〈大阪万博〉目玉パビリオン不在、チケットは売れず工事遅延…”失敗確定”ともいわれる大阪万博の現在地…“救世主”となり得るのは「あの勢力」?
集英社オンライン / 2025年1月19日 11時0分
ガス爆発、工事の遅れ、赤字の懸念……。4月13日の開幕まですでに90日をきった大阪万博だが、現状、明るいニュースはほとんど聞こえてこない。一部では「失敗確定」との心ない声もあがっているが、はたして…
開催までにパビリオンの工事が終わらない!?
大阪・関西万博(以下、大阪万博)の開幕まで残り3か月を切ったが、心踊るニュースがほとんど伝わってこない。
4月に開催されるというのに、前売りチケットの販売は目標の半分程度にとどまり、伸び悩んでいる。
万博といえば、1970年大阪万博のソ連館のような独創的な「パビリオン」でおなじみだ。
しかし、資材高騰や人手不足、納期の短さなどの理由から、1月●日現在で完成しているのは47か国中3か国にとどまっている。10か国近くは開幕までに間に合わない見込みだ。
参加国のパビリオンは独自デザインして自前で建てる「タイプA」、日本博覧会協会が建てた建物を単独で借りる「タイプB」、複数国で共有する「タイプC」に分かれている。
しかし、「タイプA」から「タイプC」への変更(グレードダウン)が相次いだ。
また、タイプAの建設準備が遅れた国のために、協会が組み立て式の建物(プレハブ)を建て、あとで費用を負担する「タイプX」も用意されたが、それでも参加を辞退する国が後を絶たない。
さらに、目玉のひとつとされた「空飛ぶクルマ」は商用運航を見送り、会場周辺でのデモ飛行のみとなった。
その挙句に、アンバサダーに就任したお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志は表舞台への復帰時期が不透明だ。
不安要素を挙げればキリがないが、いざ始まれば日本人はなんだかんだで楽しむのが常だ。2005年の愛知万博(愛・地球博)でも「飲食物の持ち込み禁止」が批判を浴びたが、緩和した結果、一定の成功を収めた。
今は課題が山積みだが、きっと始まれば大阪万博も楽しいはず……。
そこで、大阪万博の期待できるポイントを紹介していこう。
「火星の石」よりも楽しめそうなのは?
まず、「購入方法が複雑」と参加国から批判されたチケットだが、早めに購入すれば非常にお得だ。
通常チケット(大人)は7500円だが、早割で販売されている1回券は4000~6000円 となっている。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの1デイ・スタジオ・パス(8600~1万900円)と比較すると、通常料金でも十分にコストパフォーマンスはいい。
「1970年の大阪万博では、『月の石』を展示したアメリカ館や、宇宙船『ソユーズ』を展示したソ連館に長蛇の列ができました。
2025年の大阪万博はチケットが予定枚数の半分しか売れていないようなので、『フリーパス』状態で各国のパビリオンを回れるかもしれません。
また、かつては滞在時間の都合上、アメリカかソ連のどちらかを選ぶ必要がありましたが、今回はソ連を継承したロシアが不参加のため、アメリカ館を存分に楽しめるでしょう」(大阪在住ライター)
そんなアメリカ館では、2面のLEDスクリーンを使い、同国の名所を映し出す展示が予定されている。
公開されている資料やホームページで紹介されている映像を見ると、ラスベガスの球体型複合アリーナ「スフィア」のような高解像度映像の体験ができるはずだ。
目玉展示といえば、2005年の愛知万博では「自然の叡智(えいち)」をテーマに掲げ、シベリアの永久凍土から出土した冷凍マンモスが大きな注目を集めた。
2025年の大阪万博では、日本の観測隊が南極で採取した火星由来の隕石「火星の石」が目玉とされている。
「今回の万博には世界各国からミャクミャクの『お友達』が集まります」(月刊誌編集者)
黄緑色の触手が伸びたイカのような体に、複数の目があちこちを向いているチェコの「レネー」、丸いフォルムが特徴的なドイツの「サーキュラー」、地方自治体のキャラクターのようなタッチが印象的なシンガポールの「マーリー」など、キャラクター好きの日本人に向けて、各国がオリジナルのゆるキャラを用意している。
「レネーはガラス製という設定ですが、『子どもたちが一緒に遊べるように布製のぬいぐるみを準備する』と報じられています。
また、ドイツ館では毎日手のひらサイズのサーキュラーが配布される予定です。これは、もはや世界を巻き込んだゆるキャラ祭りといえるでしょう。
お土産用ぬいぐるみも販売されるはずなので、何体も買って帰りたくなること間違いありません」(同)
やる気がある国にはゆるキャラがいる!
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする大阪万博では、ゆるキャラへの期待感を抱く人は少数派かもしれない。
しかし、スイスは『アルプスの少女ハイジ』で自国の魅力を紹介するなど、各国がキャラクターを活用した意欲的な取り組みを見せている。
特にバチカンのローマ教皇庁公式キャラクター「ルーチェ」は発表後、海外のSNSで大きな反響を呼び、ネットミームとしても注目を集めた。
これはカトリック信者に特別な許しを与える「聖年(今年12月24日~2026年1月6日)」の公式マスコットで、巡礼者の少女をモチーフとしたアニメ風のキャラクターだ。
巡礼者の必需品であるレインコートや杖を身につけ、ブーツは長旅で汚れているという設定になっている。
「バチカンはイタリア館内に専用のイベント・スペースを設け、バロック期の巨匠カラヴァッジョの絵画『キリストの埋葬』を展示します。それだけでも十分な集客力が期待されますが、ルーチェの存在感はさらに大きいはずです。
すでに記者会見でフィギュアが公開されていますが、商品化されれば転売目的の爆買いが予想されます。大阪万博限定の商品であるため、プレミア化するのは間違いないでしょう」(月刊誌編集者)
さらに、イタリアは、国旗柄の着物を身にまとった少女「イタリアちゃん」というキャラクターを発表しただけでなく、展示物にも力を入れている。
中でも注目されるのは、2世紀に作られた高さ2メートル、重さ2トンの大理石の彫刻像「ファルネーゼアトラス」の日本初展示だ。
建築面でも「ルネッサンスの理想都市」を近代的に再解釈したタイプAのパビリオンが見どころであり、期間中には「芸術は命を再生する」をテーマに、オペラやオーケストラの公演、さらにファッションショーが予定されている。
「関連性は定かではありませんが、2025年1月時点でキャラクターを発表している国(インドネシア、オーストラリア、タイ、モナコ、ドイツ、ベルギー、イタリア・バチカン市国、シンガポール、アメリカ、イギリス、チェコ)はすべてタイプAです。
クウェートもキャラクターを構想中とされ、この流れに乗りやすそうな中国や韓国はまだ発表がありませんが、いずれ登場する可能性が高いでしょう。
もしかしたら、建物に金をかけられるだけではなく、キャラクターも作ることができる国のパビリオンは、展示物にも期待できるかもしれませんね」(前出・大阪在住ライター)
1970年の大阪万博でアメリカ館に展示された月の石を、再び展示する構想が報じられるほど、目玉に欠けるとされる大阪万博。
そんなことをせずとも、完全にキャラクターに振り切り、「ゆるキャラ万博」と開き直るほうが、世間の印象をよりよくするのではないだろうか。
取材・文/千駄木雄大
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