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「日本は恵まれてますよ…」米メタ社が“成績下位5%”のリストラに踏み切る…社員の成績をどう見極めるのか?

集英社オンライン / 2025年1月17日 7時0分

フェイスブックやインスタグラムなどのSNSの運営を主要業務としている米IT大手のメタ社が成績不振の下位約5%の従業員を削減し、新たに新規採用をはじめることを明らかにした。

【画像】トランプ大統領の就任式にも出席する大規模リストラを続けるCEO

メタ社が大規模リストラに踏み切った理由

マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は同社の社員宛ての文書で「成績評価の基準引き上げ」と「成績不振の社員の人員削減」を通知した。

メタ社は、新型コロナウイルスの影響でオンライン活動が世界的に拡大した2020年と2021年に合わせて2万7000人もの従業員を新たに雇用、2022年にも1万7000人以上を雇用し、9月末時点で、従業員数は約8万7000人だった。



しかし同年11月には急転直下、採用凍結と創業以来初となる大規模リストラを実施。マーク・ザッカーバーグCEOが社員に対して謝罪のメッセージを発表しながら、全従業員の約13%に当たる1万1000人超の人員削減を行なっていた。さらに2023年にも「効率化の年」と銘打って追加で約1万人を解雇している。

2024年9月末時点で、メタ社の従業員数は約7万2000人。5%の従業員削減となれば、およそ3600人がリストラされる計算になる。

同社が今年も人員削減を続ける理由は何なのか。城西大学助教で情報社会学を専門とする塚越健司氏に話を聞いた。

「大きな理由は2つあります。まずは前提として、2020年のコロナ禍で需要が急激に伸びた後、需要が落ち着いたために人手が余ったことなどで、2022年〜2023年にかけて解雇がありました。2つ目は、2022年末にChatGPTが登場して以来、生成AI開発・投資に費用を捻出するため、リストラが行なわれたことです。その他、インフレや金利上昇によって調達コストが増加し、経営を圧迫したといった点もあるでしょう」(塚越健司氏、以下同)

実際にメタ社は、今回リストラする社員の代わりとして、AI分野が得意な人材を入れると明かしている。非常に効率的ではあるが、アメリカらしさ全開ともいえるこの改革は、日本からは否定的な声もあがっている。

〈こんなことしてたら、そのうち誰もいなくなるよ〉
〈アメリカ企業、ドライすぎて修羅すねえ…〉
〈世の中競争とはいえこれは厳しいな。社内間で個人主義が更に加速しそう〉
〈こういうのを見ると日本は恵まれてるって思う反面だから海外に負けるんだって思いますね。複雑です〉

まさに“転職大国アメリカ”と“終身雇用ニッポン”といった感じだが、ではいったい、メタ社を退職することになってしまった社員たちはその後、どういった企業に転職することになるのだろうか。

どのように“下位5%”を判断するのか

「具体的なデータはありませんが、“元メタ社員”という肩書が有利なのは間違いありません。競合他社(AppleやAmazon、Google、Microsoft)などの他、AIやフィンテックなど、労働者の得意分野に合った企業が選ばれるでしょう。

転職による給料の増減に関しては人それぞれですが、メタ社は相対的に給料が高い企業なので、転職となると下がるケースが多いと考えられます。ただし、将来性のあるスタートアップに転職する場合、給料は下がるが、ストックオプションなどが与えられるケースもあるはずです。

いずれにせよ、日本以上に転職が習慣化しているので、転職が極めて難しいということはないのですが、成績不良で解雇されたことが、再就職に悪影響をもたらす可能性はありそうです」

“元メタ社員”であるが、成績不良で解雇された人材と聞くと、確かになんとも言えない評価になりそうだ。ただ、そもそもこの“成績”をどのように算出しているのだろうか。数字がはっきりしている営業職ならまだしも、メタ社のようにエンジニアが多い職場で、どのように優劣をつけるのか、難しい気もするが……。

「多くのIT企業や外資系企業では、会社内で数値目標や、社員の評価システムを設けています。企業ごとに異なりますが、数値が達成されなかったり、プロジェクトが達成できない、あるいは協調性の欠如など、さまざまな評価方法があり、低評価の場合は解雇になることがあるのです。

また成績が低迷した社員には『パフォーマンス改善システム:Performance Improvement Plan(PIP)』を示して、期間内に改善ができなければ解雇になることもあります」

ちなみにAmazonでは2021年、「後悔のない離職(unregretted attrition)」という名前で、成績下位6%の人員削減を目標としていると報道された(Amazonは否定)。

現在も存続しているかは不明だが、こうした動きが何らかの形で継続している可能性もあるだろう。

アメリカではトランプ氏の大統領就任を前に、多くの企業が「DEI(多様性、公平性、包摂性)」の実現に向けた取り組みを見直す動きを行なっている。メタ社もその一つで、多様性に配慮した採用活動を廃止する方向であるとアメリカ国内で報じられている。

今回のメタ社の取り組みは、アメリカが改めて「超競争社会」となる前触れなのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部 写真/shutterstock

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