東京ディズニーシー限定グッズ販売初日の「転売対策」、正しかったファンの指摘…運営の対策虚しく、パーク内にもはびこる転売ヤーたち
集英社オンライン / 2025年1月19日 13時0分
1月15日から始まった東京ディズニーシーの新イベント「ダッフィー&フレンズ・ワンダフルキッチン」。同イベントは昨年12月19日に概要が発表され、関連する限定グッズも多数発売されることになったが、一部の人気商品は「通販限定」となった。この対応を転売対策だと指摘するファンも多いが、一部では「無意味だ」という声も……。そこで、イベント初日の東京ディズニーシーに向かい、実際の状況を調査してみた。
【画像】イベント当日、園内で即座に撮影した形跡もみられる、大量転売された新イベントグッズ
「転売対策というよりショップの混乱対策」 現場の実態は……?
今回のイベントでは、東京ディズニーシーを代表する人気キャラクター「ダッフィー」とその仲間たちが大々的にフィーチャーされている。
一部のレストランではスペシャルメニューが提供され、ショップでは期間限定の新グッズも販売されるなど、ファンにとってたまらない内容だ。
しかし、グッズ販売に関しては、運営元のオリエンタルランドが“制限”を設けることを事前に発表。
公式サイトでは、「ぬいぐるみバッジ、ぬいぐるみチャーム、ぬいぐるみコスチュームは、より多くの皆様にお買い求めいただけるよう、2025年1月15日(水)より、当面の間、東京ディズニーリゾート・アプリのみでの販売となります」と説明している。
また、「購入回数の制限をさせていただく場合があります。制限させていただく場合、取り扱いがあるショップのいずれか1店舗で、1日1回のみ購入することができます」と具体的なルールも明記されている。
この動きに対し、一部では「転売対策なのでは?」という声があがっていた。
東京ディズニーリゾートの限定グッズは、コロナ禍以降、需要が急増し、転売市場での価格が高騰。販売初日には転売ヤーが大量にパークに押し寄せ、ショップがすし詰め状態になり、現場が混乱することもしばしばだった。
こうした事態については、昨年12月27日に集英社オンラインが配信した記事『「発売初日は売場が殺気立つ」ディズニーグッズ転売問題に運営が新対策…しかしファンが「無意味」だと語る納得の理由』でも取り上げた。
記事では、ディズニーファンは「転売対策としては不十分」「どちらかというとショップの混乱対策ではないか」といった指摘があることを報じている。
果たして、ファンによる見立ては当たっていたのか。取材班は、イベント初日を迎えた東京ディズニーシーを訪問し、その実態を調査した。
クリスマスイブよりにぎわうも、ファンにとっては「比較的穏やか」
取材班は昨年のクリスマスイブにも来園して実地調査を行なったが、この日はそのときを大きく上回る客入りだった。
チケット価格がクリスマスイブより2500円安い8400円であることが影響しているのか、それとも新イベントを目当てに多くのファンが駆けつけたためなのか理由は定かではないが、平日とは思えないほどのにぎわいを見せていた。
このにぎわいを象徴するかのように、入園ゲート近くのショップ「ガッレリーア・ディズニー」では整列用のロープが張られ、グッズを求める人々が集まっていた。
人だかりというほどではないものの、明らかに活気づいている様子。来園者はこう話していた。
「今日から始まる新グッズの販売目当てで来ました。個数や入店に関していろいろと制限があって、新グッズの購入にはアプリでの予約が必須になっています。私も入園してすぐにアプリで入店予約をして、時間になったので来ました」(女性)
ショップに入ると、前回の実地調査で訪れた際には自由に入れた販売エリアの一部がロープで仕切られ、入れなくなっていることに気づいた。
ロープ前には監視役と思しきキャストも立っている。奥をのぞくと、今日から販売が始まった新グッズが多数並んでいた。
「新グッズはほかのショップでも販売されていますが、ここは今回の新グッズだけの専用売り場なんですよ。すでに今日分の入店予約が埋まってしまった場所もあるようです」(同前)とのことで、その盛況ぶりがうかがえた。
しかし、当初予想されたような混乱はほとんど見られなかった。
話を聞いた女性は、新グッズの発売日には必ず訪れるという常連だそうだが、この日の様子について「普段は、商品をゴソッとカゴに入れて、その場で選別したり、大量に入れたままレジに行ったりする人がいるのですが、今回はそうした“ゴソッと買われるもの”がオンライン限定なので、比較的穏やかですね」と語ってくれた。
転売対策は大成功、と思いきや……
購入制限などの発表時にはファンから賛否の声が上がったものの、“転売対策”としてはうまくいったのではないだろうか。しかし、ここでフリマサイト「メルカリ」を見てみると、悲しい現実が浮かび上がってきた。
なんと、この日から販売開始された限定グッズが、午前中の時点で大量に出品されていたのだ。
なかには、背景がパーク内と思われる画像を使った販売ページも見受けられ、購入後すぐに撮影・出品したことは明らかだ。
商品の最終更新日時には「数秒前」「2分前」などと表示されているものも多く、次々と出品されている様子がうかがえる。
さらに、価格は定価を大きく上回るものがほとんどで、今回の件を運営側が転売対策としているのであれば、残念ながらあまり効果がなかった印象だ。
2022年3月、メルカリはオリエンタルランドと「安心・安全な取引環境の構築に向けた覚書」を締結。ディズニー関連グッズの転売対策に取り組む姿勢を表明している。
今回の転売商品も、販売ページには「本商品は、価格が急騰している可能性があります」「購入の際は冷静なご判断をお願いいたします」など、フリマサイトにもかかわらず、買い手側に購入を思いとどまらせるような注意書きが表示されていた。
こうした状況を見ると、対策発表時にファンが指摘していた「転売対策というよりショップの混乱対策」という見方は、的を射ていたのかもしれない。
その後、取材班は限定メニューが提供されるパーク内のレストラン「ミゲルズ・エルドラド・キャンティーナ」に向かった。このレストランでも、新メニューの提供初日とあって、入店には予約が必須だ。
アプリで入店予約を試みると、受付中のように見えるが、画面を進めると「受付不可」と表示される。なぜこうなるのか、別のディズニーファンは話す。
「エラーで予約可能と表示されてしまっているのでしょうね。初日なので入店には予約必須で、もうキャンセル待ちになっていますから」
平日にもかかわらず、新しい限定グッズを求めて多くの人が詰めかけた新イベント初日の東京ディズニーシー。
現場でパニックが起きなかったのは幸いだが、ファンが指摘したとおり、やはり転売対策としてはまだまだ不十分なようだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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