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「いったい何人が犠牲に」兵庫県政がらみでまた死亡者…百条委員務めた竹内前県議は「誹謗中傷に苦しんでいた」…訃報の後も「逃げた」と攻撃が続く

集英社オンライン / 2025年1月19日 20時7分

「SNS監修はPR会社にお願いすることに」神戸市議が暴露した決定的証拠のLINEは警察にも持ちこまれていた…その意図とは?〈兵庫県政大混乱〉〉から続く

昨年11月の出直し知事選で斎藤元彦知事が再選された後も混乱が続く兵庫県で、斎藤氏のパワハラや公金不正支出などの疑惑解明に取り組む県議会特別調査委員会(百条委)の元メンバーだった竹内英明前県議(50)が1月18日に亡くなった。自死とみられる。情報収集力を駆使し疑惑解明の先頭に立った竹内氏は、立花孝志・NHK党党首や斎藤氏の支持者から標的にされ、「家族を守りたい」として選挙翌日に県議を辞職した。しかし誹謗中傷はその後もやまず、19日に訃報が伝えられた後もなお続いている。

〈画像あり〉斎藤支持者から“主犯格”として拡散されていた竹内県議の動画のスクリーンショット

県民局長と同じ高校出身だった竹内元県議

斎藤県政を巡っては、昨年3月に斎藤知事に絡む7つの疑惑を文書で外部に告発した元西播磨県民局長・Aさん(60)が同年7月に死亡。

そのうち、一昨年秋の阪神・オリックスの優勝祝賀パレードに関連する公金不正支出疑惑に絡んでも、担当課長だったBさん(53)が昨年4月に死去している。いずれも自死とみられており、県政界関係者が「いったい何人が犠牲になればいいのか」と話すなど、竹内氏の死にショックが広がっている。

関係者によると、竹内氏は1月18日夜に姫路市内の自宅でぐったりしているのを家族が見つけ、搬送先の病院で死亡が確認された。

竹内氏は立憲民主党系のひょうご県民連合に属し、県議選に5回当選したベテランだった。豊富な人脈を持つ情報通で、Aさんが告発文書を郵便で送った10人のうちの1人だった。

「竹内さんもAさんもBさんも、県西部の同じ高校出身で交友がありました。それもあって竹内さんはこの問題に熱心に取り組み、Aさんの告発をもとに県庁内外の関係者を回って事情を聴き、告発文を裏付ける情報を次々とつかんで百条委で斎藤氏を含む証人にぶつけるなど疑惑解明の急先鋒でした。竹内氏の調査と証人への質問で、告発文書が嘘ではないことを示す多くのことが明らかになりました」(県議会関係者)

だが、百条委の調査の結論が出る前の昨年9月、県議会で、斎藤氏が告発に不適切に対処し県政を混乱させたとの理由で知事の不信任決議案が全会一致で可決される。

失職を選んだ斎藤氏は11月の出直し選に出馬し、選挙前の劣勢を覆して当選するが、この選挙を通じ疑惑解明に積極的だった関係者が猛烈な攻撃にさらされることになった。

「“疑惑はすべてでっち上げで、斎藤氏はハメられた”と主張する人たちが、特に竹内さんと百条委委員長の奥谷謙一県議、そして県職員に独自のアンケートを行なってAさんの告発に信ぴょう性があることを示し百条委設置の道を拓いた丸尾牧県議の3人を標的にして攻撃していたんです」(地元記者)

「斎藤を貶めた主犯格」という動画のサムネイルに、竹内さんの顔写真が

11月の知事選に「斎藤氏を応援する」と言いながら出馬したNHK党の立花孝志党首は、街頭演説で斎藤氏はハメられたという主張や、Aさんのことを「10年で10名以上もの女性県職員と不適切な関係を結んでおり、不同意性交等罪が発覚することを恐れての自殺だと思われる」と中傷する話を繰り返し、それをSNSで発信した。

