や韓国語、中国語など多言語で案内表示がされていた。
さらに豊島区では対象となる外国人1387人のうち、中国(739人)▷ベトナム(194人)▷ネパール(161人)▷ミャンマー(71人)▷韓国(43人)▷ウズベキスタン(42人)▷その他、となっており、国籍は多岐に渡る。
そのため昨年度から会場横の「としま区民センター」で、外国籍の新20歳向けに無料で振袖や袴を貸し出して着付けまで行うサービスを実施。今年は30人が出席した。
実際に着てみた感想を伺ってみると…。
「フランスの服と全然違うね!めっちゃかっこいいよ」
そう照れ臭そうに話すのは、紋付袴姿がさまになるフランス人のウル・ルナールさん。
着付け会場の横では対象者の好きな字を習字で書くサービスも実施しており、ルナールさんは「夢」という字を注文。
「今は学習院大に留学中なんです。まだまだ日本語はおぼつかないけど、卒論を書き上げて無事卒業できたら、今度は日本で仕事がしたい」と夢を語った。
一方、こちらも学習院大に所属する留学生。台湾人の呉令晴(ゴ・レイセイ)さんと、香港人の黄雨心(コウ・ウーシン)さんだ。
「『ピンク色が似あうんじゃない』ってスタッフの人に言われて着てみました。すごくかわいいし、式典の出席も今からワクワク!来月には台湾に帰国しちゃうんだけど、将来は日本商社とか航空会社とか、一生懸命勉強した日本語を活かせる仕事に就きたいです!」と満面の笑顔で語ってくれた。
友人のウーシンさんはというと、
「振袖綺麗だけど、呼吸するの大変‼苦しい‼」とおどけた様子。
帰国は今年の9月だというが、
「香港は雪が降らないから、日本にいるうちに雪を見てみたい!だから来月北海道に行く‼」と嬉しそうに話した。
なぜ日本へ?「アニメ」「漫画」ではない意外な理由
お次はペルー人のチュキラチ・ミルスカさん。立教大に所属する留学生だ。
「お兄ちゃんが山形大に留学した経験があって、ペルーに戻ってきてからも『日本は楽しかった~』ってずっと自慢されて、それが羨ましかったんです。もともと、私自身も『ハイキュー‼』とか『ワンピース』とか日本のアニメや漫画が大好きだったし、日本語にも興味があったので留学を決めました」
しかし、留学した2021年はコロナ禍の真っただ中で、ほとんど自宅でのオンライン授業だったというミルスカさん。
「あのときからは想像できないぐらい今は日本をエンジョイしてます! ペルーと違って夜道も安全だし、かつ丼とかカレーとか日本の食べ物美味しすぎだよっ‼
今は都内にあるペルー料理のレストランで働いているんですけど、日本に長くいたいから、もっともっと日本語上手くなって語学の先生か翻訳家かレストラン経営とかの仕事に就きたい‼」とバイタリティ溢れる様子で今後の目標に向かって熱く語ってくれた。
日本の漫画やアニメを理由に日本への留学を決めた外国人が多い中、こんな理由も…。
派手な色の振袖がよく似合うこちらの2人。いずれもスリランカ人のアタパットさんと、ネトミさん。日本に留学に来た理由を聞いてみると、
「小さい頃から日本のテレビドラマ『おしん』が大好きで日本への留学を決めました。スリランカ語に略されてテレビ放映もされてるぐらい、母国では結構人気のドラマなんですよ」(アタパットさん)
日本に来て驚いたことを聞いてみると、
「スリランカは暑いから日本みたいに雪が降らない!でも日本はゴキブリが多すぎるよ!スリランカより涼しいのに、なんでなの⁉」
そして紋付袴姿をクールに着こなす、こちらの男性は韓国人のイ・ドンフンさんだ。
「中学のときに留学したオーストラリアで、同じく留学に来ていた日本人とすごく仲よくなったんです。そこから日本にはいいイメージがあって、友人が育った日本という国を見てみたくなったんです」
鼻ピ、口ピ、サングラス…独自の振袖の着こなしも
外に出てみると、日本人に混じって振袖を自己流に着こなすお洒落な外国人の姿が…。
振袖にサングラスを着用するアメリカ人の女性に、鼻ピアスや口元にピアスを付けるポーランド人や中国人の姿も…。
ポーランド人のマリア・ジュラゾスカさんは、現在立教大に所属する留学生だ。
「初めて振袖きたけどさ、自分がお嬢さんになったみたい! 私、赤がすごく似合うでしょ」
現在、来日して5か月目だといい、日本に来てやってみたいことを聞いてみると、
「日本は物価が高くないから食べ物たくさん食べたい!寿司、丼ぶり、カレー、もんじゃ…もうメニーメニー食べる!」と大はしゃぎの様子。
少子化の進む日本では、今後も在留外国人は増え続けることが予想される。20歳になる過半数が外国籍という自治体も出てくるだろう。さまざまな国から日本が好きで来日した新20歳は、大きなトラブルもなく日本特有の「成人式(20歳の集い)」文化を楽しんでいた。
取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部 撮影/村上庄吾
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