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全世界累計販売数3000万個…かつての熱狂が令和に復活? ハイパーヨーヨーが切り拓く新たなブームの可能性

集英社オンライン / 2025年1月26日 11時0分

1990年代後半に子どもたちの間で一世を風靡した「ハイパーヨーヨー」。全国各地でヨーヨーのイベントが行われるなど、社会現象を巻き起こした。かつての熱狂から20年以上が経ち、時代とともに子どもたちの遊びも多様化、ブームが過ぎ去ったが、2024年7月に最新モデル「ハイパーヨーヨーアクセル」が発売された。株式会社バンダイの大牟禮(おおむれ)佑基氏に、いまでもハイパーヨーヨーに注力する理由を聞いた。

【画像】懐かしの「ファイヤーボール」「ハイパーレイダー」

1990年代後半に“社会現象化”したハイパーヨーヨー

バンダイは1997年にハイパーヨーヨーを日本で初めて販売し、一大ブームを巻き起こした。実はこの第1期(1997年~2000年)に続き、第2期(2003年~2005年)や第3期(2010年~2014年)を経て、今回10年ぶりにリニューアルしたのが2024年7月、これが第4期にあたる。

ヨーヨー文化の礎を築いたのが第1期だ。当時の子どもたちの間ではミニ四駆やビーダマン、ポケモン(赤緑世代)が流行っていて、そこに名を連ねていたのがハイパーヨーヨーである。

少年向け漫画誌『月刊コロコロコミック』(小学館)では、ハイパーヨーヨーを題材にした漫画『超速スピナー』が連載され、プロスピナー(プロのヨーヨー競技者)の中村名人が誌面に登場し、ヨーヨーのトリック(技)を紹介するなど、いわゆる“コロコロ世代”を虜にしたのだ。

「第1期では、海外で流行っていたYOMEGA(ヨメガ)やDUNCAN(ダンカン)といったヨーヨーメーカーのOEM(委託を受けて他社ブランドの製品を製造すること)商品としてバンダイが扱い、『ハイパーヨーヨー』のブランドで展開していました。

『ファイヤーボール』や『ステルスレイダー』、『ハイパーレイダー』などの機種が人気を誇ったほか、コロコロコミックの影響もあり、一気に小学生の間で話題化し、社会現象にまで発展したのです」(大牟禮(おおむれ)さん、以下同) 

時代とともにヨーヨー文化が定着し、第3期ではブームが再燃

かくいう筆者も、第1期に流行ったハイパーヨーヨーのど真ん中世代であり、ヨーヨーのトリックを認定してもらう「認定会」へ足繁く通っていた。技を覚えるために教本やビデオを何度となく見て、ヨーヨーイベントにも参加するなど、かなり夢中になったのを覚えている。

その後、ヨーヨーブームは沈静化したものの、2003年からは再びムーブメントを作ろうと第2期がスタートする。「だが第2期は一定の盛り上がりは見せたものの、社会現象化するまでには至らなかった」と大牟禮さんは話す。

次の第3期は2010年から2014年まで続いた。この期からヨメガやダンカンのほかに、ヨーヨーファクトリーも新たに加わり、メーカーごとに特色をつけてヨーヨーを売り出したのが特徴となっている。

そんな第3期も、約4年ほどのプロモーションののちに収束。その後、およそ10年近くはハイパーヨーヨーの動きは見られなかったが、2024年6月に公式Xで突如、復刻を示唆する投稿がなされ、SNS上で話題に、待望の第4期が始まることへの期待感が高まっていた。

令和の時代にハイパーヨーヨーが復活を遂げたワケとは?

そして、2024年7月に第4期ハイパーヨーヨーの主力モデルとなる 『ハイパーヨーヨーアクセル アクセルオリジン』が発売されたのだ。

「これまでのハイパーヨーヨーでは、全てのトリックをプレイする上で基本となる『ロング・スリーパー』(ヨーヨーを真っ直ぐ下に投げて回転させ続ける技)ができずに、途中で挫折してしまうヨーヨー初心者の方が多くいらっしゃいました。

今回のハイパーヨーヨーアクセルでは、ストリング(紐)を引っ張るだけで、ヨーヨー本体を投げずに高速回転させることができる新機構『アクセルシステム』を搭載し、誰でも気軽にヨーヨーを楽しめるようにしたのが特徴になっています」

さらに、WEB上で動画を投稿すればトリックの認定が可能になった。トリックは現時点で100種類以上あり、ヨーヨーにどっぷりとハマりたい人への受け皿も用意されている。

第1期を知る身としては、ヨーヨーの進化の一端を垣間見るとともに、時流に合わせた“体験”を提供する大切さをあらためて感じた。

令和の時代でも遊べるアップデートがなされた訳だが、なぜこのタイミングだったのだろうか。

2023年には、平成の人気ホビーだったベイブレード(タカラトミー社)が第4世代を発売すると、一躍注目を集めた。

また、直近の玩具業界ではキッズ(子ども)とアダルト(大人)の造語である「キダルト」というキーワードがトレンドになっており、“子ども心を持ち続ける大人”に刺さる商品需要が高まっている。

こうした社会的な流れをとらえつつ、大牟禮さんは「第1期でブームを作った実績から、もう一度ヨーヨーを流行らせたいという社内の機運があり、商品開発や市況感を鑑みて商品投入の期を見計らっていた」と回答した。

かつてのヨーヨーブームを目指すうえでは「大人のユーザー獲得」が鍵に

2024年7月にハイパーヨーヨーアクセルを発売して以来、当初のターゲットに据えていた小学生に加えて、第1期ハイパーヨーヨーをやっていた大人世代の購買にもつながり、販売計画を超える好調ぶりを維持しているという。

コロコロコミックとのタイアップ企画やバンダイ公式YouTubeチャンネルによる動画配信、全国のおもちゃ売場での体験会実施など、各プロモーションにも力を入れたことで、順調な滑り出しを見せた第4期ハイパーヨーヨー。

「ハイパーヨーヨーは過去に全世界累計3000万個販売したという実績があるので、過去にハイパーヨーヨーで遊んでいたユーザーも沢山いるはずですが、そういった潜在ユーザーにはまだまだ訴求しきれていません。

ここをいかに開拓し、ヨーヨーの魅力をお子さまやお孫さまへと広めてもらえれば、自然とユーザーが増えていくと考えています」

海外展開については、すでに販売開始している中国を皮切りに、今後は韓国や北米、欧州へと販売網を拡大を狙っているとのこと。

ハイパーヨーヨーブームは再び訪れるのだろうか。その動向にこれからも注目したい。

取材・文・撮影(人物)/古田島大介

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