県議会関係者によると、別に目をつけられた関係者には深夜まで「斎藤知事に謝れ」と怒鳴る抗議の電話やメールが殺到し、SNSでも誹謗中傷のポストが相次いだ。

また、斎藤氏の支持者と名乗るグループは「チームさいとう」と銘打ったLINEアカウントを開設し、その中に誰でも登録や閲覧、書き込みが可能なオープンチャットを設けていた。

地元メディア関係者は、「このオープンチャットは斎藤氏に批判的な人物への攻撃の“起点”となり、ここに掲載された誹謗中傷の文言や動画などがLINE上で転送を繰り返され拡散されていったようです」と話す。

そして竹内氏もこのチャットで狙い撃ちにされた。

「もっとも目につくのは、『斎藤を貶めた主犯格』というタイトルの横に、竹内さんの顔写真をつけた動画です。これがYouTubeにアップされたあと、オープンチャットにURLが掲載され、拡散が呼びかけられました」(同関係者)

この動画は選挙後の12月、丸尾氏が虚偽内容の動画で誹謗中傷にさらされたとしてYouTubeに削除を求めた17本の動画のうちのひとつだ。

こうした“犬笛”ともいえる攻撃の呼びかけでどのような非難にさらされたのか、竹内氏は生前公に語っていない。

亡くなった理由は明らかになっていないものの、竹内氏が県議の辞職願を出した昨年11月18日の、同僚の上野英一県議の説明では、普段事務所を守っていた竹内氏の妻が精神的に追い詰められ、「もうこの政治の道からは退いてほしい」と訴えたと竹内氏は憔悴した状態で話していたという。

「(知事は)職員やご遺族、関係者への誹謗中傷はやめてとなぜ言わないのか」

政界関係者によると、選挙中、事務所に行なわれた嫌がらせで家族は恐怖で家から出られないほどだったという。

別の関係者は「神経をやられたのは竹内さんも同じで、やつれ方がひどく知人は心配していました。しかし昨年12月中ごろからは電話での連絡もできなくなっていたんです」と話す。

昨年11月17日の選挙で斎藤知事が返り咲いた後もAさんが提起した斎藤氏の疑惑は晴れたわけではなく、百条委の調査は続いている。

そこへ、斎藤陣営が選挙で、禁じられているインターネットによる選挙広報への対価支払いを行なっていたのではないかという公職選挙法違反疑惑も持ち上がり、兵庫県政は大混乱が続いている。

こうした中で、竹内氏や奥谷氏、丸尾氏への攻撃も依然続いていた。

「問題の“チームさいとう”のオープンチャットは選挙当日に閉鎖されましたが、重複するとみられる人たちが参加する新たなオープンチャットがその後開設され、選挙中と同じような言葉が飛び交っています」(地元メディア関係者)

竹内氏の知人は「県議辞職後、落ち込んだ竹内さんはSNSも一切見ないようにしていたとも伝え聞きました」と話しており、依然続く攻撃的な書き込みを目にしていなかった可能性はある。

だが、19日午前に竹内氏の訃報が報じられた後も、オープンチャットでは「人生からも逃げた」などと心無い書き込みが続いている。

亡くなったAさんら関係者に対し選挙後も続く誹謗中傷を巡っては、斎藤知事の定例の記者会見で「職員やご遺族、関係者への誹謗中傷はやめてと、なぜ言わないのか」との質問が出るなど、対応をとるよう求める声が高まっていた。

だが斎藤氏は、SNSによる誹謗中傷は適切な運用の仕方ではない、と指摘しながら、「メリットとしていい面もありますから、そういったところを気を付けながらSNSを使っていこうということは私は大事だということは申し上げてます」と述べるだけで、支持者にメッセージを出そうとはしなかった。

兵庫県の混乱は、いつまで続くのか。

不安や悩みの主な相談窓口は、こころの健康相談統一ダイヤル(0570・064・556)や、よりそいホットライン(0120・279・338)など

                                

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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